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プロメテウス解剖学アトラス コンパクト版

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プロメテウスシリーズ『Anatomy Flash Cards-Anatomy on the Go』の367枚のカードが、ポケット判(182mm×128mm×32mm)の単行本として登場。定評のある美しい解剖図だけでなく、本書オリジナルの索引と臨床的なコメント、Q&Aも加わり、内容も充実。ちょっとした時間での解剖用語の学習にも役立つ“モバイル解剖学”!
*「プロメテウス/PROMETHEUS/プロメテウス解剖学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ プロメテウス解剖学
監訳 坂井 建雄
市村 浩一郎 / 澤井 直
発行 2011年03月判型:B6頁:816
ISBN 978-4-260-01126-6
定価 4,950円 (本体4,500円+税)
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  • 序文
  • 目次
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監訳者序

 『プロメテウス解剖学アトラス』は,21世紀を代表する解剖学アトラスである.オリジナルの3冊本は2005~2006年に出版され,その精細で迫真の解剖図は世界中の人々に強烈な印象を与え,数多くの国々で翻訳・出版されている.その日本語版も2007~2009年に出版され,わが国の医療関係者と学生に広く迎え入れられた.1冊本の『プロメテウス解剖学 コア アトラス』も,オリジナルが2008年に出版され,日本語版が2010年に出版されて多くの読者に支持されている.

 本書『プロメテウス解剖学アトラス コンパクト版』は,このように広がり続ける「プロメテウス」シリーズから生み出された,きらりと輝く小品である.「プロメテウス」のすばらしい解剖図が,解剖学の学習に手軽に利用してもらうために編まれている.原書は箱入りの367枚のカードという形式で出版されたが,日本語版の製作にあたっては読者の便を考えてポケット版の冊子体を採用した.

 本書には,解剖学の学習に役立つさまざまな工夫が凝らされている.見開きの左に解剖図,右に用語解説という構成にしているが,これにより必要な情報をひと目で見つけ出し,的確に理解することができる.さらに,原書にはない巻末の索引を利用することにより,必要なときに必要な図をすばやく探し出すことができる.また,臨床的なコメントや,理解を深めるためのQ & Aが随所に挿入されている.より深い学習への足がかりにしていただけるとありがたい.さらに人体のさまざまな構造について詳しい情報を得たい人には,見開きの右頁下部に記した『プロメテウス解剖学 コア アトラス』の頁と図の番号を手がかりにし,同書を参照してより幅広い情報を引き出していただきたい.

 翻訳にあたっては,若手の優秀な解剖学者である市村と澤井が日本語訳の作業を行い,坂井が全体に目を通して監訳を担当した.特に『プロメテウス解剖学 コア アトラス』および解剖学用語との内容および用語の整合性に配慮した.日本語訳にあたっては瑕疵がないように細心の注意をしたつもりではあるが,至らぬところは監訳者の責である.

 本書『プロメテウス解剖学アトラス コンパクト版』が,解剖学の学習の場で多くの学生たちに役立てていただけることを願うものである.

 2010年12月5日
 八王子の寓居にて
 坂井建雄

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背部
 脊柱1/脊柱2/脊柱3/椎骨の構成要素/頸椎1/頸椎2/頸椎3/頸椎4/胸椎/
 腰椎/仙骨と尾骨1/仙骨と尾骨2/脊柱の関節/頸部脊柱の靱帯1/
 頸部脊柱の靱帯2/胸腰部脊柱の靱帯1/胸腰部脊柱の靱帯2/胸腰部脊柱の靱帯3/
 背部浅層の筋/項部の固有筋/固有背筋1/固有背筋2/背部の動脈/背部の静脈/
 背部の神経/項部の神経・血管(局所解剖)/背部の神経・血管(局所解剖)/
 背部の体表解剖

