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プロメテウス解剖学 コア アトラス 第3版

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一冊ものの解剖学アトラスとして好評を博している、プロメテウス解剖学コアアトラスの改訂第3版。美麗なイラストと読みやすい誌面構成はそのままに、画像解剖の充実をはじめとし、さらなる読みやすさを追求し、すべてのイラストと解説が再吟味された。定番書の地位に安住せず、さらなる高みを目指した改訂の結果を是非手にとって確かめて欲しい。
*「プロメテウス/PROMETHEUS/プロメテウス解剖学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ プロメテウス解剖学
監訳 坂井 建雄
市村 浩一郎 / 澤井 直
発行 2019年01月判型:A4変頁:778
ISBN 978-4-260-03535-4
定価 10,450円 (本体9,500円+税)
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第3版 訳者序第3版 まえがき序言

第3版 訳者序

 『プロメテウス解剖学コア アトラス』の第3版を,解剖学を学習する多くの医学生と医療職の学生のみなさんにお届けする.本書の元になったのは,2005年にドイツで出版され,世界中で高く評価された3巻本のプロメテウスをもとに,アメリカで新たに編集された1冊本の解剖学アトラスである.3巻本のプロメテウスに掲載された高品質の解剖図を生かしながら,人体解剖実習での使いやすさを重視して全体の構成を部位別に改め,頁の構成を見開きの形にまとめてある.さらに,理解を助けるための概念的な模式図や,要約の表を多数付け加えて,コンパクトでわかりやすいまったく新たな解剖学教材を実現したものである.アトラスと銘打ってはいるが,解剖図だけを配した従来の解剖アトラスの域をはるかに超えて,これ1冊で解剖学の学習を可能にする統合的な教材となっている.今回の第3版では,画像診断に関する内容を充実させて,各単元の最後に独立した章としてまとめた.また「神経解剖」の単元を「脳神経系」と改めて,脳と末梢神経の内容を充実させている.

 21世紀に入って,人間の健康と生命をまもる医療に対する社会からの期待と要求が高まっている.多くの若者が医師とそれに関連する職種をめざして,医学の専門的な知識と技術を学んでいる.人体の構造と機能について知る解剖学は,医学を学ぶための最重要の基礎であり,その教材に対するニーズもますます高まっている.人体の構造そのものが大きく変化するわけではないが,コンピューターによる画像処理や情報技術の発展,さらに画像診断技術の普及を背景に,解剖学の教材も大きく進化し,印象的で理解しやすいものが数多く登場している.『プロメテウス解剖学アトラス』全3冊は,高品質の解剖図と洗練された編集により,圧倒的な迫力と内容をもつ新しい時代の解剖学教材として世界的に高い評価を得てきた.その日本語訳も好評を博し,数多くの読者に迎えられている.

 翻訳にあたっては,若手の優秀な解剖学者である市村と澤井が日本語訳の作業を行い,坂井が全体に目を通して監訳を担当した.とくに3巻本の『プロメテウス解剖学アトラス』および解剖学用語との内容および用語の整合性に配慮した.日本語訳にあたっては瑕疵がないように細心の注意をしたつもりではあるが,至らぬところは監訳者の責である.

 本書『プロメテウス解剖学コア アトラス』が,多くの学生たちに行きわたり,よりよい医療者となるべくその基礎となる解剖学の学習に役立てていただけることを願うものである.

