平静の心 新訂増補版
オスラー博士講演集
臨床医・研究者・教育者として生きたオスラー博士の講演集
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臨床医・研究者・教育者として生きたウィリアム・オスラー博士の講演集。「平静の心」の新訂版発行後に判明した新知見などをもとに訳・註を全面的に見直した。
著 | William Osler |
---|---|
訳 | 日野原 重明 / 仁木 久恵 |
発行 | 2003年09月判型:A5頁:624 |
ISBN | 978-4-260-12708-0 |
定価 | 4,180円 (本体3,800円+税) |
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1 平静の心
2 医師と看護婦
3 教師と学生
4 プラトンが描いた医術と医師
5 科学のパン種
6 教えることと考えること
7 看護婦と患者
8 25年後に
9 本と人
10 病院は大学である
11 医学の座右銘
12 定年の時期
13 学究生活
14 結束,平和,ならびに協調
15 結びの言葉
16 トマス・ブラウン卿
17 生き方
18 古き人文学と新しい科学
医学生のためのベッドサイド・ライブラリー
ウイリアム・オスラー卿の生涯とその業績ならびに思想について
2 医師と看護婦
3 教師と学生
4 プラトンが描いた医術と医師
5 科学のパン種
6 教えることと考えること
7 看護婦と患者
8 25年後に
9 本と人
10 病院は大学である
11 医学の座右銘
12 定年の時期
13 学究生活
14 結束,平和,ならびに協調
15 結びの言葉
16 トマス・ブラウン卿
17 生き方
18 古き人文学と新しい科学
医学生のためのベッドサイド・ライブラリー
ウイリアム・オスラー卿の生涯とその業績ならびに思想について
書評
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魅力的なオスラーの言葉の数々
書評者: 阿部 正和 (慈恵医大名誉教授)
このたび「平静の心」の新訂増補版が刊行された。20年前に出版された初版は512頁であるのに今回は装いを新たに24頁と増頁されている。日野原先生に協力して,難解なオスラー先生の原文を見事に翻訳された仁木久恵教授が脚注を大幅に追加されたための増頁であることがわかった。
1983年9月3日,日本オスラー協会の発会式が開催されたちょうどその日に初版が世に出た。その日のことが今でも私の脳裡に鮮やかに甦ってくる。
◆「医の在り方」の指針
1904年,ウィリアム・オスラー先生は,それまで医学生,看護婦および実地医家に向けて行なった18回の講演をとりまとめて「平静の心」(Aequanimitas)と題する講演集を世に問うた。この本は当時の読者の心に強烈なインスピレーションを与え,「医の在り方」の指針となった。100年後の現在に至ってもなおオスラーの精神は脈々と生き続けている。
日野原重明先生は,敗戦後まもなく,ふとした機会にこの書を入手され,それを読むうちにオスラー先生の人柄や生き方に魅了されてしまった。先生のその後の長い人生はオスラー先生を師と仰いで歩まれたと言っても過言ではない。私自身は日野原先生を人生の師として歩んできたので,いわばオスラー先生の孫弟子に当たると自任している。
「平静の心」の初版についての書評を執筆した私は,今回再び書評の依頼を受けた。前回との重複を避けて,オスラー先生の戦争に対する見解の一端を述べて参考に供したい。イラク紛争を目の当たりに見ているからでもある。
本書の「古き人文科学と新しい科学」の章に次の一文がある。「多くの者が英雄として戦死していった。戦争は,こういう矛盾に満ちた地獄の中に最も優れた人間さえも投げ込むのである」人間性豊かなオスラー先生は,戦争を許さないと強く訴えている。医学の分野のみならず,一般社会が抱えている問題に対しても広く言及されている。このことも本書が読者を魅惑する大きな要因になっているに違いない。
◆「医の心」に思いを寄せる
