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疾患と異常像がわかる!
エコーの撮り方 完全マスター

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好評書 『解剖と正常像がわかる! エコーの撮り方 完全マスター』 の疾患編。正常のエコーが撮れるようになったら、次は「この疾患はどう撮ればいいのだろう?」という疑問に突き当たるはず。日常検査で遭遇しやすい全領域の疾患を選び、どのような画像を撮ればよいのか、どのようなエコー所見がポイントなのかが一目で直感的にわかるように編集。初心者にはもちろん、経験者にも慣れない領域をカバーする上で必ず役立つテキスト。

編集 種村 正
発行 2015年05月判型:AB頁:280
ISBN 978-4-260-02381-8
定価 5,500円 (本体5,000円+税)

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  • 序文
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はじめに

 皆様,お待たせしました.
 『疾患と異常像がわかる!エコーの撮り方完全マスター』が完成しました.本書は好評を博した『解剖と正常像がわかる!エコーの撮り方完全マスター』の続編で,よりレベルアップするための疾患編という位置づけです.正常のエコーが撮れるようになったら今度は「この疾患はどう撮ればいいのだろう?」という疑問に突き当たるはずです.その要望にお答えしたのが本書です.タイトルを“エコーの読み方完全マスター”ではなく,“エコーの撮り方完全マスター”にしたのは,臨床検査技師として,きれいな画像を撮ることに強いこだわりを持っているからです.
 本書の特徴は,どのような画像を撮ればよいのか,どのようなエコー所見がポイントなのか,どのようなレポートを書けばよいのか,が直感的に解るようにしてあることです.そして,エコー画像,シェーマ,解剖図,被検者写真をふんだんに使い,超音波ビームが臓器をどう切っているから,エコーではどう映っているのかが一見して解るようにしてあります.疾患は日常検査で遭遇しやすい疾患を選びました.必ず皆様のお役に立てるはずです.
 超音波検査がだんだんできるようになってくると,超音波検査が楽しくなってくるはずです.そして,もっと上手くなりたい,もっときれいな画像を撮りたい,もっと疾患のことを知りたい,という欲求が増してくるでしょう.超音波検査はそういう魅力に溢れています.では,超音波検査が上達する近道はなんでしょうか? その答えは沢山の疾患を経験し,それらの疾患を自分の知識にすることです.超音波検査を始めた皆さんはこれから沢山の疾患に出会い,同じ疾患でも沢山のバリエーションがあることを知るでしょう.そして何年経っても今までに経験したことのない疾患に出会うはずです.超音波検査のエキスパートになるには毎日の積み重ねが重要なのです.振り返ってみれば,「あの本が役に立ったなあ」と思える,そんなテキストになれることを願っています.

 種村 正 (たねむら ただし)
 公益財団法人 心臓血管研究所付属病院臨床検査室

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 カラー解剖図
 はじめに

I章 肝胆膵脾
 肝臓
  1.良性腫瘍(肝血管腫)
  2.肝細胞癌
  3.肝内胆管癌(胆管細胞癌)
  4.転移性肝癌
  5.びまん性肝疾患(1)脂肪肝
  6.びまん性肝疾患(2)急性肝炎
  7.びまん性肝疾患(3)アルコール性肝炎
  8.びまん性肝疾患(4)慢性肝炎
  9.びまん性肝疾患(5)肝硬変
 胆嚢
  1.急性胆嚢炎
  2.胆嚢腺筋腫症
  3.慢性胆嚢炎
  4.胆嚢ポリープ
  5.胆嚢癌
 膵臓
  1.膵癌
  2.膵嚢胞性腫瘍
  3.自己免疫性膵炎
  4.急性膵炎・慢性膵炎
 脾臓
  1.悪性リンパ腫
 【I章の略語】

II章 泌尿器(腎)・前立腺・婦人科
 腎臓
  1.良性腫瘍(腎血管筋脂肪腫)
  2.悪性腫瘍(腎盂・尿管腫瘍)
  3.悪性腫瘍(腎細胞癌)
  4.尿路結石
  5.腎盂腎炎・急性巣状細菌性腎炎
 膀胱
  1.膀胱腫瘍
 前立腺
  1.前立腺肥大症
 子宮
  1.悪性腫瘍(子宮癌・子宮肉腫)
  2.子宮筋腫
  3.子宮腺筋症
 卵巣
  1.卵巣腫瘤
 【II章の略語】

