• HOME
  • 書籍
  • 泌尿器科レジデントマニュアル 第2版


泌尿器科レジデントマニュアル 第2版

もっと見る

泌尿器科診療の現場において、レジデントレベルで必要となる知識をコンパクトにまとめた好評書の改訂第2版。今版では項目を大幅に整理し、図表を大増量。診療アルゴリズムや処方例なども大幅に増やして、さらに見やすく・実用的に生まれ変わった。泌尿器科診療の生きた知識や勘所がハンディなポケットサイズの中に凝縮されており、泌尿器科研修医はもちろん、泌尿器科にかかわるすべての医療者におすすめしたい1冊。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
監修 郡 健二郎
編集 安井 孝周 / 林 祐太郎 / 戸澤 啓一 / 窪田 泰江
発行 2019年04月判型:B6変頁:322
ISBN 978-4-260-03838-6
定価 4,950円 (本体4,500円+税)

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 序文
  • 目次
  • 書評

開く

第2版の序 全面改訂にあたって

 本書の初版を上梓したのは8年前のことです.そのきっかけは,その年に,第99回日本泌尿器科学会総会を私たちの教室が主催したことから,学術面だけではなく,若手人材の育成にもお役に立ちたいとの考えによるものでした.
 8年前といえば,東日本大震災の年です.総会は大震災1か月後の開催でしたが,厳しい環境だからこそ,泌尿器科医に役立つ学会にしたいとの思いが強く,さまざまな企画を工夫しました.
 その1つは,当時のNHKの人気番組「めざせ! 会社の星」をもじった「めざせ! 泌尿器科の星」です.NHKの協賛により,学会場の活気ある楽しい雰囲気が全国に放映され,泌尿器科のイメージがさらによくなったと,多くの方々から伺いました.
 もう1つは,医学書院の人気シリーズ「レジデントマニュアル」の泌尿器科版を上梓したことです.初版の帯には,「めざせ!泌尿器科の星」と大きく書き,会場内で販売されました.お陰さまで,初版はその後も多くの方々に愛用されています.特に嬉しいのは,泌尿器科以外の医師や看護師,技師にも用いられていることです.
 一方,最近苦い経験をしました.ある研修医が,一昔前の泌尿器科診療の話をしたので,「どこで学んだの?」と尋ねたところ,ポケットから出てきたのは初版の『泌尿器科レジデントマニュアル』.初版からわずか8年ですが,この間に医療は急速に進化し,医療制度も変わっています.

 これらのことをふまえ,全面改訂を行いました.編集には4名の新進気鋭の教授が携わり,最新の内容を網羅し,何回にもわたる編集会議で,統一性を持たせ,無駄な重複や抜け落ちがないように努めました.
 最後に,「第2版」の4つの特長をご紹介します.
①病棟や外来で,すぐ知りたい診療内容に力点をおいていること.ゆっくり調べてから診療できることは必要最低限とし,診療アルゴリズムや処方例を用いてわかりやすく示しています.
②項目ごとに新たなページで始まっていること.この作業は大変でしたが,調べたい項目を検索しやすくなり,断然使いやすくなりました.
③説明文を少なくし,初版に比べ大幅に図表を増やしたこと.本書でしか見られない,わかりやすいイラストが満載です.今の若者志向に合わせたつもりです.
④ページ数をおさえ,ハンディなポケットサイズにまとめていること.初版よりもコンパクトになったことから,白衣のポケットに入れて,いつでも持ち歩いていただけます.

 すでに初版を利用している方々も,この「第2版」を新たに手にしてください.本書が手垢で擦り切れる頃には,あなたは「泌尿器科の星」になっておられることと確信しています.
 出版にあたって,初版に引き続きご尽力たまわった医学書院編集部の飯村祐二さんに深く感謝申し上げます.

