理学療法研究法 第3版

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第3版では構成・内容ともに全面的に一新する改訂を行い、理学療法士養成校学生に向けてこれまで以上に系統的かつ平易な内容とした。「発表の方法」の章では、図表の書き方、プレゼンテーション、基本的な論文の構成・書き方をそれぞれ分かりやすく解説し、卒業研究での活用を視野に入れた内容ともなっている。また、「研究の実際」を設け、代表的な研究デザインによる具体例を収載。卒後にも役立つ内容となっている。
*「標準理学療法学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 標準理学療法学 専門分野
シリーズ監修 奈良 勲
編集 内山 靖 / 島田 裕之
発行 2013年11月判型:B5頁:320
ISBN 978-4-260-01547-9
定価 5,170円 (本体4,700円+税)

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第3版 序

 2001年に「標準理学療法学 専門分野」シリーズの初陣として,本書『理学療法研究法』が発刊された.2006年に発刊した第2版では,初版の基本構成と執筆者を継承し,統計に関する項目の充実と論文の書き方を加えるなどの修正を行った.第3版では,第2版の序でも予告したように,基本構成の変更を含めた大幅な改訂に向けて入念な準備を進めた.その一環として,編集者に島田裕之先生をお招きして一層の充実をはかった.この間,読者の皆様から高い評価をいただき,あわせてよりよい内容づくりにさまざまなご意見をいただいたことに改めて感謝したい.
 初版から数えれば12年,第2版からも7年が経過し,理学療法における研究をとりまく社会の変化は著しい.第1には,2003年7月に厚生労働省から「臨床研究に関する倫理指針」が示され,臨床研究における個人情報の取り扱いを含めた倫理審査における体系化の普及・啓発がなされた.第2には,診療ガイドラインが拡充するなかで,臨床疫学に基づく大規模なランダム化比較試験(RCT)による研究デザインのニーズが高まっている.一方で,第3には,昨今の医療経済や保険制度の変化によって,日常業務の中で臨床研究を併行する環境は厳しさを増している.専門職は,個の対象に対する最善を尽くす臨床実践と,よりよい治療/介入法を試行・標準化する狭間で倫理的ジレンマが生じる.また,臨床研究が大型化・重厚化したことで,研究を業とする者との連携や一定の予算とマンパワーの確保も重要な要素となっている.
 初版の序を見直すと,当時の理学療法士養成課程は120校あまりで1学年の総定員数はおよそ4,000人と記述されている.現在ではこの数字は,250校,13,500人となっている.
 このような現状を鑑み,第3版では,(1)すべての理学療法士養成課程に必要不可欠な基礎・基本の内容を厳選したこと,(2)研究倫理・倫理的手続きについて具体的に提示すること,(3)統計について導入からソフトの活用までを系統的にわかりやすく示すこと,(4)初学者の思考過程・実践手順に沿った目次編成・見出しとすること,(5)大学院生や臨床家にも有益な実践編を別項目として拡充すること,を骨子として編集を進めた.幸いにも,編集者の方針に同意いただいた多くの理学療法士,統計学者,教育研究者によって質の高い内容を平易な表現でご執筆いただくことができた.この場を借りて厚く御礼申し上げる.
 このような時代であるからこそ,科学する“こころ”を育み,エビデンスの諸背景の理解や確立の苦悩を知り,統計のパワーによる標準化とともに個別適用の判断ができる専門職を目指してほしいと願うものである.対象者と向き合う第一線の理学療法士を目指す学生や臨床家にこそ,手に取っていただきたいとの思いを込めたテキストである.

