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口から食べる幸せをサポートする包括的スキル 第2版
KTバランスチャートの活用と支援

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「口から食べる」ために不足している部分を補い、強みや可能性を引き出すための包括的評価と支援スキルをあわせた「KT(口から食べる)バランスチャート」の信頼性・妥当性の検証を経た決定版を第2版に収載。13項目それぞれの評価方法とステップアップのための支援スキルに関する記述が充実し、活用事例もすべて新たなものに。高次脳機能障害や認知機能が低下した人へのアプローチも含めた食事介助スキルも豊富な写真で解説。
● KTバランスチャート作成用ファイル ダウンロードのご案内
本書16頁のKTバランスチャートを作成できるファイルと、17-19頁の評価基準一覧を配信しています。下のリンクよりダウンロードのうえ、ご利用ください。〔2017.07.24 配信開始 2020.02.24更新(【小児版注釈付】追加】)〕

KTバランスチャートを臨床においてご利用される場合は許諾申請の必要はありませんが、研究実績等を蓄積していくために、KTバランスチャートを用いた研究発表や実践報告を学会等で行った場合は、下記までご一報いただければ幸いです。
医学書院看護出版部 KTバランスチャート係
ktbcigaku-shoin.co.jp (◎は@に変更してください)
「KTバランスチャート」および「KTBC」は、特定非営利法人口から食べる幸せを守る会の登録商標です(商標登録第5947805号、5947806号)。
編集 小山 珠美
発行 2017年07月判型:B5頁:208
ISBN 978-4-260-03224-7
定価 3,080円 (本体2,800円+税)

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  • 序文
  • 目次

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第2版の序

 口から食べるための包括的支援スキルとして,観察と実践からアセスメントと支援方法が導きだせる「口から食べるバランスチャート」(以下,KTバランスチャート)を開発し,2015年に本書の初版を刊行しました。その後,職種を越えて簡便に評価・共有ができるツールとして多くの方々に活用いただき,KTバランスチャートを用いた実践の報告も学会などにおいて発表されるようになりました。と同時に,「きちんと評価を行うことなく『誤嚥の危険があるから絶食』とすることは問題である」という認識が,多くの医療者にようやく広まりつつあることを感じています。

 しかし,非経口栄養への安易な依存,ハードルの高い嚥下機能検査,過度な誤嚥性肺炎への懸念,食事介助スキル不足などにより,口から食べることを禁止する医療はまだなくなったわけではありません。初版の序にも記しましたが,食べられない苦痛を抱いている患者やその家族に寄せる“思いやりの感度”が大切ではないでしょうか。
 皆さんは,どんな高齢社会を生き抜きたいですか。人生の最期まで食べ続けられる優しい社会で幸せに暮らしたいと願いませんか。

 病気などで健康が損なわれた場合は,早期経口摂取を前提として,絶飲食の期間を短くすることが肝要です。食べることの維持や回復過程は,1つの要因だけで決まるわけではありません。安定した摂食姿勢,食物形態の調整,安全でセルフケア拡大を意図した食事介助スキルなどが必要です。加えて,合併症予防,口腔ケアの充実,活動性への援助,栄養ケアなど包括的なケアやリハビリテーションを多職種で進めていくことも重要です。そして何よりも,相手の立場になって食べる幸せに寄り添いたいと思います。

 そのような想いを込めて開発したKTバランスチャートを本書の初版で発表した後,信頼性・妥当性に関する研究を行い,検証結果が『アメリカ老年医学会雑誌(Journal of the American Geriatrics Society)』に収載されるという成果を得ました。また,その過程で,初版で発表したKTバランスチャートの文言を,より評価しやすい表現となるように見直しを行いました。その決定版を収載するとともに,内容のブラッシュアップをこの第2版にて行いました。初版刊行からわずか2年ほどですが,KTバランスチャートは国際的にも認められ,病院,福祉施設,在宅での実務や研究に用いることができるツールとして進化し,未来へのレガシーになりました。

 本書が口から食べる幸せへの揺るぎない道しるべとなるよう,執筆者一同切に願っております。医学書院の北原拓也氏には初版に引き続き,企画,編集,激励と細やかで多大なるご尽力をいただきました。心より感謝申し上げます。

 2017年6月
 編者 小山珠美

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第2版の序
初版の序

第1章 口から食べる幸せをサポートすることの意義
 口から食べる幸せを支えることの意義
 高齢者モデルにおける食支援の有用性と展望

第2章 口から食べるための包括的評価と支援スキル
 KT(口から食べる)バランスチャートによる包括的評価
 (1)食べる意欲
 (2)全身状態
 (3)呼吸状態
 (4)口腔状態
 (5)認知機能(食事中)
 (6)咀嚼・送り込み
 (7)嚥下
 (8)姿勢・耐久性
 (9)食事動作
 (10)活動
 (11)摂食状況レベル
 (12)食物形態
 (13)栄養

第3章 食事介助スキル
 基本となる食事介助スキル
 個別に応じた食事介助の特殊スキル
 覚醒不良へのアプローチ
 むせへのアプローチ
 高次脳機能障害へのアプローチ
 認知機能が低下した人へのアプローチ

第4章 KTバランスチャートを活用した援助の実際例
     -食べるとこんなに元気になる!
 急性期(誤嚥性肺炎の状態を見極めて早期に食事を再開した事例)
 急性期~回復期(心原性脳梗塞で高次脳機能障害が出現した
   患者の経口摂取自立に向けたアプローチ)
 慢性期(1年間の非経口摂取から3食経口摂取に移行した事例)
 退院支援(シームレスな退院調整で摂食量が増加した事例)
 在宅1(家族やデイサービススタッフの協力で口から食べて
   満足したいという患者の希望に応えた事例)
 在宅2(仮設住宅にて重度嚥下障害・胃瘻から全量経口摂取に
   移行できた事例)
 介護保険施設(特別養護老人ホームで胃瘻から3食経口摂取を
   再獲得した事例)

 コラム
  気管切開の閉鎖に向けて
  義歯の清掃/義歯についての注意点
  スクリーニング評価から段階的摂食ステップアップの進め方(例)
  ベッドサイドスクリーニング評価法の概要
  「絶飲食,内服のみ可」での安全な薬の飲ませ方

第5章 食べるメカニズムとその働き

文献一覧
索引

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