 坂井建雄

 2018年9月1日
 八王子の寓居にて


第3版 まえがき

 誇りと謙遜がない交ぜになった気持ちで,Atlas of Anatomyの第3版をお届けする.これまでの版と同様に,私たちは読者からの要望・コメント・批評に答えるように心がけた.この版の準備に当たって,2015年に亡くなった,友人であり共著者のLawrence Rossの協力は得られなかったが,旧版において彼が支援してくれた,高い質と細部へのこだわりを同じ水準で保つように努めた.
 この最新版では3つの大きな課題に力を注いだ.1つ目の課題は,解剖学が変化しつづける科学だという理解である.読者は解剖学が臨床医学の活力のある一部であり,臨床医学もまた絶えず変化しつづけていることを理解している.そのため概念や用語も変化し,可能な限り最も正確で最新の情報を読者に提供する義務があると私たちは感じている.
 2つ目の課題は,断面解剖や放射線の画像の例をさらに追加することによって,学生が解剖学的な構造・位置関係の知識を臨床の場で応用できるようにすることである.放射線医学は診断と治療に熟練を要する専門分野であるが(それゆえ本書では診断や治療については触れないが),放射線画像の局所解剖学的解釈は,解剖学の学習に自然に伴うものである.この点から,当初は始めのほうの章に組み込まれていた画像を移動し,多くの新しい画像を加えて,新たな「断面解剖と画像解剖」という章を単元ごとにつくった.
 最後に,より注力すべき分野を拡張した.新たに「脳神経系」と名称を変えた単元は,以前の「神経解剖」の単元に代わるものである.この単元では,脳と末梢神経系の肉眼解剖に,より焦点が当たっていることに気付かれるだろう.さらに自律神経系についての見開きも追加したが,これも拡張すべき話題である.「骨盤部」の単元では,いくつかの画像を削除・修正して,現在の解剖学の理論を反映させた.さらに,複雑な骨盤の解剖をよりわかりやすく示す新しいイラストを単元を通じて追加した.
 いつもの通り,旧版に意見をくださり,適切な訂正を助言してくれた査読者,同僚,学生に感謝したい.
 われわれの努力は重要ではあるが,本書を読者のお手元に届ける過程における一部に過ぎないと考えている.Thieme社のチーム全員による支援が第3版をつくりあげるうえで欠かせなかった.われわれは特に,Julie O'Meara(企画編集者),Tony Paese(編集助手),Anne M. Sydor, PhD(編集主幹,教育編集部),Barbara Chernow, PhD(制作責任者),Carol Pierson(組版担当者)が,それぞれの専門分野で優秀であり,われわれが質の高い原稿を作り出せると揺るぎなく信頼してくれたことに,大いに感謝したい.

 Anne M. Gilroy
 Brian R. MacPherson

 2015年12月
 Worcester, MA and Lexington, KY


序言

 この解剖学アトラスは,これまで作られた1巻本の人体解剖図譜の中で最も素晴らしいものであると私は思う.これには2つの要素がある.図とその構成の方法である.

 画家のMarkus VollとKarl Weskerは,解剖図の洗練の新しい標準を作り上げた.洗練された半透明の使用と,光と陰の繊細な表現により,読者はあらゆる構造を精確に三次元的に理解することができる.

 著者らは,図の配置を工夫して,学生が人体のイメージを明確に頭の中に作り上げるのに必要な情報の流れを与えている.見開きのそれぞれの頁には,必要な教材が揃っており,経験深く思慮深い教師の手腕をさりげなく見せている.私自身,学生の頃にこの本を使いたかったものだ.それができる今の学生たちをうらやましく思う.

 Robert D. Acland
 (1941~2016年)

 2015年12月
 Louisville, KY

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背部
 1.体表解剖
 2.骨,靱帯,関節
 3.筋
 4.血管・神経
 5.断面解剖と画像解剖

胸部
 6.体表解剖
 7.胸壁
 8.胸腔
 9.縦隔
 10.胸膜腔
 11.断面解剖と画像解剖

腹部
 12.体表解剖
 13.腹壁
 14.腹腔
 15.内臓
 16.血管・神経
 17.断面解剖と画像解剖

骨盤部
 18.体表解剖
 19.骨格,靱帯,筋
 20.骨盤腔
 21.内臓
 22.血管・神経
 23.断面解剖と画像解剖

上肢
 24.体表解剖
 25.肩と上腕
 26.肘と前腕
 27.手首と手
 28.血管・神経
 29.断面解剖と画像解剖

下肢
 30.体表解剖
 31.骨盤と大腿
 32.膝と下腿
 33.足首と足
 34.血管・神経
 35.断面解剖と画像解剖

頭頸部
 36.体表解剖
 37.頭部の骨
 38.頭部・顔面の筋
 39.脳神経
 40.頭部・顔面の血管・神経
 41.眼窩と眼
 42.鼻腔と鼻
 43.側頭骨と耳
 44.口腔・咽頭
 45.頸部
 46.断面解剖と画像解剖

脳神経系
 47.脳
 48.脳の血管
 49.機能系
 50.自律神経系
 51.断面解剖と画像解剖

英文索引
和文索引

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理想形に到達したといえる改訂
書評者: 野田 泰子 (自治医大教授・解剖学)
 『プロメテウス解剖学 コア アトラス』は,21世紀に入り新たに作成された解剖学アトラス「プロメテウス解剖学アトラス」3分冊より,特に学生教育を意識して創られた。本シリーズは,当初より図版の美しさが話題となり,欧州で数々の賞を受賞し,今や独語から英語や日本語などにも翻訳され全世界に広まっている。

