看護学生スタートブック

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講義に演習、定期試験、臨地実習、さらには看護師国家試験まで、学生生活にはたくさんのイベントが待ち受けている。本書では、入学時から看護学生として知っていてほしいこと、身につけてほしい学びの技術について、ポイントを挙げて解説する。初年次の看護学生の不安にこたえる1冊。
藤井 徹也
発行 2017年02月判型:A5頁:112
ISBN 978-4-260-03011-3
定価 1,320円 (本体1,200円+税)
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はじめに

 看護職をめざすみなさんが,これから始まる学生生活に必要な情報や勉強の仕方を効果的に学ぶことができる参考書として,本書を企画し,1冊にまとめました。
 看護職は患者さんの生命をあずかる専門職です。その職務を果たすには,専門的な知識を修得し,その知識を活かして考え,適切に実践する能力を身につけることが必要です。また,看護職となるには国家試験に合格しなくてはなりませんが,国家試験に合格するためには,日頃の授業を通して専門的な学びを確実に自分のものとすることが大切です。学生生活の限られた時間の中で,効果的に学修や準備をする基礎的な技法を,本書では紹介しています。
 本書は,学校生活の流れに合わせた7つの章で構成されています。
 第1章 「新生活スタート!」 では,高校までの学習と異なる点,看護師になるために必要となる能力,マナーなどを紹介しています。続く第2~6章では,スタディ・スキルといわれる,勉強の基本的な技術や考え方をまとめています。
 第2章 「授業が始まったら」 では,講義の受け方やノートの取り方について
 第3章 「資料の集め方・読み方」 では,自分で学びを深めるための情報収集のコツ
 第4章 「レポートはこれで書ける!」 では,ステップを踏んだレポート作成の方法
 第5章 「定期試験が始まった!」 では,試験前の復習やセルフトレーニングの方法など
 第6章 「臨地実習で慌てないために」 では,看護学生にとって重要な,臨地実習の内容と,実習に必要となる能力について解説しています。
 終章 「充実した学生生活を送るために」 では,卒業後の進路,将来の働き方を視野に入れた目標の立て方や,臨床で活用できる知識などを紹介しています。
 内容を章ごとにできるだけ完結させ,関連する内容には参照ページを示しています。1冊を通して読むだけでなく,それぞれの時期に合わせ,必要な項目を抜き出して読むという使い方も効果的です。

 みなさんが,学修のための基礎的な技法を本書で学び,患者さんやその家族が必要とするケアを確実に,そして適切に実践できる能力を身につけることができるよう願っています。最後に,企画から完成までご尽力いただいた医学書院の近江友香氏,北原拓也氏に心より感謝いたします。

 2017年1月
 藤井徹也

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はじめに

第1章 新生活スタート!
 1 高校までと何が変わる?
 2 看護師になるまで
 3 看護職に必要な能力
 4 学生生活をおくるうえで気をつけておきたいこと

第2章 授業が始まったら
 1 さまざまな授業形態
 2 講義の受け方とノートづくりのコツ
 3 グループワークの心構え
 4 プレゼンテーションへの取り組み方

第3章 資料の集め方・読み方
 1 情報を集めてみよう
 2 文章を読んでみよう

第4章 レポートはこれで書ける!
 1 レポートとは
 2 レポート作成の5つのステップ
 3 気をつけておきたいコピー&ペースト・著作権

第5章 定期試験が始まった!
 1 定期試験の学修方法
 2 演習の技術試験に大切なセルフトレーニング
 3 成績評価はどのように行われるの?

