図解 解剖学事典 第3版

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世界19か国で翻訳され、わが国でも長く愛されてきた解剖学事典の全面改訂新版。見出し語は日本語、英語、ラテン語の3種類となり、国際解剖学用語集である“Terminologia Anatomica”と日本解剖学会の最新の用語集に準拠。わかりやすい解説と詳細なイラストとの見開き構成で、知りたい用語がすぐに調べられる。ハンディーな1冊に人体の全部位をまとめた解剖学事典の決定版。
原著 Heinz Feneis
監訳 山田 英智
石川 春律 / 廣澤 一成 / 坂井 建雄
発行 2013年10月判型:A5頁:608
ISBN 978-4-260-00006-2
定価 4,180円 (本体3,800円+税)

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日本語版第3版 訳者序(訳者一同)/第9版 序(Wolfgang Dauber)/推薦の序(Roger Warwick)

日本語版第3版 訳者序
 本書の底本は,ドイツのチュービンゲン大学のFeneis教授により1967年に“Anatomische Bildnomenklatur”として刊行され,好評を博して改訂を重ね,2005年に出版された第9版“Feneis’ Bild-Lexikon der Anatomie”である.この本は,解剖学の用語に簡潔な説明を与えるとともに,単純明快に図解するというユニークな方針をとり,その分かりやすさと使いやすさで,世界中で人気を集め,これまでにイタリア語版(1970),ポーランド語版(1973),スペイン語版(1974),日本語版(1974),ポルトガル語版(1976),英語版(1976),デンマーク語版(1977),スウェーデン語版(1979),チェコ語版(1981),オランダ語版(1984),フランス語版(1986),トルコ語版(1990),ギリシャ語版(1991),中国語版(1991),アイスランド語版(1992),ロシア語版(1996),インドネシア語版(1998),バスク語版(1998),韓国語版(2006)が刊行されている.
 本書の第2版は,原書の第5版を底本として1983年に刊行されたので,今回は30年ぶりの改訂版刊行ということになる.この間に解剖学用語をめぐる事情は大きく変わってきた.1895年にバーゼルの解剖学会で制定された“Nomina Anatomica”(BNA)以来,国際解剖学用語集はラテン語で表記することを伝統としていたが,英語が国際的な学術用語として広く用いられるようになった事情を背景に,1998年の“Terminologia Anatomica”(TA)ではラテン語と英語を併記するスタイルに改められ,また収録語彙数も大幅に増え,用語集の構造も大きく変更された.わが国の『解剖学用語 改訂13版』(日本解剖学会 監修)もTAに対応させる形で2007年に刊行されている.新しい用語に対応した本書の改訂版をここに刊行できたことは,訳者一同の大いに喜びとするところである.翻訳にあたっては,ドイツ語第9版を底本としたが,英語訳第5版(2007)も必要に応じて参考にした.
 大学医学部での医学教育の時間は6年間と限られており,医学の進歩に伴って学習すべき内容は飛躍的に増加している.解剖学教育においても,効率的に学習することが求められており,学生の理解を助ける優れた教材が大いに待ち望まれている.本書の新版が,学生諸君の勉学の伴侶として利用されることを願っている.
 最後に,本書の制作にあたって尽力された医学書院の方たちに感謝したい.

 2013年8月
 訳者一同


第9版 序
 “Federative Committee on Anatomical Terminology”(FCAT=国際解剖学用語委員会)による新しい公式命名法の導入により,本書の完全な改訂が必要となった.新しい解剖学用語集は従来の用語の他に,新しいとりわけ泌尿生殖器系と中枢神経系の研究によって得られた知見も考慮している.このため,用語の数は著しく増えた.
 旧版の時と同様に,FCATは今回も新たに導入された用語についてコメントしていない.委員会から幾度か情報を得ようと試みたが,回答は得られなかった.このため,いくつかの用語について解説を行うことができなかった.該当する用語については「備考」を474頁に記した.
 さらにFCATは,ヒトについて知られている中枢神経系の構造に,最新の動物実験結果からの用語を補足しているが,それらの実験の由来を明らかにしていない.しかし経験上,そのような知見や解釈をヒトに当てはめることには非常に慎重でなくてはならない.このため,解説文の中で,これらの不確実性について今一度注意を喚起した.
 歓迎されるのは,委員会がこれまで唯一規定していたラテン語の用語に,正式に対応する英語を記したことである.これにより異なる言語地域間のコミュニケーションがより正確で容易になった.同様に,これまで定義が議論されていた用語(例:Fascia=筋膜)に,一般的な拘束力をもたせるというFCATの試みも喜ばしいことである.
 これまでの版と同様に,研究者や学生から指摘や,変更を望む声が寄せられたが,これらの意見の大半は考慮された.これらの人々すべてに,特に専門的な提案を熱心に忍耐強く行ってくださったDr. C. Waltherに感謝したい.また,「一般用語」を本書の冒頭に記してほしいという学生らの要望にも応えることができた.
 以前のすべての版と同様に,図のデザインはProf. Gerhard Spitzerにお任せした.Prof. Spitzerは,一部変更あるいは追加した新しい図を優れた手法で組み込み,図の流れを途切れさせない工夫を行った.彼の思慮深い,パートナーシップに満ちた協力には非常に感謝している.
 われわれ二人は,書名を“Anatomisches Bildwörterbuch”から“Bild-Lexikon der Anatomie“に変更するという出版社の提案に賛同した.この新しい書名は,国際的な合意に基づく公式な解剖学用語について,言葉と図によって簡単な情報を提供するという本書の目的をより明確に伝えている.
 Georg Thieme社とスタッフの方々,とりわけMs. Profittlich,Ms. MauchとMr. Zepfには,本改訂版のデザインに対するわれわれの要望に忍耐強く耳を傾けていただき,理解・協力いただいたことを感謝している.