 まず第1の特徴である図版の完成度については,最新のコンピュータグラフィックスを駆使して作成される図版は,本書でも健在である。部位によるばらつきの少ない統一された仕上がりは,実物に近い質感を備えながら,かつ強調されるべき構造をきちんと伝え,より「リアル」が実現されている。従来の描き手の思いが伝わるデフォルメを最小限としたことで,かえって初学者は自然な形で人体の理解が進められる。

 また,各図の解像度が上がりサイズダウンしたことも特徴といえる。小さくても十分な情報を伝えられることから,本「コア アトラス」では,3分冊版での解説を最小化し,新たに図版を改変・再構成したことで,複数の図版が効率的に同じページ内で配置されている。全体のイメージ形成や相互関係の理解に大きく貢献している。コンパクトで持ち歩きも可能であるのに加え,情報量はかえって増加した感さえある。

 構成の特徴としては,3冊に掲載されていた図版が体部ごとに系統的にまとめ直され,版を重ねるごとにさらに洗練された配置には,細部に至るまで解剖学実習での学習への配慮が伺われる。本版においては,著者らの意図通りの,ほぼ理想形に到達したといえる。

 さらに,第3版では,臨床医学の学習を視野に入れ,断面図や放射線画像の章がそれぞれの単元に増設された。前版より40ページほど増えている。常に臨床医学の進歩を意識し,医学生目線で,構造情報を最新応用にまでつなげようとする執筆者の気概が感じられる。解剖学自体は,時代を超え変わることのない学問ではあるものの,こうした工夫により,この書で学んだ医学生が将来にわたりこれを座右に置き,愛用することへの期待を込めたアトラスに仕上がっている。

 なお,この日本語版では,従来のアトラス同様,日本語・英語のダブル表記となっている。監訳者の坂井建雄氏は,日本解剖学会解剖学用語委員長として長年解剖学用語改訂にも携わっており,信頼度の高い日本語訳となっている点も魅力である。
知の道を照らす「読める」アトラス
書評者: 徳田 信子 (獨協医大教授・解剖学マクロ)
 美しい。まず心を惹かれるのは,圧倒的な美しさである。もしかしたら,美しすぎるかもしれない。少なくとも,実際のヒトの身体に本書のように鮮やかな彩りは無い。昔の教科書のごとくモノクロの濃淡で示す方が,ヒトの姿に近いのかもしれない。それでも,今,この美しさは必要だと思う。

 アトラスを手に取る読者のほとんどは,医療者の卵である。ヒトの身体を知るための長い道のりを歩み,その向こうにある診断や治療の学びをめざす。かつて自分が解剖学を学んだ頃は,文字情報と少しの図を頼りに,友人たちと相談しながら実習に取り組んでいた。今も,それを理想の学び方だとする意見もある。しかし,進む方向がわからず,解剖学の入り口で力が尽きてしまう学生も多く見てきた。本書は,ページをめくるたびに,さまざまな方向・深度から見た美しい構造物が現れる。もし,何もわからずに出発しても,ページの進みに合わせ,知らず知らずのうちに身体を巡る歩みへ誘われる。

 学生が順調に歩き始めたとしても,道に迷うことがある。図に惹かれて読み進め,ふと振り返った時,学びのポイントを見失っていることに気付く。来た道を戻り理解して再び歩み始めるには大変な労力が必要である。本書は,そんな場所で,そこまでの数ページのポイントをまとめた「表」が登場する。理解しながらじっくり読み進めた学生であれば,そこで知識が整理できる。ぼんやり見てきた学生も,表を参照して図を振り返り,学びの道を補正できる。本書はアトラスでありながら,「読む」テキストとしての役割もしてくれるのである。

 もう1つ,学ぶ道のりの半ばで心が折れてしまうことがある。それは,学ぶ意義を見失う時。ヒトの身体を知ることは大切だと誰でも知っている。ただ,解剖学の学びは,「この知識はいつかどこかで役に立つ」という気持ちで乗り切れるような量ではない。本書は,そんな気持ちをくみ取るかのように,とてもいいタイミングで「臨床BOX」という至れり尽くせりのコラムが備えられている。もちろん,試験前で時間が無い時なら読み飛ばせる。「この学びは医療者にとって大切な知識である」という確信を得ながら読み進めていけば良いのだ。

 人類に火をもたらしたプロメテウス。火のおかげで夜が明るくなり,人類は獣たちを凌駕する存在になったと言われる。本書が,次世代の医療を担う学生たちの灯火となり,病と人々を癒やせる存在として成長させる一助となることを期待している。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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