標準臨床検査医学 第4版
臨床検査医学の知識を広く深く学べる、医学生のためのスタンダードな教科書
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序文
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第4版 序
診療情報には,医療面接情報,身体診察情報,臨床検査情報および画像情報があり,これらの情報を総合的に判断して,臨床医は病気の診断,治療方針の決定,治療効果の判定を行う.医療面接,身体診察の重要性は明らかであるが,臨床検査の診療に占める重要性は年々増大しており,臨床検査なしに診療を行うことは不可能な環境になりつつある.しかも,臨床検査のうち検体検査情報は数字で表記されるデジタル情報であり,病理や画像情報(X線,CT,MRIなど)のアナログ情報とは異なり,医療人ではない患者・一般市民でもその異常を容易に判断することが可能である.しかし正確な解釈には,検査法,ピットフォール,検査値に関連する病態生理などの深い知識が必要であり,これらを学問体系としたのが臨床検査医学Clinical Laboratory Medicine(日本に導入した時の名称は臨床病理学Clinical Pathology)である.
標準臨床検査医学の第3版が出版されてからすでに6年が経過した.この間の臨床検査医学の進歩はめざましく,検査の標準化が行われ,新規の検査項目が開発され,新しい解釈が加わった項目などがある.このため本書は,「検査項目の概要」「基準範囲(基準値):ピットフォールも含む」「異常値を示す疾患・病態とそのメカニズム」「関連する検査」など,第3版と同様な内容を新しい視点で解説し,さらに「Advanced Studies」を付け加えた.この「Advanced Studies」では,新しく開発された検査,また検査に関する新知見について解説した.そして,第3版で好評であった「ベッドサイドで実施すべき基本的医療検査手技の図解」と「主要形態検査項目のカラーグラフ」は,ブラッシュアップして掲載した.そして,新たに臨床実習プログラムモデルも提示した.臨床検査医学では広い領域を網羅するため,その臨床実習形態はさまざまであるが,サンプルとして活用してほしい.
このように,臨床検査に関する最新の情報を収載した本書は,医学生の臨床検査医学の教科書としてのみならず,研修医あるいは第一線の臨床医師の参考書としても役立つものと考えている.また,本書に対する忌憚のないご意見を寄せていただければ,編者,執筆者一同,これに勝る喜びはない.
2012年12月
高木 康,山田俊幸
診療情報には,医療面接情報,身体診察情報,臨床検査情報および画像情報があり,これらの情報を総合的に判断して,臨床医は病気の診断,治療方針の決定,治療効果の判定を行う.医療面接,身体診察の重要性は明らかであるが,臨床検査の診療に占める重要性は年々増大しており,臨床検査なしに診療を行うことは不可能な環境になりつつある.しかも,臨床検査のうち検体検査情報は数字で表記されるデジタル情報であり,病理や画像情報(X線,CT,MRIなど)のアナログ情報とは異なり,医療人ではない患者・一般市民でもその異常を容易に判断することが可能である.しかし正確な解釈には,検査法,ピットフォール,検査値に関連する病態生理などの深い知識が必要であり,これらを学問体系としたのが臨床検査医学Clinical Laboratory Medicine(日本に導入した時の名称は臨床病理学Clinical Pathology)である.
標準臨床検査医学の第3版が出版されてからすでに6年が経過した.この間の臨床検査医学の進歩はめざましく,検査の標準化が行われ,新規の検査項目が開発され,新しい解釈が加わった項目などがある.このため本書は,「検査項目の概要」「基準範囲(基準値):ピットフォールも含む」「異常値を示す疾患・病態とそのメカニズム」「関連する検査」など,第3版と同様な内容を新しい視点で解説し,さらに「Advanced Studies」を付け加えた.この「Advanced Studies」では,新しく開発された検査,また検査に関する新知見について解説した.そして,第3版で好評であった「ベッドサイドで実施すべき基本的医療検査手技の図解」と「主要形態検査項目のカラーグラフ」は,ブラッシュアップして掲載した.そして,新たに臨床実習プログラムモデルも提示した.臨床検査医学では広い領域を網羅するため,その臨床実習形態はさまざまであるが,サンプルとして活用してほしい.
このように,臨床検査に関する最新の情報を収載した本書は,医学生の臨床検査医学の教科書としてのみならず,研修医あるいは第一線の臨床医師の参考書としても役立つものと考えている.また,本書に対する忌憚のないご意見を寄せていただければ,編者,執筆者一同,これに勝る喜びはない.
