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がん診療レジデントマニュアル 第6版

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腫瘍内科学を主体とした治療体系をコンパクトにまとめた定評あるレジデントマニュアルの改訂第6版。新規抗がん剤や分子標的薬の開発により、がん医療はますます多様化・複雑化している。安全かつ有効ながん薬物療法を提供するために、レジデントのみならず、がん医療に携わる医師、看護師、薬剤師など多くの関係者必携の書。(1)実際的、(2)簡潔明瞭、(3)最新を旨とし、可能な限りレベルの高いエビデンスに準拠。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
国立がん研究センター内科レジデント
発行 2013年10月判型:B6変頁:528
ISBN 978-4-260-01842-5
定価 4,400円 (本体4,000円+税)
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  • 序文
  • 目次
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第6版の序

 1997年に刊行されたがん診療レジデントマニュアルは,このたび第6版となりました。初版で分担執筆者として参画させていただいたレジデント1年目の私も,気がつけば編集責任者の重責を担うこととなっていました。レジデントマニュアルは初版出版後,3年ごとの改訂を行ってきましたが,最近のがん薬物療法の進歩は目覚ましく,新しいエビデンスの確立,新規薬剤の臨床導入など,3年ごとの改訂ではやや不十分と感じることもあるほどです。
 このマニュアルは,初版からの方針である「レジデントによるレジデントのためのマニュアル」に始まり,「日本人向けのマニュアル」ではなく,「世界標準治療がわかるマニュアル」を基本コンセプトとしています。このため,抗悪性腫瘍薬の用法・用量をはじめとして,本邦の現状と異なる記載内容も多く,「このマニュアルは使えない」と厳しい御意見をいただいたり,編集委員の間でも激しい議論になったことが幾度となくあります。しかしながら,今や治療開発,薬剤開発はグローバル化が進み,日本国内のみの議論に終始しているようでは,ドラッグラグ克服はもとより,世界の治療開発に乗り遅れることは必至です。このマニュアルを目にされるであろう,初期研修中の先生方,腫瘍内科医を目指す先生方,看護師,薬剤師の方々に,世界標準治療のみならず,日本と世界の違いについても知るきっかけにしていただければ幸いです。
 この第6版では,前述の基本コンセプトに加え,
 2012年10月までの情報を盛り込む
 可能な限りのコンパクト化
も執筆コンセプトに加えました。特に後者は重要な編集課題で,前版(第5版)は初版の1.5倍の厚さになっていましたので,増加するエビデンスを可能な限りコンパクト化することに努めました。電子媒体やスマートフォンが一般的な時代ではありますが,白衣のポケットに収納できるコンパクトサイズ,手に取ってすぐに調べられるスタイルは,今後も粘り強く守り通していきたいと考えています。

 2013年9月
 国立がん研究センター中央病院内科医長 山本 昇

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1 がん診療とインフォームド・コンセント
2 がん薬物療法の基本概念
3 臨床試験
4 肺がん・胸膜中皮腫
 肺がん/胸膜中皮腫
5 乳がん
6 頭頸部がん
7 食道がん
8 胃がん
9 大腸がん
10 肝・胆・膵がん
 肝臓がん/胆道がん/膵がん
11 婦人科がん
 子宮頸がん/子宮内膜がん/卵巣がん(上皮性卵巣がん)
12 泌尿器腫瘍
 前立腺がん/膀胱がん/上部尿路がん(腎盂・尿管がん)/腎細胞がん
13 胚細胞腫瘍
14 造血器腫瘍
 急性白血病/骨髄異形成症候群/慢性白血病/悪性リンパ腫/
 成人T細胞白血病/リンパ腫/多発性骨髄腫
15 造血幹細胞移植
16 骨・軟部肉腫,その他の非上皮性腫瘍
 悪性骨腫瘍/軟部肉腫
17 皮膚がん
18 原発不明がん
19 脳腫瘍
20 がん性胸膜炎・がん性腹膜炎・がん性髄膜炎・がん性心膜炎
 がん性胸膜炎/がん性腹膜炎/がん性髄膜炎/がん性心膜炎
21 感染症対策
22 がん疼痛の治療と緩和ケア
 緩和ケア/精神的ケア
23 骨髄抑制
24 消化器症状に対するアプローチ
25 抗悪性腫瘍薬の調整・投与方法と漏出性皮膚障害
 抗悪性腫瘍薬の調整・投与方法/抗悪性腫瘍薬の漏出性皮膚障害
26 がん治療における救急処置-オンコロジック・エマージェンシー
27 腫瘍随伴症候群

付録1 抗悪性腫瘍薬の種類
付録2 体表面積算定表
付録3 抗悪性腫瘍薬の略名

あとがき
和文索引
欧文索引

Memo 一覧
 antibody-drug conjugates(ADCs)
 deepness of response(最良腫瘍縮小割合)
 randomized discontinuation design(ランダム化中止デザイン)
 mTOR阻害剤
 補完・代替医療(complementary and alternative medicine: CAM)
 IRCI(the International Rare Cancers Initiative)
 NBI(narrow band imaging)
 Lynch症候群
 神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)
 膵がん治療に関する新情報
 HPVワクチンの効果
 胚細胞腫瘍poor riskに対するdose dense therapy
 CLLに対する新規治療薬:ibrutinib
 post-transplant cyclophosphamide(Cy)を用いた
  HLA半合致血縁者間造血幹細胞移植
 抗PD-1(programmed cell death-1)抗体
 QALY(quality adjusted life years)
 抗悪性腫瘍薬の適応外使用(off-label use)
 comprehensive geriatric assessment(CGA)