 2019年3月吉日
 郡 健二郎

開く

本書で用いた主な略語一覧

第1章 症候と鑑別診断
 ①主訴・病歴の聴取と身体所見
  1 主訴・病歴の聴取
  2 身体所見
 ②排尿に関する症状
  1 頻尿
  2 排尿痛
  3 排尿困難
  4 残尿感
  5 尿閉
  6 尿失禁
 ③尿量の異常
  1 多尿
  2 乏尿,無尿
 ④尿の性状の異常
  1 血尿
  2 膿尿
  3 乳び尿
  4 気尿
 ⑤疼痛
  1 腹痛
  2 背部痛
  3 下腹部不快感
  4 会陰部痛
  5 陰嚢痛
 ⑥精液の異常
  1 血精液症
 ⑦腫瘤
  1 腹部腫瘤
  2 外陰部腫瘤
 ⑧その他の症候
  1 発熱
  2 高血圧(腎性,副腎性)

第2章 検査法
 ①尿検査
  1 尿沈渣
  2 細菌培養
  3 細胞診
 ②画像検査
  1 腹部単純撮影(KUB)
  2 静脈性尿路造影(IVU),点滴静注腎盂造影(DIP)
  3 逆行性腎盂造影(RP)
  4 排尿時膀胱尿道造影(VCUG)
  5 チェーン尿道膀胱造影
 ③膀胱鏡検査
 ④尿流動態検査
  1 尿流測定(UFM)と残尿測定
  2 膀胱内圧測定
  3 内圧尿流検査(pressure-flow study)
 ⑤尿失禁テスト(パッドテスト)
 ⑥生検
  1 腎生検
  2 膀胱生検(経尿道的生検)
  3 前立腺生検
  4 精巣生検
 ⑦精液検査

第3章 処置とトラブル対処法
 ①カテーテル
  1 カテーテルの種類と用途
  2 腎瘻造設
  3 膀胱瘻造設
  4 尿管カテーテル留置
  5 導尿,尿道カテーテル留置
  6 カテーテルトラブルの対処法
 ②洗浄
  1 腎盂洗浄
  2 膀胱洗浄
  3 膀胱タンポナーデ時の対処法

第4章 代表的疾患
 ①腫瘍
  1 腎癌
  2 腎盂・尿管癌
  3 膀胱癌
  4 前立腺癌
  5 陰茎癌
  6 精巣腫瘍(胚細胞腫)
  7 副腎腫瘍
  8 後腹膜腫瘍
 ②尿路結石症
  1 腎・尿管結石
  2 膀胱結石
  3 副甲状腺腫瘍
 ③尿路・性器感染症
  1 腎盂腎炎
  2 膀胱炎
  3 前立腺炎
  4 精巣上体炎
  5 性感染症(STI)
  6 尿路結核
  7 膿腎症,腎膿瘍,気腫性腎盂腎炎
 ④外傷
  1 腎外傷
  2 尿管損傷
  3 膀胱損傷
  4 尿道損傷
  5 精巣外傷
  6 陰茎折症
 ⑤排尿障害,神経泌尿器疾患
  1 前立腺肥大症(BPH)
  2 尿道狭窄
  3 神経因性膀胱(NGB)
  4 過活動膀胱(OAB)
  5 間質性膀胱炎(IC)
 ⑥小児・先天性泌尿器疾患
  1 先天性水腎症
  2 腎盂尿管移行部通過障害(UPJO)
  3 尿管膀胱移行部通過障害(UVJO)
  4 膀胱尿管逆流(VUR)
  5 尿管瘤
  6 尿管異所開口
  7 尿道下裂
  8 夜尿症
  9 停留精巣
  10 陰嚢水腫
  11 包茎
 ⑦内分泌疾患,性機能障害
  1 男性不妊症
  2 勃起障害(ED)
  3 持続勃起症
  4 LOH症候群(男性更年期障害)
 ⑧女性泌尿器疾患
  1 腹圧性尿失禁
  2 骨盤臓器脱
  3 尿道カルンクル,尿道脱
 ⑨腎・血管疾患
  1 腎不全
  2 腎血管性高血圧
  3 腎動脈瘤
  4 腎動静脈瘻
 ⑩その他の泌尿器科疾患
  1 特発性腎出血
  2 後腹膜線維症
  3 尿膜管疾患
  4 急性陰嚢症

第5章 術前術後の基本的管理
 ①術前後に休薬が必要な薬剤とその期間
 ②糖尿病患者の周術期管理
 ③ドレーンの管理
 ④ストーマの管理
 ⑤術後疼痛の管理
 ⑥創感染の対策
 ⑦肺塞栓症の管理

