中耳・側頭骨解剖アトラス
直感的な立体構造の把握が可能。臨床に直結した画質重視のアトラス
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中耳・側頭骨手術に必要な解剖を削開の過程に沿って丁寧かつ詳細に解説。画質重視のアトラス。画像情報を要所に織込み、直感的に立体構造が把握でき、臨床に直結したテキストとなるよう配慮。耳鼻科研修医・専門医から脳神経外科医、放射線科医まで、手術に資するばかりでなく、外来診療のレベルを向上させるのに役立つ情報満載。
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第1章 頭蓋における側頭骨の位置と表面の解剖
第2章 乳突削開と中耳の構造
第3章 鼓室内側壁の構造と骨迷路
第4章 側頭骨上面からの解剖
第5章 外耳道後壁と顔面神経
第6章 耳管周辺の解剖
第7章 側頭骨3次元画像
第8章 正常側頭骨のCT・MRI
索引
第2章 乳突削開と中耳の構造
第3章 鼓室内側壁の構造と骨迷路
第4章 側頭骨上面からの解剖
第5章 外耳道後壁と顔面神経
第6章 耳管周辺の解剖
第7章 側頭骨3次元画像
第8章 正常側頭骨のCT・MRI
索引
書評
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鮮明な写真と懇切な記載で複雑な構造を立体的に把握
書評者: 小松崎 篤 (東医歯大名誉教授)
この度,須納瀬弘,小林俊光両博士の『中耳・側頭骨解剖アトラス』が上梓され熟読する機会に恵まれたので,本書の推薦と共に感想を述べてみたいと思う。
従来,われわれ耳鼻咽喉科医が対象としていた疾患の中でも,中耳・側頭骨を中心とした疾患は,頻度から言っても慢性中耳炎の手術が大きな地位を占めていた。しかし,近年の趨勢として中耳のみならず,内耳,内耳道,さらには頭蓋底へと手術対象が拡大されつつあるのが現状である。このような趨勢の中にあって,邦文で書かれたこの分野の解剖アトラスは,残念ながら欧米諸国に比してきわめて少ないと言わざるをえない。
実地臨床に即したよい解剖アトラスを作成するには,まずその部の解剖学的な背景を熟知していることが条件ではあるが,それだけでは十分でない。同時に図,写真が鮮明であり,また的確さが要請され,これは手術経験に裏打ちされているものでもある。このような観点から,今回上梓された『中耳・側頭骨解剖アトラス』は,上記の要求を十分満足させるものである。
須納瀬,小林両博士ともこの分野の世界的な権威であるイタリアのM. Sanna教授と面識が深く,特に須納瀬博士はSanna博士の下に留学する機会があり,彼の持っている卓越した手術を年余にわたりじかに見ることができたことは,本書を作成するうえで大きな参考となったものと思われる。本書が上梓される前に須納瀬博士はSanna教授と彼のグループと共に,『Middle Ear and Mastoid Microsurgery』(Thieme)を出版している。450頁の大書であるが,その多くの部分は須納瀬博士の手になっていることをSanna教授から直接聞いており,その点でも彼の見識がわかると言ってよい。
卓越した耳科領域の外科医であるSanna博士は,同時に手術指導にも熱心で,中耳のdissection courseをたびたび開催して後進の指導に当たっている。本書の彼の序文にも書かれているごとく,側頭骨は人体の中でも最も複雑な部分でもあり,それだけにこの分野の疾患に対して手術を行うためには3次元的な知識が要求される。私自身,彼の著書をご本人から何冊かいただいているが,どの著書の中にもとおり一遍の記載ではなく,術者の立場にたっての懇切な内容の記載があり,常々感銘を受けているところでもある。このような彼の基本的なスタンスの流れのうえに立ち本書は記載されているため,複雑な構造から成り立っている中耳・側頭骨の手術を行う耳科医にとって参考になること大であると信じ,ここに推薦する次第である。
耳の三次元構造をより一層理解するために
書評者: 神崎 仁 (慶大名誉教授)
須納瀬氏は小林教授の門下生で,師と同じく中耳・頭蓋底手術の世界の第一人者Sanna教授の下に留学された。著者はすでに留学中Sanna教授と共著で,英文でも側頭骨アトラスを発行されている。留学中の短期間に,このような単行本を書かれた若手の人は私の知る限り過去にはいなかった。そのエネルギーと実行力には敬服する。さらに,著者は帰国後に日本の若手の耳鼻咽喉科医師を対象に新たにコンパクトなアトラスを書かれた。しかし,本書は若い人のみならず,すでに経験を積んでいる人にとっても新鮮な情報を与えてくれる。まずは鮮明な写真に驚かされる。CT,MRIと対比された点も特徴で,このようなアトラスはいままでなかった。