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レジデントによるレジデントのためのがん診療マニュアル
書評者: 堀田 知光 (国立がん研究センター理事長・総長)
 『がん診療レジデントマニュアル』の書評を書くのは二度目である。1997年に創刊された本書は3年ごとに改訂され,今回が第6版になる。前回の書評は2003年の第3版であるから,10年が経過した。そこで前回の書評をあらためて読み返してみたが,基本的な印象は変わっていない。すなわち,初版以来本書のコンセプトである(1)国立がん研究センターの現役レジデントが執筆を担当し,各専門分野のスタッフがレビューする編集方針をとっており,極めて実践的かつ内容的には高度であること,(2)最新の情報をもとに治療法のエビデンスのレベルが★印の数により一目でわかるように記載されていること,(3)単なるクックブックのようなマニュアル本でなく,腫瘍医学を科学的・倫理的に実践するための必要かつ不可欠の要素がコンパクトにまとめられていることなどである。特に,がん腫別の診断や治療,予後についての最新のデータに基づく解説はもちろんであるが,インフォームド・コンセント,臨床試験のあり方,化学療法の基礎理論,疼痛対策と緩和医療,感染症をはじめとする化学療法の副作用対策についてもバランスよく記載されていることが特徴である。また,外形や様式も白衣のポケットに収まるサイズでありながら,活字は8ポイントの大きさで読みやすく,二色刷で要所を強調しているなど使い勝手の良さも受け継がれている。一方,内容としては第5版から3年間のがん診療とがん臨床研究の進歩が漏れなく盛り込まれている。今日のがん診療とがん臨床研究の進歩のスピードと豊富さから言えば,版を重ねるごとにボリュームが増えそうなものだが,内容がよく吟味され既に常識として定着している事項はできるだけ簡素にして全体のボリュームがコントロールされている。随所にある「Memo」には新しい用語の解説やトピックスが紹介されており,医療の進歩や変化が端的に表れているのを実感できる。

 近年のがん薬物療法は切れ味鋭いが毒性にも特別な注意が必要な薬剤が主体となっており,薬物の作用機序,薬物動態,毒性の管理や効果判定などにおいて十分に訓練された医師の下で行われる必要性が増してきている。そのような背景にあって,国立がん研究センターはがん診療の専門家を養成するレジデント制度を含む教育研修プログラムを整え,多くのがん専門医を輩出してきた。本書は国立がん研究センターの腫瘍内科レジデントによるレジデントのための診療マニュアルである。常に携帯して参照できる実践的指南書であり,がん診療にかかわる若手医師にぜひ薦めたい一冊である。
エビデンスが明確でわかりやすい診療マニュアル
書評者: 小松 嘉人 (北大病院診療教授・化学療法部長・腫瘍センター副センター長)
 このたび,『がん診療レジデントマニュアル 第6版』に対する書評を書くようにご依頼をいただいた。おそらく,私は実はがん診療レジデントマニュアルの第1版の著者の一人であるので,先輩として後輩たちの作った第6版を厳しく評価せよ(笑)ということであろうと思われるので,お引き受けした。

 世の中には,たくさんのがんの本が出版され,どれを選んで良いのか,迷う先生方も多いのではないだろうか? 最近は随分減ってきたが,私がマニュアル作りに携わったころには,がんのテキスト本でも,著者の私見ばかりで,しっかりとしたエビデンスの記載のないものがたくさんあった。やはり記載された文書には,その考え,解説に至ったエビデンスの出典がしっかり記載されたテキスト本を選ぶべきである。そういう点から,本書を読むと,まさにその通りで事細かに,適切なエビデンスが選ばれており,著者の記載が適切であることが保証されている訳である。われわれが,抗がん剤という毒性の強い薬を患者に用いるときに,EBMの裏付けのない治療を施行することは絶対に避けねばならないが,本書を選択すればその心配はほぼないものと思われる。しかも,そのエビデンスも重要度が★によって判りやすく格付けがなされ,その推奨度が一目でわかるようになっている。

 さらに本書は,治療のみならず,疫学から必要な検査,病理所見から治療成績の結果,実際の投与量までが,簡潔明瞭にまとめられている。したがって,がん診療を始められたばかりの研修医やレジデントの先生は,これを一冊持ち歩くだけで,患者に必要な検査のオーダーから,確定診断をし,治療方針を立て,必要な化学療法を選択することが可能となり,大変有意義な書であると思われる。また,それだけの重要なEBMが記載してある割には,レジデントが中心にまとめているために,難解な事項をわかりやすく,かみ砕いて平易な文書で記載してあり,医師のみならず,看護師や薬剤師などのmedical staffや,学生にでもわかりやすい本となっている。またほとんどの各種がんを網羅しており,さまざまながん腫を診なくてはいけない腫瘍内科にとって大変有用であり,セカンドオピニオンをするときに,自身の専門外の腫瘍のエビデンスの確認用としても最適な本であることは間違いない。指導医クラスの医師にとっても,日々忙しく,なかなか新しい論文を読めないような方には,エビデンスブックとして利用いただくのもよろしいかと思われる。

 OBであるがゆえに辛辣な批評をせねばならないところであろうが,残念ながら文句のつけ所はあまりない。願わくば,学生や貧乏なレジデントのために価格が下がれば言うことはないのではと思われるが,まさにがんと戦うすべての仲間のための必携の書といえる。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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