本書を手にしたら,まず第2篇の「訳者の序文」を読み,次いで巻末の「オスラーの生涯とその業績ならびに思想について」を読むといい。
これらを読んでから各章を折にふれ読んでいけば,読者は必ず内容を理解し,大きな感銘を覚えるに違いない。
私は,長年にわたって「医の心」について考えてきた。すべてオスラー先生と日野原先生に教えられてきたことが,いつもその中心になっていた。日本の医療は今,病んでいるとよく言われる。そうであるなら,今こそ本書を読んで自ら「医の心」について思いを深く寄せ,患者中心の医療に徹するよう精進すべきだと思う。
日野原重明先生はオスレリアンの1人として世界的に著名である。先生の医師としての在り方は,私自身の道標でもある。オスラー先生をめざして歩んできたといえる。
医師・看護師はもちろんのこと,これから医療の世界にはばたこうとしている医学生,看護学生の皆さんが,本書を手にして,オスラー先生と日野原先生の医に対する態度をぜひ学びとってほしい。そう願うこと切なるものがある。
書評者: 阿部 正和 (慈恵医大名誉教授)
このたび「平静の心」の新訂増補版が刊行された。20年前に出版された初版は512頁であるのに今回は装いを新たに24頁と増頁されている。日野原先生に協力して,難解なオスラー先生の原文を見事に翻訳された仁木久恵教授が脚注を大幅に追加されたための増頁であることがわかった。
1983年9月3日,日本オスラー協会の発会式が開催されたちょうどその日に初版が世に出た。その日のことが今でも私の脳裡に鮮やかに甦ってくる。
◆「医の在り方」の指針
1904年,ウィリアム・オスラー先生は,それまで医学生,看護婦および実地医家に向けて行なった18回の講演をとりまとめて「平静の心」(Aequanimitas)と題する講演集を世に問うた。この本は当時の読者の心に強烈なインスピレーションを与え,「医の在り方」の指針となった。100年後の現在に至ってもなおオスラーの精神は脈々と生き続けている。
日野原重明先生は,敗戦後まもなく,ふとした機会にこの書を入手され,それを読むうちにオスラー先生の人柄や生き方に魅了されてしまった。先生のその後の長い人生はオスラー先生を師と仰いで歩まれたと言っても過言ではない。私自身は日野原先生を人生の師として歩んできたので,いわばオスラー先生の孫弟子に当たると自任している。
「平静の心」の初版についての書評を執筆した私は,今回再び書評の依頼を受けた。前回との重複を避けて,オスラー先生の戦争に対する見解の一端を述べて参考に供したい。イラク紛争を目の当たりに見ているからでもある。
本書の「古き人文科学と新しい科学」の章に次の一文がある。「多くの者が英雄として戦死していった。戦争は,こういう矛盾に満ちた地獄の中に最も優れた人間さえも投げ込むのである」人間性豊かなオスラー先生は,戦争を許さないと強く訴えている。医学の分野のみならず,一般社会が抱えている問題に対しても広く言及されている。このことも本書が読者を魅惑する大きな要因になっているに違いない。
◆「医の心」に思いを寄せる
本書を手にしたら,まず第2篇の「訳者の序文」を読み,次いで巻末の「オスラーの生涯とその業績ならびに思想について」を読むといい。
これらを読んでから各章を折にふれ読んでいけば,読者は必ず内容を理解し,大きな感銘を覚えるに違いない。
私は,長年にわたって「医の心」について考えてきた。すべてオスラー先生と日野原先生に教えられてきたことが,いつもその中心になっていた。日本の医療は今,病んでいるとよく言われる。そうであるなら,今こそ本書を読んで自ら「医の心」について思いを深く寄せ,患者中心の医療に徹するよう精進すべきだと思う。
日野原重明先生はオスレリアンの1人として世界的に著名である。先生の医師としての在り方は,私自身の道標でもある。オスラー先生をめざして歩んできたといえる。
医師・看護師はもちろんのこと,これから医療の世界にはばたこうとしている医学生,看護学生の皆さんが,本書を手にして,オスラー先生と日野原先生の医に対する態度をぜひ学びとってほしい。そう願うこと切なるものがある。
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