写真になった側頭骨標本の解剖技術はすばらしく,芸術的といってもよい。中耳,内耳の三次元的理解は,初めて耳科学,神経耳科学,頭蓋底手術を志す医師のみならず,すべての耳鼻咽喉科医にとって必須のものである。わが国では屍体の側頭骨を用いた若手医師のための側頭骨手術の講習はいろいろな制約のために行われにくい。そのため,外国の講習会にまで参加することも行われている。私自身もそうだった。しかし,実習の前にこのようなアトラスと乾燥側頭骨で予習して参加すれば,さらに実習の成果が上がったことと思う。加えて,このようにして学んだ解剖の知識を頭に入れて一流の術者の手術をみると,理解は一層深まるはずである。
本書は8章からなり,第1章では頭蓋における側頭骨の位置に始まり,周辺の構造との関係を示すアトラスが示されている。第2章では鼓室形成術の最初に行う乳突削開術の進行過程を示し,順次,耳小骨,半規管,顔面神経を明視できるようにする。POSTERIOR TYMMPANOTOMYも示している。さらに,半規管を削開して経迷路的に内耳道にアプローチし,内耳道の蝸牛,前庭神経,顔面神経の関係,蝸牛水管,頸静脈球との関係も示している。第3章では鼓室内側壁を削開し,内頸動脈,頸静脈との関係,半規管,顔面神経,蝸牛の関係,前庭水管,内リンパ嚢をCTと対比させている。第4章は中頭蓋窩アプローチからの解剖で,内耳道と半規管,膝神経節,顔面神経との関係は内耳道内の聴神経腫瘍に対する聴力保存手術や全顔面神経管の開放術や顔面神経の吻合術の際に必要となる。第5章は広範な乳突削開時の解剖で,特に顔面神経,S状静脈洞,後頭蓋窩硬膜との関係を示している。第6章は中耳前方の解剖で,耳管とその周辺の構造(中頭蓋窩,中硬膜動脈,鼓膜張筋,大錐体神経,三叉神経第3枝など)との関係を示している。
第7章はこの本ならではの細かい配慮で,術者が手術用顕微鏡の左右の眼から立体的にみているように写真を左右にならべている。本書をながめているだけで,側頭骨の構造が立体的にイメージされ,中耳手術のみならず,経迷路的に内耳,内耳道,後頭蓋窩に達する過程,中頭蓋窩経由で内耳,内耳道,中耳へのアプローチする過程も頭に浮かべることができ,イメージトレーニングにもなる。そのほか,各人でいろいろな使い方を思いつくことであろう。
医学の原点は解剖にあり,手術の原点は,その解剖の理解の上に熟練した術者の手術の助手にしてもらうことである。助手が無理なら,実際に手術を見学するか,その術者の手術ビデオをみることである。本書はそのような際の予備知識を得ておくのに役に立つ。中耳,内耳,内耳道手術では,耳小骨,蝸牛,前庭,顔面神経,内耳道の立体的位置関係の理解が必要である。これらは疾患を治療するだけでなく,手術による合併症を避けるための安全対策としても重要である。耳の構造の理解を必要とするすべての方に本書を座右の書として利用されることをお薦めする。
書評者: 小松崎 篤 (東医歯大名誉教授)
この度,須納瀬弘,小林俊光両博士の『中耳・側頭骨解剖アトラス』が上梓され熟読する機会に恵まれたので,本書の推薦と共に感想を述べてみたいと思う。
従来,われわれ耳鼻咽喉科医が対象としていた疾患の中でも,中耳・側頭骨を中心とした疾患は,頻度から言っても慢性中耳炎の手術が大きな地位を占めていた。しかし,近年の趨勢として中耳のみならず,内耳,内耳道,さらには頭蓋底へと手術対象が拡大されつつあるのが現状である。このような趨勢の中にあって,邦文で書かれたこの分野の解剖アトラスは,残念ながら欧米諸国に比してきわめて少ないと言わざるをえない。
実地臨床に即したよい解剖アトラスを作成するには,まずその部の解剖学的な背景を熟知していることが条件ではあるが,それだけでは十分でない。同時に図,写真が鮮明であり,また的確さが要請され,これは手術経験に裏打ちされているものでもある。このような観点から,今回上梓された『中耳・側頭骨解剖アトラス』は,上記の要求を十分満足させるものである。
須納瀬,小林両博士ともこの分野の世界的な権威であるイタリアのM. Sanna教授と面識が深く,特に須納瀬博士はSanna博士の下に留学する機会があり,彼の持っている卓越した手術を年余にわたりじかに見ることができたことは,本書を作成するうえで大きな参考となったものと思われる。本書が上梓される前に須納瀬博士はSanna教授と彼のグループと共に,『Middle Ear and Mastoid Microsurgery』(Thieme)を出版している。450頁の大書であるが,その多くの部分は須納瀬博士の手になっていることをSanna教授から直接聞いており,その点でも彼の見識がわかると言ってよい。
