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薬剤師レジデントマニュアル 第2版

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「レジデントマニュアル」シリーズの薬剤師版。充実の改訂! 卒後1、2年目の薬剤師に向けて、(1)現場で役立つ実践的な情報を、(2)箇条書きで歯切れよく、(3)ポケットに入るサイズに編集。総論は調剤、DI、フィジカルアセスメント、薬剤管理指導の要点を記載。各論は喘息、糖尿病、高血圧など主要54疾患について、患者の状態把握、標準的処方例、薬学的ケア、提案のポイントのパターンで展開。実習やその指導時にも役立つ内容。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
編集 橋田 亨 / 西岡 弘晶
発行 2018年03月判型:B6変頁:426
ISBN 978-4-260-03263-6
定価 3,740円 (本体3,400円+税)
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第2版 編集の序

 『薬剤師レジデントマニュアル』(2013年刊)は幸いにも多くの読者の支持を得たため,このたび第2版を刊行する運びとなった.
 初版は,薬学6年制教育を修めた新人薬剤師の自己研鑽の道しるべとして世に送り出した.コモンディジーズの薬物治療を頭に叩き込んだうえで,現場でのハードトレーニングを通して「処方提案」できるような薬剤師を養成するためのミニテキスト,そういったコンセプトを設けていたが,結果として新人薬剤師はもとより,さまざまな層の病院薬剤師や薬局薬剤師の白衣のポケットに収まることとなり,最新の薬物療法のエッセンスをまとめた実践マニュアルとしての役割をも果たしていることに気付かされた.
 初版発刊以降,医療,医薬品をめぐる社会の変化は目まぐるしい.2016年には「薬事法」が「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律」と名を変えて施行された.Direct Acting Antivirals(DAA)はそのめざましい効力からC型肝炎の治療にパラダイムシフトを起こした一方で,「ニセ薬」という新たな社会問題を生んだ.免疫チェックポイント阻害薬はがん化学療法の限界にブレイクスルーをもたらすとともに費用対効果の議論を薬物療法の評価にもち込む呼び水となった.再生医療等製品も市販され,これまで経験したことのない厳密な取り扱い上の注意が薬剤師に求められている.
 第2版では,これら大きく医療が進歩・発展していく背景をふまえて,主な診療ガイドラインの改訂情報をキャッチアップするとともに新たに市販された薬剤を幅広く網羅し,内容の充実に努めた.執筆は,初版同様,神戸市立医療センター中央市民病院において高度急性期医療の最前線で活躍する各分野の専門,認定薬剤師や総合診療科医師が中心となり担当した.当院では薬剤師レジデントおよび新人薬剤師対象の疾患別シリーズセミナーを重ねており,第2版でもその場でのディスカッションより得た視点を盛り込んだ.特に「薬剤師による薬学的ケア」の項目では処方チェック,服薬指導,治療・副作用モニタリングに関する記述をより充実させた.また,本書の最大の特徴である「処方提案のポイント」の項目では最新の薬物治療に関する情報と患者アセスメントに基づく処方医への提案を実施するためのTips(コツ)をさらに具体的に記載した.
 今,わが国の医療は,団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けて,医療機関の機能分化,地域包括化へと大きく舵を切った.高度急性期医療から急性期,回復期,慢性期,在宅へと薬物治療をシームレスにつないでいくために病院および薬局薬剤師には大きな期待が寄せられている.それぞれの局面で活躍できる薬剤師の養成に向けて,本書が広く活用され,安全で質の高い薬物治療を提供する一助となることを願っている.