 2013年10月
 編集者を代表して  内山 靖

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第1章 理学療法と研究
  A 理学療法を学ぶ者が研究を行う意味
  B 研究を行ううえでの基本姿勢
  C 研究の流れ
  D 準備段階での具体的な工程
  E 実行段階での具体的な工程
  F 公表段階での具体的な工程
  G 理学療法における研究の課題と展望
第2章 研究デザイン
 I.研究計画
  A 研究デザインの種類
  B 理学療法研究における研究の質
  C 理学療法研究の実施手順
  D 研究課題の検討と継続の重要性
 II.評価指標の選択-信頼性と妥当性
  A 測定と評価指標
  B 評価指標に求められる要件
  C 信頼性と妥当性
  D 代表的な評価指標
 III.研究の倫理
  A 研究の実施と倫理的問題
  B 臨床研究に関する倫理指針
  C 疫学研究に関する倫理指針
  D 倫理に関する研究者の責務
  E 倫理に関する承認手続き
  F 倫理申請の実際
  G 被験者の福祉(利益)優先のために
第3章 文献の収集・読解
  A 文献読解-読書の重要性
  B 文献収集の方法
  C 文献情報の管理方法
  D 研究論文の読み方
  E 文献の活用方法
第4章 研究の進め方
 I.基礎研究
  A 理学療法における基礎研究の役割
  B 基礎研究の知識・技術
 II.実験的研究
  A 実験的研究の目的
  B 生体計測の基礎知識
 III.疫学・調査研究
  A 理学療法における疫学・調査研究
  B 調査研究
  C パフォーマンステスト
  D 標本抽出の方法
  E 疫学研究の位置づけの再確認
 IV.記述的研究-質的研究を中心に
  A 記述的研究とは
  B 質的研究の目的
  C どのような研究テーマが質的研究に適しているか
  D 主な質的研究
  E グラウンデッドセオリーアプローチ
 V.臨床研究
  A 臨床研究の意義と役割
  B 臨床研究の実施と留意点
第5章 統計手法
 I.データの型と記述統計
  A 研究における統計・統計解析の意味
  B データの型の見極め
  C データの尺度の種類
  D データの集計・提示方法
 II.統計学的検定法の概要
  A 統計学的検定法とは
  B 統計学的検定法の選択方法
  C 検定で示されるp値の意味
  D p値の意味:検定結果の解釈
 III.クロス集計とt検定
  A クロス表・クロス集計
  B t検定
 IV.分散分析
  A 検定の多重性
  B 有意水準調整型多重比較
  C 分散分析
  D ノンパラメトリック検定
 V.相関と回帰
  A 相関と回帰
  B 相関するということ
  C 回帰するということ
  D 回帰分析の応用
  E 相関と回帰をうまく扱うための留意点
 VI.統計実践演習
  A Excelの利点と欠点
  B 解析の準備
  C 解析の実際
第6章 発表の方法
 I.図表の書き方
  A 図表の基本特性
  B 表を用いるか図を用いるかの選択
  C 表の構成要素と表記方法
  D 図の種類と基本特性
  E 図の構成要素と表記方法
  F 図表から結果への文章化
 II.プレゼンテーション
  A プレゼンテーションの目的
  B 口述発表でのスライドの作り方
  C ポスターの作り方
  D 発表と質疑応答の準備
 III.基本的な論文の構成・書き方
  A 論文の基本的な書き方
  B 論文原稿の構成と内容
第7章 研究の実際
 I.基礎研究
  A 基礎医学的研究の具体例
 II.実験的研究
  A 実験的研究の実際
 III.記述的研究-シングルケーススタディ(事例研究)
  A 記述的な事例研究(ケーススタディ)
 IV.臨床研究
  A 臨床研究の実際
 V.ランダム化比較試験
  A 理学療法におけるランダム化比較試験
  B ランダム化比較試験の留意点
  C RCTの研究計画立案
  D よくデザインされた研究の具体例
 VI.教育研究
  A 研究を開始する際に
  B 教育研究における研究の枠組み(質と量,仮説検証と仮説生成)
  C 教育研究における倫理的問題
  D 量的な教育研究と統計解析
  E 教育研究においてRCTが設定しにくい背景
  F 教育研究の実際
第8章 統計手法:応用編
 I.医学統計の実際
  A 二元配置分散分析
  B ROC曲線
  C 生存分析
  D メタ分析
 II.統計ソフトウェアの活用
  A Rの特性
  B 解析の準備
  C 解析の実際
  D Rコマンダーの活用
第9章 論文投稿
  A 学術論文の基本構成
  B 執筆の流れ
  C 論文投稿時のやりとり
  D 外国語論文を作成するときの留意点
  E 投稿雑誌の選択

付録
 I.研究の助成
 II.研究計画書・同意書
  A 対象者への説明文書の作成
  B 同意書の作成
 III.倫理基準
 IV.統計表

 索引

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