III章 消化管
 上部消化管
  1.食道癌
  2.急性胃粘膜病変
  3.胃潰瘍・十二指腸潰瘍
  4.胃アニサキス症
  5.胃粘膜下腫瘍
  6.肥厚性幽門狭窄症
  7.胃癌
  8.胃リンパ腫
 下部消化管
  1.炎症性腸疾患(1)潰瘍性大腸炎
  2.炎症性腸疾患(2)クローン病
  3.イレウス
  4.腸重積
  5.感染性腸炎
  6.虚血性大腸炎
  7.大腸憩室周囲炎
  8.大腸癌
 虫垂
  1.急性虫垂炎
 疾患ではないが知っておくべきエコー所見
  (1)フリーエアー(腹腔内遊離ガス)
  (2)経口腸管洗浄剤服用後の拡張腸管

IV章 心臓
  1.大動脈弁狭窄症
  2.僧帽弁狭窄症
  3.僧帽弁閉鎖不全症(僧帽弁逆流)
  4.大動脈弁閉鎖不全症(大動脈弁逆流)
  5.三尖弁閉鎖不全症(三尖弁逆流)
  6.人工弁機能不全
  7.感染性心内膜炎
  8.急性心筋梗塞
  9.陳旧性心筋梗塞
  10.拡張型心筋症
  11.肥大型心筋症
  12.閉塞性肥大型心筋症
  13.心アミロイドーシス
  14.心サルコイドーシス
  15.たこつぼ心筋症
  16.大動脈解離
  17.急性肺塞栓症
  18.急性心膜炎(心タンポナーデ)
  19.収縮性心膜炎
  20.心房中隔欠損症
  21.心室中隔欠損症
  22.左房粘液腫
  23.心内血栓(左房内血栓)
  24.高血圧性心疾患
 疾患ではないが知っておくべきエコー所見
  (1)S字状中隔
  (2)僧帽弁輪石灰化
  (3)大動脈弁石灰化
  (4)クマジン稜
  (5)心外膜下脂肪
  (6)ユースタキウス弁
  (7)心房中隔の脂肪腫様過形成
  (8)分界稜
 【IV章の略語】

V章 血管〈頸動脈・腎動脈〉
 頸動脈
  1.プラーク(隆起性病変)
  2.総頸動脈狭窄症
  3.内頸動脈狭窄症
  4.内頸動脈閉塞症
  5.頸動脈ステント内挿術(CAS)前
  6.頸動脈ステント内挿術(CAS)後
  7.頸動脈内膜剥離術(CEA)前
  8.頸動脈内膜剥離術(CEA)後
  9.高安動脈炎(大動脈炎症候群)
  10.大動脈弁不全
  11.鎖骨下動脈閉塞症・狭窄症
 腎動脈
  1.慢性腎不全
  2.腎動脈狭窄症
  3.高安動脈炎による腎動脈狭窄
  4.線維筋性異型性(FMD)
  5.大動脈解離による腎動脈狭窄
  6.複数腎動脈
 【V章の略語】

VI章 血管〈腹部大動脈・下肢動脈・下肢静脈〉
 腹部大動脈
  1.腹部大動脈瘤
  2.大動脈解離
  3.炎症性腹部大動脈瘤
  4.胸腹部大動脈瘤
  5.高安動脈炎
  6.脾動脈瘤
  7.ルリッシュ(Leriche)症候群
  8.感染性大動脈瘤
 下肢動脈
  1.閉塞性動脈硬化症(総腸骨動脈閉塞)
  2.急性動脈閉塞症
  3.膝窩動脈外膜嚢腫
  4.仮性動脈瘤
  5.動静脈瘻
  6.バージャー病(ビュルガー病)
 下肢静脈
  1.深部静脈血栓症(ヒラメ静脈)
  2.深部静脈血栓症(腸骨~大腿領域)
  3.静脈瘤(大伏在静脈弁不全による)
 疾患ではないが知っておくべきエコー所見
  (1)もやエコー像
 【VI章の略語】