 2018年1月
 神戸市立医療センター中央市民病院
 院長補佐・薬剤部長 橋田 亨

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第1章 調剤
 1 調剤総論
 2 服用方法や簡易懸濁法に注意を要する医薬品

第2章 注射
 1 電解質・輸液
 2 注意すべき配合変化

第3章 医薬品情報
 1 DI業務における情報源
 2 情報の提供
 3 医薬品・医療機器等安全性情報報告制度

第4章 薬物療法を理解するための基礎知識
 1 臨床上重要な薬物動態・薬力学パラメータと薬物相互作用
 2 主な医薬品の薬物動態データ(TDM対象薬物を中心に)

第5章 スペシャルポピュレーションに対する薬物療法の注意点
 1 腎障害
 2 透析
 3 肝障害
 4 小児
 5 妊婦・授乳婦

第6章 高齢者に対する薬物療法の注意点
 1 特徴
 2 ポリファーマシー
 3 ガイドラインと実践的アプローチ

第7章 病態を理解するための主な検査
 1 生化学検査
 2 血清免疫学的検査
 3 内分泌学的検査
 4 腫瘍関連検査
 5 生体検査
 6 画像検査
 7 電気生理学検査
 8 内視鏡検査
 9 聴力検査
 10 視力検査
 11 意識レベルの評価

第8章 フィジカルアセスメント
 1 アセスメント時の基本マナー
 2 外観のアセスメント
 3 バイタルサイン
 4 血圧
 5 脈拍
 6 呼吸
 7 体温
 8 意識
 9 尿量

第9章 薬剤管理指導/病棟薬剤業務
 1 治療開始前
 2 治療開始後

第10章 感染症
 1 呼吸器感染症
 2 尿路感染症
 3 真菌感染症
 4 HIV
 5 敗血症

第11章 呼吸器疾患
 6 喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
 7 肺結核
 8 間質性肺炎

第12章 循環器疾患
 9 急性冠症候群
 10 不整脈
 11 心不全
 12 高血圧

第13章 消化器疾患
 13 消化性潰瘍
 14 クローン病
 15 潰瘍性大腸炎
 16 肝炎
 17 肝硬変
 18 膵炎

第14章 腎泌尿器疾患
 19 前立腺肥大
 20 慢性腎臓病(CKD)
 21 透析
 22 ネフローゼ

第15章 血液疾患
 23 貧血
    column 鉄剤反応性不良と感染症
 24 DIC(播種性血管内凝固症候群)

第16章 内分泌代謝疾患
 25 糖尿病
 26 痛風
 27 脂質異常症
 28 甲状腺疾患(機能亢進症・低下症)

第17章 膠原病,整形外科疾患
 29 関節リウマチ
 30 骨粗鬆症

第18章 神経疾患
 31 てんかん
 32 パーキンソン病
 33 脳血管障害
 34 脳腫瘍
 35 認知症

第19章 精神疾患
 36 うつ病
 37 統合失調症
 38 せん妄

第20章 皮膚科疾患
 39 アトピー性皮膚炎
 40 乾癬

第21章 婦人科疾患
 41 切迫早産

第22章 眼科疾患
 42 白内障
 43 緑内障

第23章 耳鼻科疾患
 44 突発性難聴
 45 めまい(末梢性めまい)

第24章 がん
 46 乳がん
 47 胃がん
 48 大腸がん
 49 肝がん
 50 肺がん
 51 悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫,ホジキンリンパ腫)
 52 白血病
    column ポナチニブの副作用と特徴
 53 免疫チェックポイント阻害薬

第25章 緩和
 54 オピオイド

付録
 1 緊急安全性情報,安全性速報
 2 重篤副作用疾患別対応マニュアル・疾患リスト
 3 腎機能低下時に特に注意が必要な薬剤とその投与量
 4 腎機能低下時および透析時に通常量を使用可能な薬剤
 5 妊婦・授乳婦への薬物投与
 6 薬剤師レジデント制度の新たな展開に向けて

略語一覧
索引

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質の高い薬物療法を提供する薬剤師のバイブル
書評者: 半谷 眞七子 (名城大薬学部准教授・病院薬学研究室)
 薬剤師が暗中模索で患者への適切な薬物療法を提供する時代は終わり,今や薬剤師の誰もが一定のレベルのサービスを行うことが求められている。本書は,入職1~2年目の新人薬剤師や,新しい病棟や在宅医療を担当する薬剤師,またこれから実務実習を行う薬学生にとっても,適切な薬物療法を提供するためのポイントをつかむことができる必携の一冊となっている。

