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Color Atlas of Cancer Cytology 第3版

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英文出版。欧米で広く定評のある『細胞診カラーアトラス』の改訂第3版。FISH、唾液腺、甲状腺、胸腺、肝胆膵の章を新設し、総論部分も大幅に書き換えて充実。病理、臨床病理で細胞診に携わる専門医、勤務医には必読のreference book。
高橋 正宜
発行 2000年09月判型:A4頁:496
ISBN 978-4-260-14348-6
定価 27,500円 (本体25,000円+税)
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世界に通用する細胞診断学アトラス 改訂第3版
書評者: 杉森 甫 (佐賀医科大学長)
 細胞診の領域において高橋正宜先生の令名を聞いて久しいものがある。私が細胞診を始めた昭和36年頃,細胞診の教科書と呼べるものはパパニコロウ,グラハム,コスといった英語の本のみであり,和書としてはわずかに当時,中央鉄道病院の病理部長であった高橋先生が出された『癌の細胞診断』と日常検査法シリーズとして発刊された『細胞診』があるのみであった。しかし,その美麗な写真は洋書のそれをはるかに超えるものであって,まさに座右の書として重宝させてもらったものである。その後,国際細胞学会などに出席する機会を得て,高橋先生が国際的にも有名な細胞学者であることを知り,さてこそと思った次第である。やがて長年の研究を集大成された『Color Atlas of Cancer Cytology』が英文で出版され,世界に通用する細胞診断学の代表的な本が,ついにわが国から出されたことを大変誇りに感じたことを思い出す。

◆広い視野に基づいた詳細な解説

 今回『Color Atlas of Cancer Cytology』の第3版が出版された。本書はAtlasとされているが,その内容からいってTextbookと名づけられてしかるべきものである。単に細胞形態のみでなく,その病理学的背景はもちろん,臨床・疫学をも含めた広い視野に基づいた詳細な解説は,ご自身の長年の研究と実地経験を踏まえてのものだけにきわめて的確であり,類書に抜きん出たものとなっている。第3版では総論として免疫細胞化学,分子生物学,flow cytometryさらには遠隔診断といった最先端の事項が盛り込まれた他,各論では,穿刺吸引細胞診の発達によって急速に応用範囲が広がった甲状腺,唾液腺,胸腺などの新しい分野が含まれて,一層広汎に充実したものとなっている。特に縦隔や中枢神経系からの細胞採取などは,以前には思いもよらなかったものであり,その進歩の著しさに驚くと同時に,これらをいち早く取り入れておられる著者の研鑽ぶりに敬意を表するものである。
 著者も述べておられるが,細胞診は細胞を採取する臨床医,標本を作成してスクリーニングをする細胞検査士,最終的な判定をくだす細胞診断医のすべての人が,細胞診を理解し,正確な業務を行なって初めて正しい診断にたどり着くことができる性質のものである。その意味で,本書を細胞診断医のみでなく,広く臨床医,細胞検査士の方々にもお勧めする次第である。

世界で広く愛読されている細胞診アトラスの第3版
書評者: 矢谷 隆一 (三重大学長・病理学,細胞診指導医)
◆群を抜く内容の量と質の高さ

 近年,細胞診は治療医学においても,予防医学においても大いに活用され,現場では細胞診指導医や細胞検査士が細胞診業務に従事している。臨床の現場においては,生検組織診とともに悪性腫瘍細胞の有無および治療効果の判定,感染症の有無,程度の類推などに利用され,予防医学においては,子宮癌検診における子宮頸部細胞診,ハイリスクグループに対する子宮体部細胞診や,肺癌検診での喀痰細胞診などが成果をあげている。現在までわが国の細胞診検査体制は,日本臨床細胞学会を中心に大いに進歩してきた。その中で,入門書や細胞診指導医および細胞検査士の勉強のために書かれた細胞診関連の本が多く出版されているが,特に細胞診の最大の課題である癌に絞った,高橋正宜先生が最近改訂された『Color Atlas of Cancer Cytology』第3版は,その量および質の高さでは群を抜いていると言える。
 本書は,第1部の総論,第2部の臓器ごとの各論で構成されている。今回は,高橋先生以外に計7名の先生が分担執筆者として参加されている。「総論」は,大きく書き変えられている。旧版では,癌の疫学から細胞生物学的レベルまで,また実技面を含めて広範囲に網羅された内容であった。しかし,新版では,他の細胞診の本に載っているような内容はすべて省略あるいは各論への分散を行ない,旧来よりあるX,Y chromatinの項目に免疫組織化学,細胞生物学的に重要である細胞周期,Fluorescence In Situ Hybridization(FISH)などの現在最も大切な項目が加えられている。個人的に旧版の総論が好みの人もいるかもしれないが,アトラスの意味を考える時,あくまでも細胞診のレベルに必要な画像にこだわり,豊富な写真をもとに最新事項に絞り記述していることは,特筆に値する。

◆臨床現場の流れに合った新設項目

 第2部「各論」でもいくつかの変更点がめだつ。実技的内容を総論より移し,各臓器に応じた内容で紹介している。またWHO分類を中心に新分類の記載,良性悪性の鑑別点など多彩な表が加えられている。The Bethesda Systemの紹介およびWHO組織分類が加えられ,UICCおよびFIGO分類は省略されている。項目別では,旧版の消化管の項目から胃が削除され「唾液腺」,「食道と腸管」,「肝臓,胆管および膵臓」に編成し直され,従来の泌尿器から「前立腺」が独立し,さらに「甲状腺」,「胸腺と縦隔」などの項目が新設されている。いずれも臨床現場において,需要が増している臓器であり,きわめて当然の流れである。Grogan教授(アリゾナ大学)による悪性リンパ腫の予後マーカーについての第18章,最近話題になっているテレパソロジーおよびテレサイトロジーに関する第22章と,直接の細胞診とは関係ないが知っておくべき項目も新設されている。第22章で著者の高橋先生のご活躍の姿がうかがえる。
 英語で書かれ,これまでも世界で広く愛読されている一流の細胞診アトラスであるが,今回の改訂により,日本人特有の繊細な観察力,写真の美しさが再び評判になると思われる。日本においても細胞診指導医,細胞検査士は言うに及ばず,病理医,産婦人科医,内科医,外科医など,細胞診に関わる多くの人が読まれることをお勧めする。

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