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ジェネラリストのための内科外来マニュアル 第2版

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ナンバーワン・マニュアルとして不動の地位を得た『ジェネラリストのための内科外来マニュアル』(通称:ジェネマニュ)に、内容を大幅にパワーアップした第2版が登場!診療情報のアップデートに加え、対応する主訴・検査異常の数を大幅に増やし、より幅広い臨床プロブレムに対応できるよう使い勝手を向上。トップジェネラリストならではの外来マネジメントのエッセンスも盛り込まれた、外来で「最も頼りになる1冊」。
シリーズ ジェネラリストのための
編集 金城 光代 / 金城 紀与史 / 岸田 直樹
発行 2017年04月判型:A5変頁:736
ISBN 978-4-260-02806-6
定価 5,940円 (本体5,400円+税)
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推薦のことば(ローレンス・ティアニー)/(金城光代)

推薦のことば
 『ジェネラリストのための内科外来マニュアル 第2版』の巻頭言を書くことは非常に喜ばしい.本書の著者全員と沖縄県立中部病院,札幌の手稲渓仁会病院で一緒に仕事をしてきたことは私にとって栄誉なことである.これら2つの病院が日本の最北と最南に位置しているように,この本も外来でのトピックを端から端まで網羅している.本書の初版は金城光代,金城紀与史,岸田直樹医師の編集のもと,外来診療という重要な臨床の領域に関する書籍として重要な位置を占めるようになった.
ともすれば入院診療のほうが難しいと考えがちであるが,入院患者は常に見守られているのである.一方,外来患者を診る時には時間的制限のなか,適切な診断のための検査・治療を選択し,患者を家に帰してよいかどうかといった難しい判断を次々に下さなければならない.
 外来診療におけるこれらの意思決定に関して本書はすばらしいガイドとなっている.著者はみな臨床,そして教育の達人として名が通っている.若い世代の読者は胸痛,発熱,関節痛など一般的症状に関する診断アプローチを学べることだろう.さらに,しばしば見落とされやすい予防医学(ワクチンなど)についても扱っている.最新の高血圧,糖尿病,膠原病などについても初版から大幅に改訂されていて,実践的で良識的なガイドラインが示されている.外来診療のみならず,あらゆるプライマリ・ケアの現場で働く人々にとって本書はきわめて有用なものであり続けるであろう.
 It is a great pleasure for me to write this preface for the second edition of “A Manual of Outpatient Medicine for the Generalist.” It has been my privilege to work alongside nearly all of its chapter authors at both Okinawa Chubu Hospital and Sapporo Teine Keijinkai Hospital. Just as these two superb hospitals cover Japan from north to south, so too do the authors cover beautifully the common ambulatory complaints from top to bottom. Under the leadership of Drs. Mitsuyo Kinjo, Kiyoshi Kinjo, and Naoki Kishida, this book has taken its place in an important position in the works addressing this crucial area of medical practice.
 We tend to think of inpatients as being the most difficult to care for, but such patients are under scrutiny around the clock. When physicians see outpatients, not only is the time limited, but also there are the difficult decisions to make in concerning the correct diagnostic studies, treatments, and whether the patient is safe to go home.
 The authors succeed wonderfully in providing guidance for this. They are well-recognized around Japan for their expertise in practice and in teaching, and the younger generation who read this volume will profit from diagnostic considerations for symptoms like chest pain, fever, and joint discomfort, among many others. In addition, Commonly overlooked preventive measures including vaccinations are quite nicely discussed. Finally, developments in hypertension, diabetes, and rheumatic diseases, new since the first edition, are considered in a practical way, guidelines for a sensible approach to these conditions are provided. This manual will continue to be of exceptional utility for any provider seeing outpatients, and for that matter any primary care provider.

 2017年3月
 ローレンス・M・ティアニー・Jr
 Lawrence M. Tierney, Jr, MD
 カリフォルニア大学サンフランシスコ校内科学教授
 Professor of Medicine
 University of California San Francisco


第2版 序
 主訴から鑑別疾患を考えていく診断のステップは,10年以上前の内科外来で診察していた時とあまりに変わっていないことに驚く.どの主訴であっても,まず緊急疾患を除外し,よくある疾患を並行して考え,鑑別疾患を挙げていく.病歴と身体診察を繰り返し行き来して,可能性の高い鑑別疾患に絞り込んでいく.
 一方,治療は新たなものがどんどん発表される.専門性の高い治療はなおさらである.
 症候学のアプローチは,年月の流れの中で大きな変化を見せないがゆえに,外来診療の楽しさと診断学の共通した考え方は時代を超えてシェアしていくことができる.
 初版の発行から4年が経ち,今回は初の改訂となる.内容については,臨床現場の指導医や研修医の先生方からいただいたご助言も参考にし,高齢者医療に関連したものや精神科的主訴などを含め,初版に大幅に補足し,また,ガイドラインなど変更があったものについては刷新した.既存項目の一部は執筆者を変更し,多数のコラムも追加している.改訂にあたり貴重なご意見やご助言をくださった先生方にはこの場を借りて深謝したい.
 このたびの改訂にあたり,本書が臨床現場で少しでも読者の先生方にお役に立てることを願ってやまない.