 本書は2部構成になっており,前半は調剤,医薬品情報(DI),フィジカルアセスメント,薬剤管理指導の要点について,後半は喘息,糖尿病,高血圧など主要54疾患について,患者の状態把握,標準的処方例,薬学的ケア,処方提案のポイントなど留意すべき事項がまとめられている。特に,各疾患の項目では,治療ガイドライン・標準治療がアルゴリズムなどでわかりやすく図表化され,臨床検査値の基準値一覧やバイタルサインなどのフィジカルアセスメントについても掲載されているので,患者の病態や臨床経過の把握とそれに伴う薬物療法モニタリングの評価に欠かせない内容となっている。臨床の現場では,「Kが高い患者の輸液は?」「合併症がある患者の血圧の目標値は?」「せん妄を引き起こしやすい薬剤は?」「この患者にこの薬は必要?」と日々変動する患者の症状に合わせた適切な薬剤選択が求められる。医薬品集やインタビューフォームなどを検索する前に,本書の場合は索引から簡単に必要な情報にたどりつくことができ,現場での素早い対応が可能となる。

 わが国では超高齢社会を迎え,薬剤師も高齢者の薬物療法には特に注意を払わなくてはならない。本書の第6章「高齢者に対する薬物療法の注意点」の中では,高齢者における薬物動態の変動やポリファーマシーへの対策,処方整理のアプローチ方法が取り上げられており,高齢患者への対応に非常に参考になると思われる。併せて,巻末には「腎機能低下時に特に注意が必要な薬剤とその投与量」が薬剤ごとに腎機能低下時のCcrに合わせた用法用量が掲載されており,明日から現場で活用できる実践的な内容となっている。

 本書『薬剤師レジデントマニュアル』第2版は,質の高い薬物療法を提供する薬剤師のバイブルとなるであろう。
網羅的で実践的な記載が新人薬剤師にうってつけのテキスト
書評者: 石井 伊都子 (千葉大病院薬剤部部長・教授)
 薬剤師国家試験に合格し,薬剤師として意気揚々と入職する。しかし,初日から「え~っ,わからない?」「何だったっけ?」「実習中にやったかも~,でも,駄目だ!!」と,新人薬剤師は戸惑い,冷や汗をかきながら日々を送っていることでしょう。皆通る道であり,誰にも避けることはできません。しかし,本書『薬剤師レジデントマニュアル 第2版』があれば,少しでも効率的に問題を解決し,冷や汗の量も減るのでないでしょうか。

 本書は,前半に薬剤師業務の基礎となる項目を,後半には病棟業務中央業務で役立つ知識が章立てられています。当院の薬剤師レジデントは本書について「基本的な薬物治療が述べられているので,特に苦手な分野の導入として良い。『薬剤師による薬学的ケア』の項目は,薬剤師ならではの視点が盛り込まれている。副作用とその対処法が併記されているので治療への介入の手助けになる。『処方提案のポイント』を参考にすることで,治療におけるピットフォールに気付くことができる。処方提案のポイントは簡単すぎる感じがするが,自分で深く調べるきっかけになる」など,現場で頻回に使用する医薬品が掲載されていて便利との意見が挙がりました。一方,指導的な立場にある中堅薬剤師からは,「ベースに加え少し発展的なところも記載されているため,新人がポイントをつかみやすい。指導する側も本書をチェックすることでポイントの抜けがなくなる。疾患ごとの章は,症例や薬学的ケアの解説も盛り込まれていて,ポケットサイズの判型から想像する以上に内容が充実している。病棟で持ち歩いてほしい。医薬品の使用法に関しては,現場で汎用されている例も盛り込まれており,より実践的である」との意見をもらいました。

 このところ,病院では新人薬剤師に対してレジデント制度を導入する施設が増えています。各施設はそれぞれ頭を悩ませながらプログラムを組み,いかに新人薬剤師が的確に業務を理解し,少しでも早く一人前の薬剤師として業務に取り組めるようにするかを常に考えていることでしょう。それには,基本的なテキストが必要です。本書は,網羅的でありかつ処方の実例を含め実践的に記載されているため,新人薬剤師にとってうってつけのテキストです。新人は新人でも薬剤師であって学生ではありません。「新人の基本の書」として本書をポケットに忍ばせ,これまでより大きく深い一歩を踏み出していただきたいと思います。

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