医学界新聞


「見る」「聴く」「触る」で診断が変わる

寄稿

2007.03.26

 

「見る」「聴く」「触る」で診断が変わる

医学書院看護特別セミナーの話題より


 医学書院看護特別セミナー「正しい患者情報取得のための新しい技術――フィジカルアセスメントの革新」が2月12日,シェーンバッハ・サボー(東京都千代田区)にて行われた。講師は日野原重明氏(聖路加国際病院)と道場信孝氏(帝京平成大)。はじめに日野原氏が現在は電子カルテやモニターにとらわれ,聴診器が有効に使われていないと指摘。「よく見て,聴いて,触ればわかることをやらなくなってきている」と述べた。また,看護の役割変化に伴い,看護師も診断を行う必要があると強調。そのうえで「診断(diagnosis)とは知ることを徹底すること。信頼の置ける基礎データを取るには体温測定時の外気の影響や,平熱の個人差,血圧測定における腕の太さなど多くの関連要因を考慮するべき」と述べた。

 道場氏は,在宅ケアにおける心臓・血管評価を中心に講演。在宅では,看護師は単独で,十分なテクノロジーなしに病歴聴取や身体評価を行わなくてはならないため,洗練されたフィジカルアセスメントのスキルが要求されると述べた。そのうえで,評価の標準的要素,心臓・血管評価におけるチェックポイントなどを解説。心臓・血管の評価では全体像を診ることから,息切れ,せき,チアノーゼ,バチ指,胸痛,皮膚,心音,呼吸音などそれぞれについて詳細に説明した。また,心音・呼吸音については,実際にシミュレータを用いてさまざまなパターンの心音・呼吸音を呈示。1音-2音の違いや,正常心音と心室性・心房性のギャロップなどの過剰心音の比較,肺のcrackleなどを受講者に体感させた。

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