胸部
 胸部の骨格/胸部の構造/胸骨/胸壁の筋肉/原位置の横隔膜1/
 原位置の横隔膜2/横隔膜の開口部/胸壁の動脈/胸壁の静脈/胸壁の神経/
 肋間神経の経路/横隔膜の神経・血管/女性の乳房への栄養血管/
 女性の乳房のリンパ管/女性の乳房の構造/縦隔の区分/胸部のCTスキャン/
 胸大動脈/奇静脈系/胸腔のリンパ管/胸腔の神経/縦隔1/縦隔2/縦隔3/
 縦隔4/心膜の折れ返り1/心膜の折れ返り2/原位置の心臓/心臓の胸肋面/
 心臓の底面/心臓の室1/心臓の室2/心臓の室3/心臓弁/心臓の動脈と静脈1/
 心臓の動脈と静脈2/心臓刺激伝導系/心臓の自律神経/心臓のX線像1/
 心臓のX線像2/水平断面での心臓/出生前の循環/出生後の循環/壁側胸膜/
 原位置の肺/右肺/左肺/気管/気管支樹の区分/気管支樹の呼吸部/
 肺動脈と肺静脈/胸膜腔のリンパ節/胸部の体表解剖

腹部・骨盤
 寛骨/下肢帯/骨盤の靱帯1/骨盤の靱帯2/腹壁の筋1/腹壁の筋2/
 腹壁の筋3/鼡径部1/鼡径部2/男性の骨盤底/女性の骨盤底1/女性の骨盤底2/
 腹腔:骨盤腔/腹膜腔/網嚢/腸間膜と臓器/腹膜腔の後壁/男性骨盤の内容/
 女性骨盤の内容/腹部の水平断面/原位置の胃/十二指腸/大腸/原位置の直腸/
 直腸と肛門管/肝臓の表面1/肝臓の表面2/肝外胆管/原位置の胆路/膵臓/
 原位置の腎臓と尿管/女性の膀胱と尿道/膀胱三角/子宮と卵管1/子宮と卵管2/
 女性の外生殖器/女性の勃起組織/女性会陰の神経・血管/陰茎の横断面/陰茎/
 精巣と精巣上体/精巣の被膜/男性の付属生殖腺/原位置の前立腺/
 男性会陰の神経・血管/腹大動脈/腎動脈/腹腔動脈1/腹腔動脈2/
 上腸間膜動脈/下腸間膜動脈/下大静脈の支脈/腎動脈・静脈/門脈の分布/
 原位置の門脈/女性骨盤の血管/直腸の血管/男性生殖器の血管/壁側リンパ節/
 自律神経叢/女性骨盤の神経支配/男性骨盤の神経支配/腹部・骨盤の体表解剖

上肢
 上肢の骨格/鎖骨/肩甲骨1/肩甲骨2/上腕骨1/上腕骨2/上肢帯の関節/
 胸鎖関節/肩関節(肩甲上腕関節)1/肩関節(肩甲上腕関節)2/肩の前額断面/
 肩と上腕の筋(前面)1/肩と上腕の筋(前面)2/肩と上腕の筋(前面)3/
 肩と上腕の筋(前面)4/肩と上腕の筋(後面)1/肩と上腕の筋(後面)2/
 肩と上腕の筋(後面)3/橈骨と尺骨/肘関節1/肘関節2/前腕の筋(前面)1/
 前腕の筋(前面)2/前腕の筋(前面)3/前腕の筋(後面)1/前腕の筋(後面)2/
 手首と手の骨格1/手首と手の骨格2/手首と手の関節/手の筋1/手の筋2/
 手の筋3/手の筋4/手背/上肢の動脈/上肢の皮静脈/腕神経叢の構造/
 腕神経叢の走行/腕神経叢からの神経1(腋窩神経)/
 腕神経叢からの神経2(橈骨神経)/腕神経叢からの神経3(筋皮神経)/
 腕神経叢からの神経4(正中神経)/腕神経叢からの神経5(尺骨神経)/
 肩の後部における神経・血管1/肩の後部における神経・血管2/
 腋窩の神経・血管1/腋窩の神経・血管2/腋窩の神経・血管3/上腕の神経・血管/
 前腕の神経・血管/手根管/浅掌動脈弓/深掌動脈弓/解剖学的嗅ぎタバコ入れ/
 手における感覚神経の分布1/手における感覚神経の分布2/上腕の横断面/
 前腕の横断面/手の体表解剖