 Tübingenにて,2004年秋
 Wolfgang Dauber


推薦の序
 Feneis著「解剖学事典」はまさに驚くべき成功を得た本であった.私はその初版が現われたとき,これほど役に立つ本が出版されるとは誰も思いも及ばなかったという驚きを今でもありありと想い出すことができる.まもなく,この本はすでに5版を重ね,また多くの言葉に翻訳された.これらの本の多くは,私の机上の手のとどく範囲に常に置かれ,私はしばしば参照させてもらっている.この本は公式の「解剖学用語」の単なる辞書ではなく,それ以上のものである.何故ならこの本は,解剖学や医学に従事する医師およびその協力者のすべてにとって,はかり知れない価値をもつ道具だからである.付図は,この本をきわめて価値あるものに,事実,唯一無二のものにしているものである.私は,いかなる国語で書かれた類似の辞典にも,単に概念の定義を与えるのみでなく,これほど単純明確に図解したものをみたことがない.解剖学の領域では長年にわたって多くの本が出版されてきたが,その中で少数のものだけが,その独創性と,時間を超えた有用性をもち,長く使用されている.この本は疑いもなくその中での「選ばれた者」に属する.学生諸君,教職者および臨床家にとって,生涯を通じての信頼しうる伴侶となるであろう.

 ロンドンにて,1982年冬
 Roger Warwick
 ロンドン大学名誉教授

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1 解剖学総論
 一般用語

2 骨格系
 頭蓋/脊柱/胸郭/上肢/下肢

3 関節系
 頭蓋/脊柱/胸郭/上肢/骨盤/下肢

4 筋系
 頭部/頸部/背部/胸壁/腹壁/上肢/下肢/骨盤壁と下肢/下肢

5 腱鞘と滑液包
 下肢/頸部/上肢/下肢

6 消化器系
 口部/咽頭部/食道/胃/小腸/大腸/肝臓/胆嚢/膵臓

7 呼吸器系
 鼻部/喉頭部/気管/気管支/肺/胸腔

8 泌尿生殖器系
 腎臓/尿管/膀胱/男性生殖器/男性尿道と陰嚢/女性生殖器/女性尿道/会陰

9 腹腔と骨盤腔
 腹腔と骨盤腔

10 内分泌腺
 内分泌腺

11 心臓
 心臓

12 動脈
 肺/心臓/頸部/頭部/脳/頸部/胸壁/上肢/胸部/腹部/骨盤/下肢

13 静脈
 肺/心臓/頸部と胸部/頭部/脳/眼窩と胸壁後部/上肢/骨盤部/腹部と骨盤部/
 下肢

14 リンパ系
 リンパ性器官/頸部/頭部/胸部と上肢/腹部/腹部と骨盤部/腹部と下肢/
 リンパ本幹とリンパ管

15 髄膜
 髄膜

16 脊髄
 脊髄

17 脳
 延髄/橋/中脳/小脳/間脳/終脳

18 脳神経
 脳神経

19 脊髄神経
 頸神経/上肢の神経/上肢と胸壁の神経/腹壁と下肢の神経/骨盤壁と下肢の神経/
 下肢の神経

20 自律神経系
 交感神経/副交感神経/内臓神経叢と神経節

21 感覚器
 鼻部/眼部/耳部

22 皮膚と付属器
 皮膚/皮下組織

参考文献
索引
 日本語索引
 英語索引
 ラテン語索引
 人名用語索引

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本屋大賞第一位に当たる医学版の解剖図譜事典
書評者: 河田 光博 (京府医大大学院教授・解剖学/生体構造科学)
 本書は,ドイツ人Heinz Feneis著のオリジナル図譜教科書を,同じくドイツ人Wolfgang Dauber氏が新たにBild-Lexikon(図解事典)として出版した日本語版である。訳は山田英智先生監訳による日本解剖学会の名だたる方々によるものであり,日本語に加えて,英語,ラテン語,さらに1-2行程度で解説を加えたイラスト事典である。アメリカ系の局所解剖を中心とした教科書が多い中で,いわば伝統的な事典である。