2012年12月
高木 康,山田俊幸
目次
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カラーグラフ
第I編 検体の基礎
第1章 検体の基礎
A 検査の意義と目標
B 検査の種類と特性
C 検査の臨床的役割と適応
D 検査の有用性と効率性
E 基準値(正常値)と病態判別値
F 検査の誤差と精度管理
G 検査結果の解釈
H 検査による医療事故の防止
I 医療従事者の安全管理
第II編 検体検査
第2章 検体の採取と保存
A 検体採取のタイミング
B 各種検体の採取
C 抗凝固剤,その他検体への添加剤の特徴と使用法
D 検体の保存・運搬と安定性
第3章 一般的臨床検査
A 尿検査
B 糞便検査
C 脳脊髄液検査
D 穿刺液(胸水・腹水)検査
E 喀痰
F その他の穿刺液,分泌液検査
第4章 血液学的検査
A 血球検査
B 血栓・止血(関連)検査
第5章 生化学検査
A 下垂体
B 甲状腺
C 副甲状腺
D 副腎
E 性腺
F 膵
G 血糖
H 非蛋白窒素
I ビリルビン
J ビタミン
K 蛋白
L 脂質・リポ蛋白
M 腫瘍マーカー
N 心筋マーカー/心筋ストレスマーカー
O 酵素
P 電解質
Q 重金属ならびに関連蛋白
R 血中薬物・毒物と代謝産物
第6章 免疫学検査
A 感染症の免疫血清検査
B アレルギーの検査
C 細胞性免疫・サイトカイン
D 移植免疫
E 自己抗体
F 補体
第7章 微生物学検査
A 微生物学検査の位置付けと現状
B 微生物学検査の種類
C 検体の採取法
D 細菌などを対象とした検査法の実際
E 各病原体による感染症と検査方法
第8章 病理検査・病理診断
A 組織診
B 細胞診
第9章 輸血検査
A 輸血検査
第10章 染色体検査・遺伝子検査
A 染色体検査
B 遺伝子検査
第III編 生体機能検査
第11章 呼吸機能検査
A 換気機能に関する検査
B ガス交換機能に関する検査
第12章 心機能検査
A 心電図検査
B 心音図検査
C 心エコー
第13章 神経学的検査
A 脳波
B 筋電図
第14章 その他の生体機能検査
A 肝・胆道機能検査
B 膵機能検査
C 腎機能検査
付録1:SI単位
付録2:臨床実習プログラム
付録3:MCQ(multiple choice question)
和文索引
欧文索引
第I編 検体の基礎
第1章 検体の基礎
A 検査の意義と目標
B 検査の種類と特性
C 検査の臨床的役割と適応
D 検査の有用性と効率性
E 基準値(正常値)と病態判別値
F 検査の誤差と精度管理
G 検査結果の解釈
H 検査による医療事故の防止
I 医療従事者の安全管理
第II編 検体検査
第2章 検体の採取と保存
A 検体採取のタイミング
B 各種検体の採取
C 抗凝固剤,その他検体への添加剤の特徴と使用法
D 検体の保存・運搬と安定性
第3章 一般的臨床検査
A 尿検査
B 糞便検査
C 脳脊髄液検査
D 穿刺液(胸水・腹水)検査
E 喀痰
F その他の穿刺液,分泌液検査
第4章 血液学的検査
A 血球検査
B 血栓・止血(関連)検査
第5章 生化学検査
A 下垂体
B 甲状腺
C 副甲状腺
D 副腎
E 性腺
F 膵
G 血糖
H 非蛋白窒素
I ビリルビン
J ビタミン
K 蛋白
L 脂質・リポ蛋白
M 腫瘍マーカー
N 心筋マーカー/心筋ストレスマーカー
O 酵素
P 電解質
Q 重金属ならびに関連蛋白
R 血中薬物・毒物と代謝産物
第6章 免疫学検査
A 感染症の免疫血清検査
B アレルギーの検査
C 細胞性免疫・サイトカイン
D 移植免疫
E 自己抗体
F 補体
第7章 微生物学検査
A 微生物学検査の位置付けと現状
B 微生物学検査の種類
C 検体の採取法
D 細菌などを対象とした検査法の実際
E 各病原体による感染症と検査方法
第8章 病理検査・病理診断
A 組織診
B 細胞診
第9章 輸血検査
A 輸血検査
第10章 染色体検査・遺伝子検査
A 染色体検査
B 遺伝子検査
第III編 生体機能検査
第11章 呼吸機能検査
A 換気機能に関する検査
B ガス交換機能に関する検査
第12章 心機能検査
A 心電図検査
B 心音図検査
C 心エコー
第13章 神経学的検査
A 脳波
B 筋電図
第14章 その他の生体機能検査
A 肝・胆道機能検査
B 膵機能検査
C 腎機能検査
付録1:SI単位
付録2:臨床実習プログラム
付録3:MCQ(multiple choice question)
和文索引
欧文索引
書評
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検査を基本から解き明かす初学者に最適なテキスト