下肢
 下肢の骨格/寛骨の構成/大腿骨/股関節1/股関節2/股関節の靱帯1/
 股関節の靱帯2/骨盤と大腿の筋(前面)1/骨盤と大腿の筋(前面)2/
 骨盤と大腿の筋(前面)3/骨盤と大腿の筋(内側面)/骨盤と大腿の筋(後面)1/
 骨盤と大腿の筋(後面)2/骨盤と大腿の筋(後面)3/骨盤と大腿の筋(外側面)/
 脛骨と腓骨/膝関節1/膝関節2/膝関節の靱帯1/膝関節の靱帯2/膝関節の靱帯3/
 下腿の筋(前面)/下腿の筋(外側面)/下腿の筋(後面)1/下腿の筋(後面)2/
 下腿の筋(後面)3/足の骨格1/足の骨格2/足首と足の関節1/足首と足の関節2/
 足首と足の関節3/足首と足の靱帯1/足首と足の靱帯2/足首と足の靱帯3/
 足底の筋1/足底の筋2/足底の筋3/足底の筋4/足首と足/下肢の動脈1/
 下肢の動脈2/腰仙骨神経叢1/腰仙骨神経叢2/腰神経叢からの神経1/
 腰神経叢からの神経2/仙骨神経叢からの神経1/仙骨神経叢からの神経2/
 皮静脈と皮神経/鼡径部/坐骨孔/大腿前面の神経・血管/大腿後面の神経・血管/
 下腿後面の神経・血管/足根管/下腿外側の神経・血管/下腿前面の神経・血管/
 足背の神経・血管/足底の神経・血管/大腿の横断面/下腿の横断面/
 下肢の体表解剖

頭頸部
 頭蓋の骨1/頭蓋の骨2/頭蓋の骨3/頭蓋底1/頭蓋底2/頭蓋底3/表情筋/
 脳神経1/脳神経2/脳神経3/脳神経4/脳神経5/脳神経6/脳神経7/脳神経8/
 脳神経9/脳神経10/感覚神経支配/頭蓋と顔面の動脈1/頭蓋と顔面の動脈2/
 頭頸部の静脈1/頭頸部の静脈2/顔面浅層の神経・血管1/顔面浅層の神経・血管2/
 耳下腺咬筋部1/耳下腺咬筋部2/側頭下窩1/側頭下窩2/側頭下窩3/翼口蓋窩/
 眼窩の骨/眼窩の筋/眼窩の神経1/眼窩の神経2/眼窩の局所解剖1/
 眼窩の局所解剖2/眼瞼と結膜/涙器/眼球の構造/鼻腔の骨1/鼻腔の骨2/
 鼻腔の骨3/鼻腔の神経・血管1/鼻腔の神経・血管2/外耳/耳介の構造/鼓室/
 耳小骨連鎖/内耳/下顎骨/口腔の三叉神経/舌背/舌の筋肉/
 舌の感覚性神経支配/舌の神経と血管/口腔の区分1/口腔の区分2/唾液腺1/
 唾液腺2/咽頭筋1/咽頭筋2/咽頭の神経・血管/頸部の筋/頸部の動脈/
 頸部の神経/甲状腺/甲状腺の関係/喉頭の構造/喉頭腔/喉頭の神経・血管1/
 喉頭の神経・血管2/頸部の部位/胸郭上口1/胸郭上口2/
 外側頸三角部の局所解剖1/外側頸三角部の局所解剖2/頭頸部の体表解剖

神経解剖
 成人の脳1/成人の脳2/大脳白質/海馬とその関連構造/間脳/脳の内部構造1/
 脳の内部構造2/脳の内部構造3/脳幹1/脳幹2/脊髄/脊髄の横断面/髄膜1/
 髄膜2/硬膜中隔/脳脊髄液の循環/脳室系/静脈洞交会/
 頭蓋底にある硬膜静脈洞/脳の動脈/脊髄の動脈/感覚系と運動系/
 脊髄の上行路/脊髄の下行路/視覚系/自律神経系