 2017年3月
 執筆者を代表して 金城光代

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イントロダクション
  1 ジェネラリストのための診断アプローチ
  2 ジェネラリストのための外来診療のコツ
  3 ジェネラリストのための抗菌薬の使い方-「使うか」「使わないか」「待つか」

初診外来
 全身症状
  1 「風邪」様症状
  2 熱
  3 寝汗・ほてり
  4 全身倦怠感
  5 体重減少
 痛み
  6 頭痛
  7 胸痛
  8 腹痛
  9 腰痛
  10 関節痛
  11 整形外科的な主訴
 神経系
  12 めまい
  13 意識消失
  14 しびれ
 その他のよくある訴え
  15 咳(遷延性)
  16 呼吸困難
  17 動悸
  18 浮腫
  19 嘔気・嘔吐
  20 下痢・便秘
  21 頸部のしこり
  22 発疹
  23 不眠
  24 精神科的主訴
  25 認知症
  26 高齢者によくあるプロブレム
  27 高齢者の異変

継続外来/健診異常への対応
  1 高血圧
  2 糖尿病
  3 脂質異常症
  4 高尿酸血症・痛風・偽痛風
  5 心房細動
  6 慢性心不全
  7 心電図異常
  8 喘息/COPD(慢性閉塞性肺疾患)
  9 胸部異常陰影(特に孤立性肺結節影)
  10 便潜血陽性
  11 肝機能異常
  12 消化器内科系検診異常
  13 尿蛋白陽性
  14 尿潜血陽性(血尿)
  15 慢性腎臓病/電解質・酸塩基平衡異常
  16 貧血
  17 甲状腺腫大・結節(機能異常含む)
  18 骨粗鬆症
  19 各種スクリーニング
  20 ワクチン・予防(成人)
  21 妊婦と内科疾患
  22 妊婦・授乳婦への薬剤投与

付録
 1 システムレビュー(review of systems:ROS)
 2 NSAIDsの使い方
 3 周術期管理
 4 Geriatric Depression Scale(GDS)簡易版
 5 JCSとGCS

索引

Physician’s Memo
 漢方処方で,不定愁訴にも強くなれる!
 外来経口抗菌薬
 診断がなかなかつかない時
 危険な飲酒のスクリーニングとアルコール関連疾患
 無菌性髄膜炎の鑑別疾患
 肺塞栓症(PE)の診断
 臨床における倫理的な問題の考え方
 背部痛(上背部痛・腰痛)とは
 上背部痛
 線維筋痛症
 失神(syncope)と痙攣(seizure)の鑑別
 鎮痛薬の使い方
 こむら返り
 筋力低下
 高CK血症
 Wallenberg症候群
 振戦(ふるえ)
 Parkinson病
 非喘息性好酸球性気管支炎(nonasthmatic eosinophilic bronchitis)
 Choosing wisely
 嚥下困難の鑑別
 口内炎
 伝染性単核球症
 「高齢者の発熱+頸部痛」ではcrowned dens syndromeを!
 褥瘡について
 味覚異常
 ドメスティック・バイオレンス(DV)と高齢者虐待
 医療連携
 副腎偶発腫瘍のマネジメント(adrenal incidentaloma)
 もう1つの重要なガイドライン(脂質異常症)
 禁煙
 Drug seeking behavior and pain management
 ステロイド用量換算表
 喘息vs COPD vs ACOS
 肺機能検査のみかた
 しゃっくり
 HIV感染症の勘所
 内科医による尿路結石の評価
 資料:白血球数と血小板数の異常
 甲状腺眼症と鑑別疾患
 Mikulicz病
 ワクチン同時接種への対応
 凝固能検査異常の鑑別

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プライマリ・ケアを担うスペシャリストにも熟読を薦めたい
書評者: 上野 文昭 (米国内科学会(ACP)日本支部・支部長)
 医学書籍を選ぶとき,私はまずタイトルに興味を惹かれるかを優先する。当然である。次に著者が信頼できる医師と周知していれば,既にこの時点で評価は高い。本書は,近年ますます重要さを増しているジェネラリスト内科医のためのマニュアルであり,優れたリウマチ内科医であると同時に日本のジェネラリスト内科医のリーダーとして敬愛している金城光代氏(沖縄県立中部病院総合内科/リウマチ膠原病科)とそのグループが編集・執筆された書籍となれば,もう期待感は最高潮である。

◆医師の財産となるような記載

 前半は初診外来での症候ごとに,考えておくべき疾患がCommon/Criticalの別にリストされ,医師の臨床能力を駆使した診断アプローチが手際よく展開されている。検査や治療に関する記載は,最小限にとどめられている。序文にもあるように,検査や治療と異なり,症候学のアプローチは時代遅れになることがほとんどないため,本書の記載の大部分は,いったん学べばこれからの医師の一生の財産となることは間違いない。

 後半は診断がついた後の継続外来の進め方や,健診への対処の仕方などであり,内科日常診療の90%以上が網羅されている。わが国では,健診異常者はスペシャリストに紹介されることが多い。その場合でも何を目的に紹介し,どのようなことが行われるかを理解する上で役立つ内容が記載されている。