卓越した耳科領域の外科医であるSanna博士は,同時に手術指導にも熱心で,中耳のdissection courseをたびたび開催して後進の指導に当たっている。本書の彼の序文にも書かれているごとく,側頭骨は人体の中でも最も複雑な部分でもあり,それだけにこの分野の疾患に対して手術を行うためには3次元的な知識が要求される。私自身,彼の著書をご本人から何冊かいただいているが,どの著書の中にもとおり一遍の記載ではなく,術者の立場にたっての懇切な内容の記載があり,常々感銘を受けているところでもある。このような彼の基本的なスタンスの流れのうえに立ち本書は記載されているため,複雑な構造から成り立っている中耳・側頭骨の手術を行う耳科医にとって参考になること大であると信じ,ここに推薦する次第である。
耳の三次元構造をより一層理解するために
書評者: 神崎 仁 (慶大名誉教授)
須納瀬氏は小林教授の門下生で,師と同じく中耳・頭蓋底手術の世界の第一人者Sanna教授の下に留学された。著者はすでに留学中Sanna教授と共著で,英文でも側頭骨アトラスを発行されている。留学中の短期間に,このような単行本を書かれた若手の人は私の知る限り過去にはいなかった。そのエネルギーと実行力には敬服する。さらに,著者は帰国後に日本の若手の耳鼻咽喉科医師を対象に新たにコンパクトなアトラスを書かれた。しかし,本書は若い人のみならず,すでに経験を積んでいる人にとっても新鮮な情報を与えてくれる。まずは鮮明な写真に驚かされる。CT,MRIと対比された点も特徴で,このようなアトラスはいままでなかった。
写真になった側頭骨標本の解剖技術はすばらしく,芸術的といってもよい。中耳,内耳の三次元的理解は,初めて耳科学,神経耳科学,頭蓋底手術を志す医師のみならず,すべての耳鼻咽喉科医にとって必須のものである。わが国では屍体の側頭骨を用いた若手医師のための側頭骨手術の講習はいろいろな制約のために行われにくい。そのため,外国の講習会にまで参加することも行われている。私自身もそうだった。しかし,実習の前にこのようなアトラスと乾燥側頭骨で予習して参加すれば,さらに実習の成果が上がったことと思う。加えて,このようにして学んだ解剖の知識を頭に入れて一流の術者の手術をみると,理解は一層深まるはずである。
本書は8章からなり,第1章では頭蓋における側頭骨の位置に始まり,周辺の構造との関係を示すアトラスが示されている。第2章では鼓室形成術の最初に行う乳突削開術の進行過程を示し,順次,耳小骨,半規管,顔面神経を明視できるようにする。POSTERIOR TYMMPANOTOMYも示している。さらに,半規管を削開して経迷路的に内耳道にアプローチし,内耳道の蝸牛,前庭神経,顔面神経の関係,蝸牛水管,頸静脈球との関係も示している。第3章では鼓室内側壁を削開し,内頸動脈,頸静脈との関係,半規管,顔面神経,蝸牛の関係,前庭水管,内リンパ嚢をCTと対比させている。第4章は中頭蓋窩アプローチからの解剖で,内耳道と半規管,膝神経節,顔面神経との関係は内耳道内の聴神経腫瘍に対する聴力保存手術や全顔面神経管の開放術や顔面神経の吻合術の際に必要となる。第5章は広範な乳突削開時の解剖で,特に顔面神経,S状静脈洞,後頭蓋窩硬膜との関係を示している。第6章は中耳前方の解剖で,耳管とその周辺の構造(中頭蓋窩,中硬膜動脈,鼓膜張筋,大錐体神経,三叉神経第3枝など)との関係を示している。
第7章はこの本ならではの細かい配慮で,術者が手術用顕微鏡の左右の眼から立体的にみているように写真を左右にならべている。本書をながめているだけで,側頭骨の構造が立体的にイメージされ,中耳手術のみならず,経迷路的に内耳,内耳道,後頭蓋窩に達する過程,中頭蓋窩経由で内耳,内耳道,中耳へのアプローチする過程も頭に浮かべることができ,イメージトレーニングにもなる。そのほか,各人でいろいろな使い方を思いつくことであろう。
医学の原点は解剖にあり,手術の原点は,その解剖の理解の上に熟練した術者の手術の助手にしてもらうことである。助手が無理なら,実際に手術を見学するか,その術者の手術ビデオをみることである。本書はそのような際の予備知識を得ておくのに役に立つ。中耳,内耳,内耳道手術では,耳小骨,蝸牛,前庭,顔面神経,内耳道の立体的位置関係の理解が必要である。これらは疾患を治療するだけでなく,手術による合併症を避けるための安全対策としても重要である。耳の構造の理解を必要とするすべての方に本書を座右の書として利用されることをお薦めする。
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