医学界新聞


情報社会における看護学教育のあり方とは

2007.09.24

 

情報社会における看護学教育のあり方とは

第17回日本看護学教育学会の話題から


 第17回日本看護学教育学会が8月10-11日,大池美也子会長(九大)のもと,福岡国際会議場(福岡市)にて開催された。今大会のメインテーマは「情報社会における看護学教育――知と感性の融合から実践へ」。急速かつ高度に発展する現代情報化社会における看護学教育のあり方を見出すべく,シンポジウムをはじめ教育講演や交流セッション,ワークショップ,一般演題などさまざまなプログラムが展開され,多種多様な切り口から今後を見据える場が提供された。


e-learningがもたらすもの

 情報技術(IT)の進展は,いまやさまざまな領域・分野に深く浸透しており,看護学教育もまた例外ではない。ITを看護学教育に導入することで広がる可能性は,従来の看護学教育の形を大きく変えようともしている。学会長の大池氏は,時代に即した効果的かつ効率的な看護技術教育方法を模索する中で,早くからITの可能性に着目し,1999年度から基礎看護技術教育においてe-learning教材を独自に開発し,ブラッシュアップを重ねながら基礎教育に導入してきている。

 会長講演「看護学教育におけるe-learningの活用――看護技術教育への展開と体験学習」では,「ITが高度化している現在,看護学教育にいま何が問われているのか」と提起したうえで,e-learning教材の開発プロセスとその概要を紹介。体験学習モデルとしての有効性と,現代の情報社会がもたらす教育システムの多様化や,さまざまな学生・社会のニーズに対応し得るこれからの教育ツールとしての可能性の大きさを示した。看護実践能力の育成には,教育によって提供される「情報」を学生が感知し,それが探求・発見の機会となり,表現されるというプロセスが重要としたうえで,e-learningが,「情報」を精選し,そうしたプロセスを活性化するのに有効なツールになりうることを示唆すると同時に,情報が高度化した現代であるからこそ,今一度,看護学の本質とは何か,また情報とは何か,実践とは何かを問い直す必要があることを強調し,講演を結んだ。

 なお,この九州大学医学部保健学科におけるe-learningの取り組みは,2006度日本e-learning大賞・文部科学大臣賞を受賞している。

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