第6章 臨地実習で慌てないために
 1 看護ならでは! の臨地実習
 2 実習で慌てないための準備

終章 充実した学生生活を送るために
 1 目標を立ててみよう
 2 卒業後をイメージしてみよう
 3 看護職と研究

索引

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学生の欲しい情報が詰まった心強い一冊
書評者: 佐藤 美紀 (愛知県立大准教授・看護学)
 本書には,看護学生が初期に得ておくとよい情報が詰まっています。基礎看護学の教員として長年教鞭をとり,たくさんの新入学生たちとかかわってきた著者ならではの構成で,必要な情報が満遍なく,わかりやすく書かれています。

 第1章では,高校までとは異なる履修登録や単位,3年または4年間のスケジュールについて,また,看護職に必要な能力について解説され,学生生活全体のイメージづくりができるようになっています。また,学生としてのマナーをチェックリスト形式で確認できるので,学生が社会的にどのような振る舞いが求められているか,自己評価することができます。

 第2章では,授業の受け方やノートづくり,グループワークへの参加の仕方やプレゼンテーションの方法などが具体例を交えて書かれています。

 第3,4章には,資料の検索と収集,レポート作成のほか,著作権への注意にも触れられています。いずれも詳細な解説書はさまざま出版されていますが,初めてこれらに取り組む学生に向けて,本書では最低限必要な内容が明確に示されており,これらを参考にすることで,プレゼンテーションやレポート作成のハードルが下がると思われます。

 第5章では,定期試験がどのように評価されるか,どう取り組めばよいか,第6章では,臨地実習について,臨地とはどこで,何を行うのかといった実習に臨む心構えが書かれています。試験や実習の内容・方法は学校によって異なりますが,筆記試験であれば丸暗記ではなく学習したことを関連付けて理解していくことの重要性,臨地実習に向けては自身の健康管理の一環としての感染予防などが示されており,学生が主体的に取り組み自己管理していく動機付けとなるでしょう。

 終章には,学年・学期ごとに目標設定をうながす表や,卒業後をイメージしてみようという投げ掛けがあり,どのように学習を進め,自分の思い描く看護職に近づいていくかを考えることができます。学生生活のスタートに当たって将来を見据えることは大事なことです。ぜひ活用してほしいと思います。既に学生生活を送っている人にとっても,本書で再確認ができると,今後の学習がより充実するかもしれません。

 かく言う私は計画的に学生生活を過ごした者ではなく,本書を読む前は「看護学生を始めるためのガイドブック? 必要なのだろうか?」と思っていました。しかし読み進めるうちに,色々な場面で学生から「どうすればいいんですか?」と尋ねられたことや,受け取ったレポートの内容や体裁に驚いたことを思い出しました。誰でも初めて取り組むことはわからないことだらけです。不安を感じることの多い時期の学生にとって,本書は心強い一冊です。さらには,学生をサポートする教員の助けにもなると思います。
看護学生にとって学修の指南書となる一冊
書評者: 寺島 みえ (名鉄看護専門学校副学校長)
 初めて本書を手にした時,“このような本が必要になった現実”を改めて実感しました。近年,医療の高度化・医療体制の複雑化などから看護基礎教育の学習内容は年々増加しています。本書のような限られた時間を効果的に学修する手順書は,看護学生にとって大変魅力的な本となるでしょう。

 毎年,6万5千人近くの看護学生が看護職をめざして新生活をスタートしています。その多くの学生が,入学当初,授業内容から学び方まで高校時代とは大きく異なることに不安や戸惑いを感じているのではないでしょうか。専門性の高い学校に入学すると,錯覚に陥ることがあります。特に看護分野においては,自分の将来像を具体的にイメージしやすいため,「学校に行っていれば,きっと看護師になれる」と錯覚してしまいます。しかし,看護教育のカリキュラムは,一つひとつの科目が関連し,積み重ねながら学びを深めていきます。だからこそ,錯覚したまま時間だけが過ぎていくと,気付いた時には,膨大な量の学習内容をどこから手を付けてよいかわからないという現実が待っています。本書は,そのような看護学生が,路頭に迷わないための指南書となるでしょう。