VII章 体表臓器〈乳腺・甲状腺・唾液腺〉
 乳腺
  1.線維腺腫
  2.葉状腫瘍
  3.乳管内乳頭腫
  4.乳腺炎
  5.乳頭腺管癌
  6.充実腺管癌
  7.硬癌
  8.粘液癌
  9.非浸潤性乳管癌
 甲状腺
  1.橋本病
  2.バセドウ病
  3.亜急性甲状腺炎
  4.急性化膿性甲状腺炎
  5.濾胞腺腫
  6.乳頭癌
  7.腺腫様甲状腺腫(多結節性甲状腺腫・腺腫様結節)
  8.上皮小体腺腫
 唾液腺
  1.多形腺腫
  2.腺リンパ腫
  3.唾石
  4.流行性耳下腺炎
  5.顎下腺膿瘍

VIII章 運動器
 運動器・関節
  1.関節リウマチ
  2.石灰性腱炎
  3.骨折
  4.肩の腱板断裂
  5.上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎
  6.変形性膝関節症
  7.オスグッド-シュラッター病
  8.肉ばなれ
  9.石灰化に伴うアキレス腱炎
  10.アキレス腱断裂
  11.前距腓靱帯損傷
 軟部組織
  1.粉瘤
  2.脂肪腫
  3.ガングリオン
  4.神経鞘腫

索引

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この2冊を熟読して超音波が似合うかっこいい医者になろう
書評者: 山中 克郎 (諏訪中央病院内科総合診療部/院長補佐)
 救急室での診療がかっこいい医者とそうでない医者がいる。その境目は何なのか? 彼らはおしなべてエコーを有効に使っていることに気が付いた。プローブを握る姿がかっこいいのではない。エコーを使いこなし適切に診断する,そのスピード感に痺れるのである。

 スマートフォンの小型化と機能の向上を考えると,聴診器と同じように携帯型エコーを誰もが持ち歩く時代が来るのかもしれない。先進国の中でも日本はCT撮影が多く,癌患者の100人に3人は医療被曝が原因との推計もある 1)。ちなみに他の先進国では100人に1人である。医療被曝を減らすためにも,ベッドサイドで行う安全なエコー検査はもっと普及するべきだろう。

 本二書は超音波診断にあまりなじみのない医師にとっても,「超音波ビームがどこから,どのように臓器を横断しているから,エコーではどう映っているか」が「エコー画像,シェーマ,解剖図,被験者写真の4点セット」でわかりやすく示されている。執筆陣は検査技師の皆さんである。さすが専門家だけあってワンポイントアドバイスや陥りやすい誤りに対するノウハウがふんだんに示されている。

 プローブの持ち方から始まり,肝胆膵脾,腎臓,前立腺,子宮,消化管,心臓,血管,乳腺,甲状腺,唾液腺,関節まで幅広く基本手技が解説されている。救急診療でよく遭遇する急性胆嚢炎,水腎症,急性虫垂炎,急性心筋梗塞,腹部大動脈瘤,深部静脈血栓症について,典型像とエコー所見,明確なアドバイスが記載されているのはありがたい。

 最近では救急医療,外来診療,往診の場での迅速な超音波診断や処置(Point of Care)をもっと普及させようとする動きが日本でも広まりつつある。整形外科領域では盛んに超音波を用いた診断が行われている。肋骨骨折や肩の滑液包炎の診断に今やエコーが欠かせない。臨床の現場に出たばかりの初期研修医にも非常に有効な武器となるだろう。

 エコーの達人による患者への優しい心遣いと,適切なプローブさばきが醸し出す雰囲気には静かな自信と迫力が感じられる。超音波検査は術者によって所見が変わるというイメージは根強い。しかし,聴診だってそうじゃないか。訓練を重ねなければ,微細な心雑音は聞こえてこない。この2冊を密かに熟読してトレーニングを積み,超音波診断が似合うかっこいい医者になろうではないか。

1)Gonzalez AB, et al. Risk of cancer from diagnostic X-rays: estimates for the UK and 14 other countries. Lancet 2004; 363(9406): 345-51. [PMID: 15070562]

(この書評は,本書 『疾患と異常像がわかる! エコーの撮り方 完全マスター』 と 『解剖と正常像がわかる! エコーの撮り方 完全マスター』 の2冊について書かれたものです)

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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