医学界新聞

 

日本の腫瘍内科医を育てるために

第二回医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー開催


 さる8月26日,「第二回医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー」が勝俣範之氏(国立がんセンター中央病院)司会のもと,国立がんセンター(東京都中央区)で開催された。会場には医学部3年生から2年目研修医まで100名を超える参加者が,北は北海道,南は鹿児島から集まった。

 はじめに,国立がんセンター中央病院院長の土屋了介氏が挨拶。「腫瘍内科学という分野は日本ではまだ少ないが,がん治療において,全身を一固体として診る内科学の関与は非常に重要」と述べた。講演では国立がんセンター中央病院レジデント専門委員会副委員長である飛内賢正氏をはじめとして,現役レジデントも含め8名が登壇。飛内氏は,がん治療においては医師の協力体制が重要であり,そのリーダー的存在となるのが腫瘍内科医であると強調。

 また,現在日本に腫瘍内科医が少ない理由として,(1)がん告知がタブーであったこと,(2)外科ががん診療の中心であったこと,(3)医科大学に腫瘍内科がなかったこと,があるが,次第に状況は変化しつつあると述べた。

 西條長宏氏(国立がんセンター東病院副院長)は,がん診療における臓器横断的医学としての臨床腫瘍学の重要性を指摘。また,臨床のエビデンスの大半を外国の成績に頼る現状を示し,臨床試験のできる研究者の育成を強く求めた。そのために,今後の課題として,独立した学問体系としての臨床腫瘍学の認知とその教育体制の整備を挙げた。

 各講演ごとに,講師と会場の参加者との間で活発な質疑応答が行われた。また,午後はグループワークが催され,参加者は9班に分かれて指導医やレジデントとともにディスカッションを行った。終了後,総合討論として各グループの代表者1名が,グループ討論の内容を発表。「地方での腫瘍内科の位置づけを確立すべき」や「中央で学んだことをどう地域に生かすか」「在宅での緩和ケアにも腫瘍内科の知識を持つ医師が携われればよい」「必ずしも日本がアメリカをコピーする必要はない。日本流だが世界に通用するメディカルオンコロジーを作っていく必要がある」など活発な議論が交わされた。