索引

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医学生必修の解剖図を凝縮したアトラス
書評者: 依藤 宏 (群馬大大学院教授・機能形態学)
 解剖実習は医学生が専門課程に進学して最初に突き当たる一大関門である。集中力を要求される剖出作業,剖出した多数の構造に付けられた見慣れない名称の暗記。そこには,電車の中でよく見かける,高校生が教科書の単語をマーカーで塗り,その上に反対色の透明シートをかけて単語を隠し覚えるといった方法ではこなしきれない質的に異なる勉強法が要求される。すなわち解剖学では,というより専門課程の科目では,すべて必要事項の重要度のランク付けを行い,その重要度の高いものを押さえた上で,徐々に重要度の落ちるものへと手を広げていくという勉強法が必要なのである。

 今回,解剖実習で医学生が押さえておくべき解剖図を集めた図譜が出版された。それがこの『プロメテウス解剖学アトラス コンパクト版』である。この本の図はコンピュータグラフィクスによる美しい図譜として多くの医療関係者にインパクトを与えた『プロメテウス解剖学アトラス』のシリーズの1冊『コア アトラス』から選んだものである。学生の勉学用にカード式として出版された原書を,監訳者が長年の教育者としての見識をもとに,本来のカードにはなかった工夫を随所に盛り込んで書物の形としている。

 この本の特長を挙げてみると,(1)単行本になったことで,カードのようにバラバラになることもなく,部位別の各図に容易に到達できる。このことは学生が実習と並行して復習あるいは試験勉強する際に役に立つ。(2)見開きで左に図,右に解答の和名および英名が併記されている。カードのように解答を確認するのに毎回裏返す必要がなく,また英名も併記されていることで積極的に医学用語を英語で覚えていこうとする学生にとって,図,和名,英名の対比,対照が容易に行える。(3)図・解答の下に関連問題とその解答や解説,臨床関連事項が記載されていて,単なる図と用語の対比に終わる図譜ではない。(4)英文・和文の索引が付いている。この索引が付いたことで,この本が単に暗記用に終わることなく,辞書,参考書として活用することが可能となっている。(5)『プロメテウス解剖学 コア アトラス』の対比頁・図番号が各頁に付されている。これにより,さらに詳しい周辺構造を確認したい場合や詳しい説明が欲しい時に容易にその情報にたどり着ける。すなわち,いちいち別の本の目次や索引に当たって調べるという手間をかける必要がない。

 このようにこのアトラスは学生にとってまさに至れり尽くせりで,評者も学生のころにこのような本があればと思わずにはいられないような本である。値段がもう少し低価格であれば一層多くの医学生に活用されるのではないかという点が少し残念だが,このような良質の本が加わったことは医学生にとっての朗報である。学生諸君はぜひこの本を大いに活用し,解剖の関門を突破する一助としていただきたい。
医学の第一歩,最も基本的な解剖学のルールを理解する一助に
書評者: 埴原 恒彦 (北里大教授・解剖学)
 解剖学の初学者にとって,用語の暗記はいつも重くのしかかる。解剖学は暗記ではなく理解する学問であるという言葉は,教える側の常用句であるが,それ以前に基本的な解剖学用語は覚えておかなければ,理解の段階までいかないのである。ゲームでいえば,そのゲームが面白いか面白くないか,どうしたら勝てるのかなどを理解する前に,まずはルールを覚えなければ何も始まらない。ゲームであろうが勉強であろうが,それを理解し発展させるための第一歩は,多くの場合,砂を噛むような思いも伴う。

 解剖学は近代医学として最初に確立され,ヴェサリウス以降400年以上にわたり蓄積されてきた知識体系があり,したがって,その用語も膨大な量である。初めて解剖学を学ぶ医学生の多くはその量の多さに圧倒され,最初から消化不良を起こす。分厚い,何分冊かの解剖の教科書,アトラス,あるいは解剖学用語といった本を前に,医学生が何から手をつけたらよいのか呆然としてしまうのは,むしろ当たり前であろう。