 著者は,冒頭で「学校生活の限られた時間の中で,効果的に学修や準備をする基礎的な技法を,本書は紹介しています」と記しています(「はじめに」より)。この「効果的に学修する基礎的な技法」を身につけることは,より主体的な学修活動を生み出すことにつながると思います。本書は,その技法の具体例を交えて,図や表などを多数使用し,とにかく読みやすく作成されています。

 具体的な内容としては,シラバスや単位の考え方から学生生活全般,卒後の進路や就職に至るまでを,根拠をもって伝えています。特に講義の受け方やノートづくりのコツ,資料の集め方・読み方・レポート作成などは,本書の中心となっており,大変ていねいに解説されています。近年,主体的な学修活動が身についていないまま看護学生としてスタートする学生もいます。そのような学生が,より効果的なノートづくりができるように,「授業ノート」と「試験用のまとめノート」の具体例として,解剖生理学を例に,見出し・余白の取り方・解剖図のイラストの入れ方・色分けの方法までわかりやすく紹介されています。さらに,最終章には,理想とする看護師像に近付くための目標の立て方のコツなども書かれています。看護学生としてスタートした時点から卒後の進路を決めていくまでに必要な“学修のための技法”が満載です。

 本書は,長年看護教育に携わってこられた著者の“看護職をめざす学生”への愛情にあふれています。さらに,看護教員の方々が,学生生活全般を指導する上での参考書としても活用できる一冊です。
新入生に読んでほしい学生生活のガイドライン(雑誌『看護教育』より)
書評者: 佐藤 紀子 (東京女子医科大学看護学部教授)
 今年も新入生を迎える季節になった。大学における初年次教育の必要性は謳われているものの,看護学を学ぶ学生にとって必要なことをガイドする教本は,あまり目にしていない。看護学を学ぶためには,各科目の単位を積み重ねていくことだけではなく,基礎から応用へ,応用から統合へと,学年進行に伴う内容を自分で整理しながら蓄積していくことが肝心である。そしていつも基礎に戻って反芻するということや,23単位以上と定められている臨地実習の学び方は非常に重要であり,看護系以外の大学や専門学校での学修とは異なっているのが特徴でもある。そして基礎教育での学修は,卒業後に看護職になり,継続的に学修するときの拠り所となる。つまり,看護学を学ぶということには,知識を獲得することだけではなく,知識を用いて実践できることが求められる。
 本書には看護学を学ぶ学生に理解してほしい内容が,ていねいに簡潔に書かれている。目次を開いてみると,「新生活スタート」「授業が始まったら」「資料の集め方・読み方」「レポートはこれで書ける」「定期試験が始まった!」「臨地実習で慌てないために」と,章ごとに1年次の学習の進度に沿った内容が展開されていく。そして,終章は「充実した学生生活を送るために」でまとめられており,新入生がこれから始まる学生生活をイメージすることができる構成となっている。
 私が注目したのは,1章「新生活スタート」である。ここでは学校のスケジュールや履修登録のこと,そして単位についての説明がされている。高校での学修との相違を学生が理解することはなかなか難しく,学生たちは卒業の頃にやっと単位の意味を考えられるようになっていく。さらに,看護学生としての健康管理の重要性や,ハラスメントなどに関すること,悪徳商法やSNS関連のトラブル予防のことなど,最近の学生が遭遇しやすい出来事への対処が書かれている点も見逃せない。そして,2章の「授業が始まったら」では,ノートづくり,グループワークの心構え,プレゼンテーションへの取り組みなどに関することが学生生活や学修に取り組むうえでのヒントになる。そして最終章「充実した学生生活を送るために」では,目標を立て臨むことや卒業後についてのイメージをもつことと共に,看護研究についてもふれられている。つまり,この本は,学生が自分の学生生活をイメージし,今,自分がやっていることがどこにつながっていくのかを示しており,スタディスキルやアカデミックスキルをも含んだ内容となっている。
 教員の推薦で多くの学生に読んでもらい,これからの学生生活を有意義に送るヒントを得てほしいと思う。

(『看護教育』2017年6月号掲載)

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