機能を中心とした図説組織学　第5版

第5版の序

　私たちがこの『機能を中心とした図説組織学』の第5版を書き始めた時，これまでの版がこれほど広く使われる元となった特長をすべてを引き継ごうと心に決めていた。そして，前版で図の説明に盛り込んだ情報の大部分で用いたレイアウトをほぼそのまま用いた。短くまとまった導入文を主要な章の始めに置き，その章で扱われる素材についての概略を記載した。必要に応じテキストと表題を書き換え，新しい知識を取り入れた。これはここ数年で多くの大きな進歩が見られた細胞生物学や分子生物学の領域で著しい。しかし学生の持つ時間の制約を考え，必要以上に詳細にわたることは避けるようつとめた。このため私たちはこの新版の長さを前版とほぼ同じにした。

　本書を通じて光学および電子顕微鏡写真をよりよいものにすることにつとめ，前版ではカバーすることのできなかった領域の新しい顕微鏡写真も取り入れた。顕微鏡写真を理解しやすくするために，ラベルされた構造を容易に見つけることができるよう，見開き2頁ごとに写真のラベルについて鍵となる用語をまとめた。章末や章中のセクションの終わりには，本文を簡単に振り返ることができるような要約した表を増やした。医学教育は常に変化しており，より統合的なものになってきている。このことを織り込むために臨床との関連を協調するようにした。臨床との関連についての記載を非常に多くし，色刷りの囲みで強調した。このねらいは，病理学の教科書のミニチュアを作るのではなく，臨床例を挙げて組織学的構造との関連を強調するためである。

　利用者にとって本書をさらに使いやすくするために，3つのAppendixを本の最後に用意した。Appendix 1は「顕微鏡の手引き」で，前版では第1章の一部に置かれていたものである。前版からあった「染色法ノート」は一部を新しくしてAppendix 2とした。新しいAppendix 3は本書と組織学の実習でよく使われる短い「用語集」である。これを巻末にまとめたことで読者がより参照しやすいものとなったことを望んでいる。

　学生が本書に含まれている以上の画像を必要とされる場合のために，私たちは本書のウェブサイトに追加の画像と説明文を載せている。このインターネット上の部分は，印刷版の本では十分なスペースを確保できなかった領域に，また特に本書を教育材料としてより価値のある供給源に拡張することを意図している（訳注：この日本語版ではウェブサイトの追加画像は閲覧できません）。

　私たちは本書を読んだ読者が，読了後も様々な分野の学生にとって適切かつ価値ある情報源となることを，そして本書がわくわくするような分野の研究に情熱をかき立てることを願っている。

　Glasgow and Nottingham（UK）
　Newcastle（Australia）
　2006

　バーバラ・ヤング
　ジェームス・S・ローエ
　アラン・スティーブンス
　ジョン・W・ヒース

第5版 序
初版 序
編集協力
謝辞

第I部　細胞
　1．細胞の構造と機能
　2．細胞周期と細胞複製

第II部　基本となる組織
　3．血液
　4．結合組織
　5．上皮組織
　6．筋
　7．神経組織

第III部　器官系
　8．循環器系
　9．皮膚
　10．骨格系組織
　11．免疫系
　12．呼吸器系
　13．口腔内組織
　14．消化管
　15．肝臓と膵臓
　16．泌尿器系
　17．内分泌系
　18．男性生殖器系
　19．女性生殖器系
　20．中枢神経系
　21．感覚器

Appendices
　Appendix 1：顕微鏡法の手引き
　Appendix 2：染色法ノート
　Appendix 3：用語集

訳者あとがき
和文索引
欧文索引