今日の小児治療指針 第16版

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小児に関わる全領域を網羅し、第一線のエキスパートが最新の治療法を具体的かつ実践的に解説。今版では、小児領域でも注目が高まる「小児在宅医療」の章を新設。また、重要疾患の「治療のポイント」、「専門医へのコンサルト」、「患児・患者説明のポイント」等の情報も随時掲載した。ハンディサイズで、日常診療に役立つ1冊。
シリーズ 今日の治療指針
総編集 水口 雅 / 市橋 光 / 崎山 弘
発行 2015年09月判型:A5頁:1032
ISBN 978-4-260-02084-8
定価 17,600円 (本体16,000円+税)
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第16版 序

 「今日の小児治療指針」の初版は1970年に発行されました.以来半世紀近くにわたって本書は,小児の診療についての代表的な定本として,小児科,内科,その他小児を診療する各科の先生方から多大なご支持をいただいてまいりました.この間に,小児の医療・保健の状況,小児を取り巻く家庭・学校・社会の環境は激変してきました.本書はそれに応じて各項目の内容や執筆者の陣容を,版を重ねるごとに一新しながら,実際の診療に即したアップデートを重ねつつ第16版に至りました.今回は,旧版の編集に携わった水口とともに市橋,崎山が新たに加わり,体制と内容を一新しました.
 本書は28の章から構成され,707項目についてその領域の第一線で活躍中の668人のエキスパートに,現時点における最も適確な治療法のエッセンスを書き下ろしていただきました.今回の改訂における新企画の第1として,主要な110以上の項目において「治療のポイント」を設けました.本欄では,小児の診療に際してあらかじめ念頭においておくべき事項,治療の参考となるガイドライン,治療の原則などを掲載しています.新企画の第2として,「専門医へのコンサルト」「患児・家族説明のポイント」「看護・コメディカルへの指導」を必要に応じて記載しました.「専門医へのコンサルト」では専門医への紹介のタイミングなど,「患児・家族説明のポイント」では疾患や治療法について説明する際に伝えなければならないこと,注意すべきことなど,「看護・コメディカルへの指導」では医師の立場から看護師などのコメディカルに注意してほしいことなどを,簡潔・明快に示しています.
 さらに今回の改訂では,「小児在宅医療」の章を新設いたしました.小児の在宅医療には新生児医療(NICU)との関連が強いこと,在宅人工呼吸器の使用など医療密度の高い例が多いこと,受け入れる医療機関が少ないこと,教育関係者との連携が必要なことなど,特有の課題が多く存在します.本書では小児の在宅医療へのニーズと関心の高まりに鑑みて,関連する他職種との連携,在宅での管理などを中心に,小児の在宅医療のポイントをまとめて示しました.
 新たな魅力を加えた本書がこれまでにも増して多くの皆様にご利用いただき,子どもの診療の現場で活用されることを心より願っています.

 2015年7月
 水口 雅
 市橋 光
 崎山 弘

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1 救急医療
2 治療手技
3 小児診療にあたって
4 新生児疾患
5 染色体異常,奇形症候群
6 先天代謝異常
7 内分泌疾患
8 代謝性疾患,栄養障害
9 免疫疾患,膠原病
10 アレルギー疾患
11 感染症,寄生虫症
12 呼吸器疾患,胸部疾患
13 消化器疾患,腹部疾患
14 循環器疾患
15 血液・腫瘍性疾患
16 腎・泌尿器疾患
17 生殖器疾患
18 神経・筋疾患
19 精神疾患,心身医学的問題,発達障害
20 思春期医療
21 小児保健
22 学校保健
23 骨・関節疾患
24 皮膚疾患
25 眼疾患
26 耳鼻咽喉・気管の疾患
27 小児歯科・口腔外科疾患
28 小児在宅医療

付録1 小児薬剤投与法の原則
付録2 脳死判定と脳死下臓器提供
薬品名索引
和文索引
欧文索引

資料一覧
 在胎期間別出生体重・身長・頭囲標準値
 在胎期間別出生体重・身長・頭囲標準曲線
 身長・体重・胸囲・頭囲のパーセンタイル値
 乳幼児身長・体重発育パーセンタイル曲線
 標準身長・体重表
 標準成長曲線
 体重・身長から体表面積を算出するノモグラム
 学校保健安全法施行規則における感染症の種類
 DPT-IPVを受ける場合の乳幼児予防接種スケジュール
 小学生~高校生相当年齢の予防接種スケジュール
 日本の定期/任意予防接種スケジュール(2015年5月18日以降)

 学校生活管理指導表(小学生用,中学・高校生用)

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子どもの診療にかかわる全ての医師に勧めるマストハブの書
書評者: 原 寿郎 (福岡市立こども病院院長/九州大学名誉教授)
 小児科診療の第一線では,重症度・種類が多様な小児疾患に対応しなければならない。本書は小児科医が遭遇する疾患ごとに,その領域の第一線のエキスパートが,最新の治療法を具体的かつ実践的に,重要疾患の「治療のポイント」「専門医へのコンサルト」「患児・家族説明のポイント」「看護・コメディカルへの指導」などの情報を盛り込みながら解説してある。また,救急医療の項では,症候別・疾患別に鑑別法とともに治療法が記載してある。

