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正常と異常が一目でわかる 総合診療のための病理診断ケーススタディ

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病理と内科の専門医資格をもつ著者が、内科診断のための「正常と異常の基礎」を解説する。壊死、萎縮、塞栓、炎症、腫瘍といった病変のパターンを、20の症例で学んでいく。病変所見に加え、「正常像」も提示し、何が変わったのか、どう変わったのかを見える形で提示する。
監修 青木 眞
執筆 砂川 恵伸
発行 2019年07月判型:B5頁:152
ISBN 978-4-260-02872-1
定価 4,400円 (本体4,000円+税)

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監修の序(青木 眞)/はじめに(砂川恵伸)

監修の序

 病理診断を生かすも殺すも臨床情報に基づく病態生理の理解である.臨床情報のない病理診断は,全焼となった廃墟を前にして,火事の原因がタバコの不始末なのか,放火であるのかを決めるのに似ている.発熱に伴う皮疹や原因不明の潰瘍病変の組織診断が「非特異的炎症」という回答であったときの混乱は誰でも経験している.
 診断には組織学的情報に加えて臨床的なシナリオが必要であり,皮疹の背景に血管炎やウイルス感染症を想定する能力が必要である.優れた病理医は,当然,優れた臨床医であることが求められる所以である.

 砂川恵伸先生は,臨床の言葉を理解する数少ない病理医である.彼は外来で肺炎症例をみながら,頭の中では患者の肺の組織像を同時にみている.

 本書では,砂川先生が壊死や梗塞といった基本的な病態の組織像を正常と異常を対比させながら示してくれている.この代表的な組織所見を一種の総論として押さえることで,初学者の病理所見の受け止め方が,今後大きく前進するだろう.

 本書作成にあたって,髙橋健祐氏,濵名香野氏に貴重なアドバイスをいただいた.この場を借りて謝意を表したい.

 2019年5月
 感染症コンサルタント
 青木 眞


はじめに

 本書はこれから病理診断を学びたい,またはもう一度病理診断を学びたいという初学者向けに作成した.
 臨床診断の延長線上に肉眼および組織診断は位置する.本書は遭遇する頻度が高い病変の肉眼像と組織像を提示した.組織診断には主に光学顕微鏡を用い,免疫組織学的手法などは初学者にとってなじみが低いため割愛した.

本書の特徴を以下に示す.
・「I 病理診断のルール」では,肉眼診断と組織診断について述べた.
・「II 病理診断ケーススタディ」では,「代謝障害」「循環障害」「炎症」「腫瘍」の代表的な20例を提示した.その順番は病理成書に記載されている総論の順番に則った.
・症例を提示したのちに,疾患の解説をした.
・病理写真は「正常」と「異常」を比較した.
・提示する写真の順番を肉眼所見→組織の低倍率像→中倍率像→高倍率像の順で提示した.(高倍率像とは細胞の核が観察可能な倍率である.低~中倍率像では個々の細胞より,全体的な構造や分布を観察する)
・組織写真は光学顕微鏡像を用いた.
・組織写真の染色法はヘマトキシリン-エオジン(H-E)染色を原則とした.

 本書が日常の臨床診断に少しでも役立てば幸いである.

 2019年5月
 砂川恵伸

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I 病理診断のルール
 1 肉眼診断のルール―白は悪性腫瘍
 2 ミクロは紫色とピンク色

II 病理診断ケーススタディ
 〔代謝障害〕
  症例1 劇症肝炎は大量の細胞の死
  症例2 細胞は脱落すれば線維に置き換わる
  症例3 副腎皮質の萎縮は命にかかわる
  症例4 大きくなっても規律正しく
  症例5 化生は細胞の七変化
 〔循環障害〕
  症例6 潰瘍は肉芽組織により修復される
  症例7 うっ血は血管の中,水腫は血管の外
  症例8 梗塞は血流の遮断により起こる
  症例9 血栓塞栓は遠いところから飛んでくる
 〔炎症〕
  症例10 ショックをきたすと組織はピンク色になる
  症例11 大葉性肺炎は孔を通して炎症が広がる
  症例12 特異的炎症は肉芽腫と巨細胞を探す
  症例13 ウイルス感染症の診断は,封入体を探そう
  症例14 膿は好中球の塊
  症例15 チーズ様壊死は脂質を多く含む
  症例16 感染症の病理像は,宿主の免疫状態に依存する
  症例17 自己免疫性疾患は,自分の細胞・組織を標的にして炎症が起こる
 〔腫瘍〕
  症例18 癌は色と形で判定する
  症例19 Kaposi肉腫は肉眼的に紫色
  症例20 Hodgkinリンパ腫は,過去に炎症性疾患と考えられていた

コラム
 ・「なんだ,これは」
 ・検体の処理法・染色法により,同じ細胞でも違ってみえる
 ・壊死だけだ
 ・一目でわかる病気,奇形腫
 ・リンパ球性心筋炎
 ・クリプトコッカスの病理診断は,莢膜を証明する
 ・いまでは日本でみられない寄生虫症
 ・病理学と医学教育

参考文献
索引

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