第6章 腹腔鏡手術とロボット支援手術
 ①腹腔鏡手術(後腹膜アプローチを含む)
 ②ロボット支援手術

第7章 緩和医療
 ①予後の予測
 ②がん性疼痛への対応
 ③各種症状への対応

付録 データファイル
 1 RENALスコア
 2 PI-RADS
 3 国際前立腺症状スコア(IPSS)
 4 過活動膀胱症状質問票(OABSS)
 5 主要下部尿路症状スコア(CLSS)
 6 前立腺肥大症影響スコア(BII)
 7 国際失禁会議質問票短縮版(ICIQ-SF)
 8 間質性膀胱炎症状スコア・問題スコア(ICSI・ICPI)
 9 日本語版DVSS(小児語版)
 10 国際勃起機能スコア(IIEF-5)
 11 勃起の硬さスケール(日本語版EHS)
 12 Aging males’ symptoms(AMS)スコア
 13 熊本式健康調査質問票
 14 POP-Q(pelvic organ prolapse quantification)
 15 Performance Status(PS)
 16 Clavien-Dindo分類
 17 RECISTガイドライン改訂版 version1.1
     (固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン)
 18 主な検査・処置・手術の保険点数
 19 DPCの保険点数

索引

開く

臨床現場の泌尿器科医が絶えず携行すべき全面改訂版
書評者: 市川 智彦 (千葉大大学院教授・泌尿器科学)
 本書は医学書院から2011年に出版された『泌尿器科レジデントマニュアル』の全面改訂となる第2版です。初版に引き続き郡健二郎先生(名古屋市大理事長・学長)の監修となっています。編集は郡先生を引き継いで名古屋市大腎・泌尿器科学分野教授に就任された安井孝周先生ならびに3名の教授の先生方が携わっています。執筆は全て名古屋市大の関係の先生方であり,郡先生を中心とする本書に対する思いが伝わってきます。

 初版が出版された2011年は,郡先生が腎・泌尿器科学教授として第99回日本泌尿器科学会総会の会長を務められた年でした。開催の1か月前に発生した東日本大震災により,日本中が厳しい環境に置かれました。しかし,だからこそ泌尿器科医にとって役立つことを達成したいとの思いが初版に結実したとの記載が第2版の序文にありました。第2版が出版された2019年は,私が会長として第107回日本泌尿器科学会総会を名古屋で開催させていただいた年でもあります。郡先生を始め名古屋市大の先生方には一方ならぬご支援を頂戴しました。8年間の歳月に思いをはせるとともに,ご縁を感じている次第です。

 さて,第2版では,初版の内容がさらに進化し,若手医師のみならず臨床現場で診療にあたる泌尿器科医師が絶えず携行すべき内容になっていると思います。これは監修された郡健二郎先生ならびに編集された安井孝周先生,林祐太郎先生,戸澤啓一先生,窪田泰江先生の妥協を許さない強い気持ちによってなされたものと拝察致します。本書の行間から先生方のお顔が垣間見えるようです。

 序文には第2版の特長が4つ示されています。(1)病棟や外来で,すぐ知りたい診療内容に力点をおいていること,(2)項目ごとに新たなページで始まっていること,(3)説明文を少なくし,初版に比べ大幅に図表を増やしたこと,(4)ページ数をおさえ,ハンディなポケットサイズにまとめていること,です。実際に手に取ってページをめくってみると,これらが反映されていることが一目でわかるような素晴らしい構成になっています。カラー写真も随所に盛り込まれており,文字数の節約だけでなく,直感的な理解の一助になっています。シミュレーターによる腹部の触診方法を示したカラー写真,採取した乳び尿のカラー写真,疼痛部位と鑑別すべき疾患を視覚的に捉えるイラスト,処置や手術のポイントを押さえたイラスト,診療アルゴリズムの掲載など,いずれもとてもわかりやすく,ちょうどよい大きさでページに収まっています。初版より88ページ少ない320ページですが,格段に充実した内容になっていると思います。

 また,初版,第2版ともに巻末に付録(「データファイル」)があります。初版では26項目ありましたが,第2版では19項目になっています。ただ単に項目を減らしたのではなく,初版の一部を踏襲しつつも第2版では12項目が新たに採用され,泌尿器科に関連した事項が大幅に取り入れられています。検査・処置・手術の保険点数,DPCの保険点数は第2版でも掲載されており,保険医療にも配慮してほしいという意図が聞こえてくるようです。ぜひ手に取って監修・編集の方向性を感じ取っていただきたいと思います。