 検査や疼痛緩和のための鎮静法,治療手技や小児診療に必要な知識も漏れなく盛り込まれている。腎・泌尿器疾患,生殖器疾患,精神疾患,心身医学的問題,思春期医療,骨・関節疾患,皮膚疾患,眼疾患,耳鼻咽喉・気管の疾患,小児歯科・口腔外科疾患など,特に他診療科と協力が必要な疾患では,必要に応じ「専門医へのコンサルト」という項目で明確に解説してある。そして付録や資料では小児薬剤投与法,脳死判定と脳死下臓器提供,標準値,予防接種スケジュールなど小児科診療に必要な情報が添付されている。

 本書は1970年の第1版から現在の第16版まで長い歴史を有し数年ごとに改訂されているが,今回も編集者の新しい企画が生かされた意欲的な書となっている。

 編集には専門知識が豊富な大学教授と第一線での臨床経験が豊富な開業医が参加し,幅広い視野で行われている点も特徴である。

 今版から小児医療の新しい問題「小児在宅医療」の章が新設され,訪問診療,在宅医療の要点が記載されている点は注目に値する。今後ますます必要性が増す医療分野で一層実用性が高い情報源となっていくと思われる。

 各種疾患の治療法については広汎な情報が簡潔に集約されている。この情報の包括性は,初期・後期研修医,実地医家,救急診療に従事する一般小児科医はもちろん,種々の小児科専門分野の診療に従事するサブスぺシャリストにも有用である。またプライマリ・ケア医,他科専門医が小児患者に接する場面でも大いに力を発揮するだろう。

 小児科学の膨大な知識を全て吸収し正確に記憶することは不可能に近い。それが多忙な小児科医にとって臨床の現場で知識を確認できるよう,コンパクトな一冊にまとめられている。治療に使用する薬剤は実地臨床に役立つよう商品名も記載されている。まさに日々の臨床時に手元に置いて参考にすべきマストハブの書であると推薦する。
本書により私たちは「専門性」という桎梏を超えることができる
書評者: 黒木 春郎 (外房こどもクリニック院長)
 人は常に社会的局所でのみ生活する。自分の身の回りとその仕事,誰もがそこからの視点で世界を見る。そしてそのことの限界から逃れきれない。医師であっても他の職業であっても同様である。臨床医を例にとれば,働く場所が診療所か集中治療室かで求められるものは異なる。そうすると,己の発想も思考もいつの間にか自分の環境に規定されてくる。開業医と勤務医の乖離はそこから生じる。

 本書をそばに置くことで,そうした限界を常に意識できる。そして時には超えることも可能となる。小児科医に求められるものは何であろうか? その専門性とは何であるのか? 小児科の臨床医であれば,自分の専門でない分野に対しても,小児に関連する全領域に少なくとも言及できる素養は必要である。本書はその要求に応えるものである。

 例えば感冒の項目では,当然であるが抗菌薬使用は勧めていない。心肺停止に際してはPBLS,PALSを簡潔に紹介している。まさしく,プライマリ・ケアから救急現場まで網羅されている。夜尿症に関しても単一・非単一症候群という最新の分類に即して,DDAVPの使用に言及している。臍ヘルニアには圧迫法を紹介し,肛門周囲膿瘍には2種類の漢方薬を提示している。これらの疾患は以前ならば「経過を見れば治る」と言われていたものである。しかし,「経過を見る」という対応は患者さんの要望・悩みに応えるものではない。一方,本書の記載は実際の解決方法を明示したものであり,patient orientedと言える。細菌性髄膜炎の治療には肺炎球菌の耐性化を考慮してバンコマイシンを紹介し,梅毒の治療では米国の治療指針を示しながら日本での実情に即した代替薬使用を勧めるなど,実践的な記載である。在宅医療の項では,そのマナーから章立てが始まり,保険診療の実際から福祉との連携の具体例まで挙げられている。小児に使用する薬剤の適応外使用に関しては社会的問題の提議があり,巻末には,脳死判定・脳死下臓器提供も記載されている。およそあらゆる分野を網羅している。

 かつてアレキシス・カレル(1873-1944)は,医学は病人を細分化してしまったと言った。そして細分化された領域の専門家が自分の専門分野のみに拘泥すれば,その分野の理解さえも不完全になると述べた。本書は小児科とその関連領域を多岐にわたり網羅している。707項目を668名の専門家が執筆している。1970年初版の第16版であり,伝統ある書物である。伝統の上にさらに現在の知見が蓄積されている。本書を座右に置き,その目次の項目を眺め,自分ならどう対応するか考え,それからその項目を読み進める。それは,単なる座学ではなくその項目の著者との対話となる。そのような作業により私たちは「専門性」という桎梏を超えることができるであろう。

 プライマリ・ケアから三次医療まで,救急現場から在宅医療まで,本書は小児を診療する全ての医師が座右に置くべき書である。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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