◆これからの時代に読んでおくべき一冊

 今,世界ではValue-Based Medicineの波が押し寄せている。近い将来のパラダイムシフトにより,ジェネラリスト内科医が医療の主役となると確信している。供給過剰気味のスペシャリストは,超専門診療への特化またはプライマリ・ケアも同時に行う専門医へと二極化して行くと思われる。ジェネラリストはもちろんのこと,プライマリ・ケアを担うスペシャリストにこそ,本書を熟読されることをお薦めしたい。
錚々たる執筆陣による「お気に入り」の外来マニュアル
書評者: 岩田 健太郎 (神戸大学都市安全研究センター教授・感染症リスクコミュニケーション分野)
◆期待に違わぬ素晴らしい内容

 外来に置いておきたい一冊だ。

 初版もお気に入りで,バイト先の一般内科初診外来で「イワタ専用」として置いておいた。第2版も期待に違わず素晴らしい。まあ,金城夫妻,岸田,西垂水,芹沢,尾原,本村,星(敬称略)という錚々たる執筆陣なので良い教科書なのは当たり前だ。

 外来でよくみる主訴から入り,鑑別疾患リストが頻度順に並べられ,ワークアップのアプローチと治療法まで丁寧に説明されている。本書一冊があれば初診外来は問題なくできる。「内科」と書かれているが,実際には米国のgeneral internal medicineの守備範囲であり,精神科疾患や整形外科疾患,周術期管理まで幅広く網羅している。

◆質の高い内科外来を追体験できる

 残念ながら日本では入院患者の臨床指導は熱心でも,外来は「明日から外来やってね」とティーチングなしでいきなり本番なところが多い。よって外来診療は得てして「我流」になりがちだ。

 しかし,本書を読めばわかるが,外来診療はある意味入院患者のケアよりも,ICUでの患者管理よりも難しい(ところがある)。特に,イケイケ,ガンガンなアプローチはうまくいかないことも多く,検査も治療も足し算だけではなく引き算の発想が必要だ。いかに短時間で効率よく,少ない検査,諸々の患者負担(待ち時間などの時間的,金銭的負担含む)を最小限にしつつ,最大のアウトカムをめざすのだ。外来診療こそ,高度なインテリジェンスを要する,内科医冥利に尽きる鋭意なのだ。

 本書を読めば質の高い内科外来診療のあり方を追体験できる。また,内科医を名乗るのであればこれくらいの守備範囲は網羅できるべきだ(専門医機構さん,聞いてますか?)。

 本書の執筆陣はぼくがよく知る内科医の鑑であり,ロールモデルたちだ。本書からはそのエートスがにじみ出ている。一読をお薦めしたい。
外来教育の欠落を補完してくれる秀逸なマニュアル
書評者: 川島 篤志 (福知山市民病院研究研修センター長/総合内科・医長)
◆外来診療の良書がパワーアップして戻ってきた
 皆さんの外来Debutは卒後何年目であっただろうか? 病院規模や担当診療科によって違うだろうが,そのときの不安な気持ちは覚えているだろうか? 日本の医療現場において,外来診療教育は明らかに遅れている。病棟診療とも救急診療とも違う能力が必要で,初診外来と継続外来でも求められるスキルに違いがある。その違いを知る3人の編者によってまとめられた良書がパワーアップして戻ってきた。

 「イントロダクション」から編者の熱い想いが伝わってくる。初診外来での「身体所見と病歴を行き来する」「患者の解釈モデルを訊く」ことはベテラン医師も納得である。継続外来における「少なくとも年に一度は次の項目を見直す」の項目は,外来の引き継ぎや紹介・逆紹介をする際にも意識すべき重要点でもあり,広く浸透を期待する。外来診療では避けて通れない「感染症診療・抗菌薬適正使用」も必読である。

◆ベテランもうならせる臨床コラムが随所に
 外来では臓器別診療でなくジェネラリストとしての対応が期待されることが多い。内科医として押さえるべき主要疾患がコンパクトにまとめられていることや,予防という観点についても触れられているのは心強い。Physician’s Memoというコラムには,渋い項目(口内炎・味覚異常・Incidentalomaなど)が散りばめられ,ベテラン医師でも思わずチェックしてしまうだろう。

 惜しむらくは,超高齢社会の医療における“主治医・かかりつけ医”の概念について編者らの想いを伝えて欲しかった。緩和ケア領域のSurprise questions(「もし目の前の患者さんが1年以内に死亡したとしたら驚くであろうか」と自問自答する質問)になぞらえて,“入院しても主治医として驚かない”病状にある患者(特に非悪性疾患であるCOPD,心不全のStage D,フレイル,認知症など)は,外来の時点から医療情報を整理・要約する努力が必要で,円滑な救急・入院診療につなげられると提言したい。

 “ジェネラリスト”としての対応が求められる外来には,不安がつきものである。指導医も簡単には見つからない。それを補完してくれる秀逸なマニュアルであり,外来にかかわる医師にとって必携の書籍になることは間違いない。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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