 泌尿器科は外科領域の一部ではありますが,必要とする知識・手技は指導医であっても全て網羅することはとても難しいことです。より専門性の高い診療を行うためには,専門書や各種ガイドライン,英文原著を読み込む必要があります。しかし,記憶したはずの内容であっても必要時に瞬時に想起することは容易ではありません。基本的な事項が体系立てて頭の中に整理されている必要があります。本書は,その土台を築く上でも大いに役立つものと思います。

 今後,第3版,第4版が出版されていくことが本書の宿命になるように思います。標準治療に抵抗性となった転移性膀胱癌に対する免疫チェックポイント阻害薬についても「使用可能」とのコメントが入るなど,出版直前の情報がしっかりと盛り込まれています。新しい内容が記載されているという期待もさらに強くなっていくと思います。2019年6月からがん遺伝子パネル検査が適用条件付きながら保険適用となりました。希少疾患に対する遺伝カウンセリングや遺伝学的検査も自費診療ではありますが拡充されつつあります。これらとも絡みながら,新しい治療薬が次々と開発されています。レジデントに求められる知識もさらに増えていくと思います。そのようなニーズに応え進化し続ける本書の実力を,泌尿器科を専門にする医師のみでなく,全ての診療科の医師の手元に置いて,ぜひ実感していただきたいと思います。
信頼の定番ポケットアイテムがより使いやすくより身近に!
書評者: 松原 昭郎 (広島大大学院教授・腎泌尿器科学)
 「泌尿器科診療ですぐに役立つポケットサイズの専門書がほしい」。これは泌尿器科医として初めの一歩を踏み出す全てのレジデントに共通する願いであろう。本書は,名門・名古屋市大泌尿器科とその関連施設に勤務する百戦錬磨のベテラン医師達が,この要望に応えるべく丹精込めて手解きした泌尿器科診療の奥義書である。発売当初から信頼のツールとして好評を博してきた本書が8年振りにリニューアル,磨きをかけてパワーアップし,わずか11 mmという驚きの薄さに生まれ変わった。

◆レジデント目線の必要な情報が全てこの一冊に

 ページをめくってまず気付くのは,きめ細やかで豊富な情報量である。症候と鑑別診断,検査法,処置,代表的疾患はもちろん,処方例,周術期管理,患者説明,トラブル対処法,緩和医療,各種スコア・質問票,さらには保険点数までカバーされている。また,各項目別に目を向ければ,例えば検査では必要物品や器具の使い方,手順まで一挙手一投足に丁寧に解説してある。ここまで至れり尽くせりの全てそろった書籍は他に類を見ない。しかも,改訂版では項目ごとに新たなページで始まるよう編集され,知りたい場所に素早くアクセスできるよう工夫されている。

◆豊富な図解とフローチャートで直感的かつ確実な理解

 ビジュアルな点も,駆け出しの医師にとってはありがたい。初版でも日常診療に欠かせない知識は項目ごとに整理整頓され,シンプルなレイアウトで端的にまとめられていたが,改訂版ではこれに図解やフローチャートが随所に盛り込まれ,よりわかりやすくなった。持続勃起症の治療を例に挙げれば,「シャント造設術を行う」という記述にとどまっていた初版から,改訂版ではイラストを交えた作成方法が丁寧に解説されている。また,チェーン尿道膀胱造影のような上級医からの口伝だけでは曖昧になりがちな画像の見方などは,図解によって確実に理解できるよう改良されている。

◆他の書籍にはない経験に裏打ちされた勘所や注意点が満載

 本書の出色は枚挙にいとまがないが,特に際立っているのは全ての情報が生きていることであろう。泌尿器科診療の最前線で活躍する63名もの経験豊富なドクターが自らの経験に基づいた診療の極意をポイントとしてくまなく伝授するとともに,苦い思いをしてはじめて得られる要注意事項を惜しみなくちりばめている。これによって何が重要なのか,落とし穴はどこにあるのかが手に取るようにわかるのである。これはもう単なるマニュアルではない。あらゆる場面で力をくれるバイブルといえるだろう。

 本書は単に読むだけでも味わい深い。項目ごとにエッセンスが凝縮された固形スープのようだ。読者の皆さんには常になぜそうなるのだろうかという視点で本書を味わってほしい。そうすれば本書の最大の目的である思考力,観察力,洞察力が養われ,本書が手垢にまみれる頃には泌尿器科の星になっているに違いない。

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。