書評者: 北村 聖 (東京大学医学教育国際協力研究センター教授)
臨床検査は,現代医療において診断や経過観察になくてはならないものである。もちろん医療面接・病歴や身体診察から診断は始まるが,ひとわたり診察した上で,臨床推論を働かせ考えるのは鑑別診断と同時に,次の検査計画である。その意味で,臨床検査は医療面接,身体診察と並んで最も重要な診断情報である。しかしながら臨床検査に関しては,医学卒前教育の中で決して十分な教育がなされているわけでなく,むしろ診療各科の教育の中で臨床検査各論が断片的に教育されていることが多い。
臨床検査医学は臨床の基盤との考えの下,最初に総論を中心にしっかりと考え方を学ぶべきと信じている。医学教育モデル・コア・カリキュラムや国家試験出題基準には,EBMの基本として,感度・特異度や尤度比や検査後確率の考え方などが掲げられている。このような状況の中で,最も標準的な教科書として『標準臨床検査医学』が版を新たにしたことは本当に喜ばしいことである。最新の知見を取り入れることはもとより,編集の上で多くの新たな試みも加えられている。中でも,各編冒頭にある「構成マップ」が有用と思う。広範な臨床検査の世界をビジュアルに整理して学習の立ち位置を明確にしてくれる。さらに巻末には昭和大学と自治医科大学の臨床検査の臨床実習プログラム例が紹介されており,座学のみならず,臨床実習においても本書が有効に用いられることが想定されている。
近年,臨床検査の書籍が世に多い中,本書は徹底的に初学者向けに編集されている。単に検査項目の解説と基準範囲を示しているのではなく,「全体の理解を助けるために」や「○○とは」という導入項目を設けて,基本的な事項から解き明かしてある。また,図表も単純化され,必要なことが一目瞭然にわかるようになっている。これらの特徴を考えると,本書は医学生のみならず,看護やその他コメディカルの学生,あるいは若手看護師,コメディカルスタッフが臨床検査医学を学ぶ際にも,最適の書と思われる。
医療面接情報と,身体診察情報に加えて臨床検査情報と画像情報が現代の医療には必須であり,本書を通じてその一つの柱である臨床検査の達人になっていただきたい。
書評者: 北村 聖 (東京大学医学教育国際協力研究センター教授)
臨床検査は,現代医療において診断や経過観察になくてはならないものである。もちろん医療面接・病歴や身体診察から診断は始まるが,ひとわたり診察した上で,臨床推論を働かせ考えるのは鑑別診断と同時に,次の検査計画である。その意味で,臨床検査は医療面接,身体診察と並んで最も重要な診断情報である。しかしながら臨床検査に関しては,医学卒前教育の中で決して十分な教育がなされているわけでなく,むしろ診療各科の教育の中で臨床検査各論が断片的に教育されていることが多い。
臨床検査医学は臨床の基盤との考えの下,最初に総論を中心にしっかりと考え方を学ぶべきと信じている。医学教育モデル・コア・カリキュラムや国家試験出題基準には,EBMの基本として,感度・特異度や尤度比や検査後確率の考え方などが掲げられている。このような状況の中で,最も標準的な教科書として『標準臨床検査医学』が版を新たにしたことは本当に喜ばしいことである。最新の知見を取り入れることはもとより,編集の上で多くの新たな試みも加えられている。中でも,各編冒頭にある「構成マップ」が有用と思う。広範な臨床検査の世界をビジュアルに整理して学習の立ち位置を明確にしてくれる。さらに巻末には昭和大学と自治医科大学の臨床検査の臨床実習プログラム例が紹介されており,座学のみならず,臨床実習においても本書が有効に用いられることが想定されている。
近年,臨床検査の書籍が世に多い中,本書は徹底的に初学者向けに編集されている。単に検査項目の解説と基準範囲を示しているのではなく,「全体の理解を助けるために」や「○○とは」という導入項目を設けて,基本的な事項から解き明かしてある。また,図表も単純化され,必要なことが一目瞭然にわかるようになっている。これらの特徴を考えると,本書は医学生のみならず,看護やその他コメディカルの学生,あるいは若手看護師,コメディカルスタッフが臨床検査医学を学ぶ際にも,最適の書と思われる。
医療面接情報と,身体診察情報に加えて臨床検査情報と画像情報が現代の医療には必須であり,本書を通じてその一つの柱である臨床検査の達人になっていただきたい。
正誤表
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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。