 さて,『プロメテウス解剖学アトラス コンパクト版』はそんな医学生にとって救いの1冊であるかもしれない。まずは見開きのページの左にはわかりやすいイラスト,右には用語と数行の読みやすい解説(特に重要なものについてはQ&Aによる問題提起型解説や,臨床的な重要性についての解説が適宜付されている)で構成され,さらに,ページごとの用語数が多くても10語程度という,感覚的にも,また実質的にも消化不良を起こさない量で,しかも重要な用語をしっかりと押さえている。

 また,日本語と英語が同時に表記されており,すぐに対応させることができる。ここ数年,医師国家試験には数問,基本的な解剖学用語の英語表記が出題されており,今の医学生にとって,英語あるいはラテン語でも解剖学用語を理解することは必須であるが,本書はこのような点でも非常に使い勝手がよい。

 かつて,理論,またはごく一部の科学者による研究領域にとどまっていた免疫学,遺伝学,生物化学をはじめとする生命諸科学が,昨今急速な勢いで膨大な成果を上げ,それらの知識と応用技術が今日の医学,医療を支えているといっても過言ではない。科学知識は,その宿命として過去の遺産に何物かを付け加えながら常に階段を上り続ける。新しい知識,技術を研究・教育することは大学の使命であり,それをいち早く学ぶことは大学生の権利でもあるが,同時に課題でもある。

 今日の医学生が勉強しなければならない科学知識の量の多さは,十数年前と比較すらできないであろう。このような中で,医学生が最も基本的な解剖学の知識を最も要領よく,短時間で身につけることのできる参考書として,本書を推薦したい。
プロメテウスは,三度おいしいか
書評者: 大塚 愛二 (岡山大教授・人体構成学)
 この,『プロメテウス解剖学アトラス コンパクト版』を手にした時,「ここまでするの?」という印象を持った。

 数年前,『プロメテウス解剖学アトラス』3分冊版の翻訳を手がけた。図のすっきりした見やすいアトラスであるという印象を受けた。また,さまざまな情報を図表にまとめようという著者の熱意が伝わる書物であるとも感じた。昨年(2010年),3分冊をまとめて1冊にした「コア アトラス」が出た。こちらは価格も1万円以内で,学生にとっては手ごろな解剖アトラスとなった。

 今度はコンパクト版である。これは,もともとフラッシュカードで裏表の印刷であったものを,左右見開きに印刷している。オリジナルの美しい解剖図版はそのままだ。カードは,学習の整理(というか,暗記)をするための教材である。日本では,あまりなじみがなく,またカードだとバラバラになってしまい,行方不明のカードも出やすい。試験が終わると,あまり使い道もないので,書棚の片隅に追いやられるだけの運命かもしれない。この日本語コンパクト版は,見開き印刷で綴じられているのでバラバラになることはない。また,すべての事項が索引で網羅されている。この2点がカードと違い,使い方に幅を与えている。何らかの仕事や学習の時に,ちょっと手ごろな解剖のアトラスがあるといいなと思うことはよくあると思う。そういう時に机上で場所をとらない本書はもってこいだろう。

 ただし,引き出し線を引いて示している項目は限定されている。これは,もとがフラッシュカードであるためである。図には周辺構造として表現されている場合が多いので,自分で書き込むとよい。そのための余白は多い。また,本書だけで解剖学実習に耐えられるかというと,答えはノーであろう。実習に必要な事項はもっと多く,これだけでは不足している。実習にはできれば3分冊版,少なくとも「コア アトラス」程度が必要である。本書は,実習後の知識の整理に使うべきであろう。

 別の使い方として,病棟のスタッフ・ステーションや外来診療室で,医師だけでなく,看護師などのスタッフが利用するのもいいと思う。また,患者さんや家族に病状を説明する時にも使えるかもしれない。

 昔,「一粒で二度おいしい」というCMで売ったお菓子があった。プロメテウスは三度おいしいアトラスになるだろうか。

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