 第一の本書の特徴は,コンパクトなサイズでありながら,その内容が大変充実しており,見開きになって左のページに解剖学名が日本語,英語,ラテン語と解説文,右のページにその番号にしたがったイラストが記載されており,とても見やすいことである。カラー刷りの大著なものと違い,どこでもいつでも手にとって見ることのできる,しかも品格のある本である。

 第二の特徴として,配列が系統的である。近年の解剖書にみられる神経,血管,筋,骨が一緒になった図とは異なり,骨から始まり,関節,筋,各器官系の臓器の順に用語と図がならび,最後は神経系,皮膚で終わる。局所解剖時に,あの骨はどうだったか,血管全体はどうだったかと思うことがしばしばあるが,それに応えてくれる頭の「交通整理官」である。

 第三の特徴は,今どきラテン語と思われるかもしれないが,ヨーロッパ系の教科書は,英語であってもラテン語に忠実であることである。私たち日本人に必要とされる正確な日本語名と,英語名,さらに,小さなフォントでラテン語名が記載されている解剖学図譜はこの本をおいて他に類を見ない。加えて,それらが巻末にきちんと,日本語の索引,英語の索引,ラテン語の索引と別々に分類されているのも,読みやすさを助けている。

 もちろん,本書一冊では複雑な人体の解剖の指南書とはならないが,日本人に特徴的な系統的に物事を考えようとする気質に合致した本であり,補助アトラスというだけにとどまらない良書である。解体新書もターヘルアナトミアの図譜を中心とした訳本であったが,本書は,直木賞,芥川賞ではない本屋大賞第一位に当たる医学版の解剖図譜事典ではないだろうか。
待望の改訂! 解剖学の効果的な学習に最適な一冊
書評者: 野村 嶬 (佛教大教授・神経解剖学)
 この度,『図解 解剖学事典 第3版』が実に30年振りに全面改訂されて出版された。もう改訂はないのではと漠然と思っていた全面改訂が,わが国の解剖学の泰斗である山田英智先生,石川春律先生,廣澤一成先生,および坂井建雄先生の手によりさらにグレード・アップした,しかも美しい形で改訂されたことにまずは御礼を申し上げる。

 本書に掲載されている解剖学用語は,世界標準である国際解剖学用語集“Terminologia Anatomica”と日本解剖学会の 『解剖学用語 改訂13版』 に準拠し,日本語,英語,およびラテン語で記載されている。本書の基本構成は見開きページの左に用語を,右に対応するイラストを載せて両者を視覚的に結び付ける旧版の優れたスタイルを完全に踏襲しており,解剖学の効果的な学習を可能にしている。本書は旧版より70数ページ増加しているが,それは主に解剖学総論と脳の部分であり,前者のページ数増加は解剖学を初めて学ぶ学生にとって大いに役立つであろう。脳の部分のページ数増加は主として脳断面での半細胞構築学的組織像と神経路の記載増加によるものであり,これは複雑な脳構造の局所解剖学的および機能解剖学的理解をより容易にするであろう。動物実験では存在が明らかであるが,人ではその存在が未確認である神経路は,そのこともきちんと記載されている。

 私は若いころより本書の旧版を座右の書として自宅と研究室の両方で,講義への利用,学会発表,論文作成,および書籍の執筆などに幅広く利用させていただいている。『図解 解剖学事典』は,私の解剖学にとっての起点であり,指標ともなっている。ネット検索が汎用される今日でもその状況は変わらない。確かにネット検索は有用であるが,その情報は玉石混交であり,今後,本書が解剖学関連のネット情報を見抜く基準ツールとしての役割もますます大きくなると思われる。

 本書が医学やコメディカルの基礎である解剖学を学ぶ学生にとって非常に役立つ,しかも生涯使えるツールであることは明らかである。医学生,コメディカル学生,医師,および医療関係者に大いに利用していただくことを強く願う。

 蛇足ながら,本書のイラストがモノクロであることにより構造の境を際立たせるなどのメリットもあろうが,本書のフルカラーへの移行が近い将来に成されることを期待したい。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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