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血液病レジデントマニュアル 第3版

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レジデントはもちろんのこと、広く内科医に向けて、決して容易ではない血液疾患の臨床についてわかりやすくまとめたレジデントマニュアルの改訂第3版。臨床の現場で限られた時間と労力で、最大限安全かつ効率的に診療できるよう、随所に工夫・配慮がなされている。日本血液学会(編集)造血器腫瘍診療ガイドラインをはじめ各種ガイドラインの最新情報および新規治療薬の最新情報を網羅。血液専門医にとっても,必ずや役立つ1冊。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
神田 善伸
発行 2019年04月判型:B6変頁:506
ISBN 978-4-260-03804-1
定価 4,620円 (本体4,200円+税)
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  • 序文
  • 目次
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第3版 序

 2009年10月,2014年2月にそれぞれ第1版,第2版が刊行された『血液病レジデントマニュアル』は,幸いにもこれまでに多くのレジデントや血液専門医の皆様に活用していただきました.しかし,レジデントマニュアルはナマモノ.日に日に鮮度は低下していきます.実際,血液診療領域にも次々と新規治療薬が導入され,様々な疾患の予後が改善されました.必然的に本書も改訂の必要が生じたわけです.
 このように素晴らしい成果をあげている新規治療薬になんらかの負の側面があるとしたら,レジデントマニュアルの改訂作業が大変になるという極めて個人的かつ社会的には無意味な問題点に加えて,医療費の高騰という新たな毒性(financial toxicity)を産み出したことでしょう.幸い,日本の医療は高額療養費制度を含めた手厚い体制のおかげで,高額な治療薬でも薬価を気にすることなく投与することが可能です.しかし,今後もさらに高額な薬剤等が開発されている中で,この優れた制度をいつまで継続できるのだろうかという不安は払拭できません.少なくとも,個々の医師が医療費やcost-effectivenessに対する意識を持つことは必要だと思います.そこで,第3版においては高額薬についてはところどころに2019年1月時点の薬価を紹介させていただくことにしました.
 さて,第3版は新規の項目を設けることはせず,既存の項目の内容の更新にとどめましたが,それでも正確な情報を収集するための作業は多大な時間を要しました.第2版の序文にも記載させていただいたように,統一コンセプトに基づいた単独執筆によるマニュアル作製という自虐的営みはライフワークとして続けさせていただいています.ただ,刻々と変化する血液診療の全ての領域を完璧に捕捉することは容易ではないので,今回は国立がん研究センターの伊豆津宏二先生と自治医科大学の大森司先生に,それぞれリンパ系腫瘍領域,血栓止血領域を中心に査読,助言をいただきました.この場を借りて深謝いたします.
 第3版も各種ガイドラインを含めて2019年1月の時点で最新の情報に基づいて執筆し,レジデントのみならず血液専門医の皆様にもご活用いただける書籍になったと自己評価しています.しかしながら,前版と同様に,あらゆる分野において完全を期すことは難しく,診療時にはご自身でも文献,薬剤添付文書などをご確認いただけますようお願い申し上げます.また,日本国内で承認されている適応と異なる記載が含まれていることをご了承ください.
 なお,第2版で話題になった本書の重量については,第3版では軽量化の試みとして裏が透けて読める(?)ぐらいに紙を薄くする,などのいくつかの提案がなされましたが,いずれも採用にはいたりませんでした.白衣のポケットがやぶれそう問題,なぜか右だけ肩がこる問題についても免責とさせてください.

 2019年3月
 自治医科大学附属病院・附属さいたま医療センター血液科
 神田善伸

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最初に知っておきたいこと
血液細胞アトラス

1 血液の基礎知識
2 血液疾患が疑われる患者の診察
3 血液疾患に関連する検査
4 赤血球数の異常の鑑別診断
5 凝固・止血異常の鑑別診断
6 白血球数の異常の鑑別診断
7 リンパ節腫脹の鑑別診断
8 Evidence-based medicineと臨床決断
9 輸血
10 化学療法総論
11 抗がん剤総論
12 化学療法の手順と支持療法
13 造血幹細胞移植の総論と合併症対策
14 鉄欠乏性貧血
15 巨赤芽球性貧血
16 再生不良性貧血
17 赤芽球癆
18 自己免疫性溶血性貧血
19 発作性夜間血色素尿症
20 特発性血小板減少性紫斑病
21 血栓性血小板減少性紫斑病/溶血性尿毒症症候群
22 播種性血管内凝固症候群
23 ヘパリン起因性血小板減少症
24 血友病
25 von Willebrand病
26 血球貪食性リンパ組織球症
27 伝染性単核球症
28 慢性活動性EBウイルス感染症
29 急性骨髄性白血病(AML)
30 急性リンパ性白血病(ALL)
31 慢性骨髄性白血病(CML)
32 慢性リンパ性白血病(CLL)と関連疾患
33 骨髄異形成症候群(MDS)
34 慢性骨髄増殖性腫瘍
35 慢性好酸球性白血病/好酸球増多症候群
36 Hodgkinリンパ腫(HL)
37 非Hodgkinリンパ腫(NHL)
38 成人T細胞性白血病リンパ腫(ATLL)
39 多発性骨髄腫(MM)および関連疾患
40 抗がん剤の注意事項
41 体表面積換算表
42 薬剤投与量の調節
43 医療費
付 略語一覧・薬剤一覧・有害事象共通用語規準

和文索引
欧文索引

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便利な図表が充実。重要なポイントだけを集約したマニュアル
書評者: 前田 嘉信 (岡山大大学院教授・血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)
 この『血液病レジデントマニュアル』はすごい。

 まず本書の特徴であり,また最も評価したい点として,図表が素晴らしい。診断基準はどうか,どういう鑑別診断を考えるべきか,どういう治療をすべきか,日常診療において必要かつ十分に,そしてわかりやすく記載されている。巻末には各抗がん剤の注意事項,薬剤投与量の調節,有害事象グレードが添付されている。これほど便利な図表が,これほどの充実しているマニュアルは他に知らない。素晴らしい,の一言である。

 本書の次の特徴は,現場に徹している点であろう。患者さんを目の前にして,どのように治療をしたらよいか,その具体的な方法が丁寧に記載されている。何mgを何日間,そして重要かつ見落としがちなピットフォールが注意書きされており,これがまた大変に役に立つ。標準的な治療法のみならず,トラブルシューティングも捕捉されており,現場の医師にとって非常に頼もしい。

 本書は,レジデントマニュアルであるが,レジデントの範疇を超え,血液内科医,血液専門医をめざす先生にも幅広く役立つ内容となっている。図表の合間を埋める文章には,最新の疾患概念と治療法のエビデンスがちりばめられ,血液専門医でも勉強になり,またレジデントには血液学の奥深さと魅力の一端が垣間見えるだろう。最重要なポイントだけを集約しているからこそ,つい隣のページにも目が向き,未知なるものへの興味を広げるきっかけになる。読むものを自然に広大な血液の世界へ導くであろう。

 医師は患者さんを治すのが仕事であるが,同時に社会の構成員であり,その在り方に責任を負うことになる。患者さんにどのような経済的負担をかける治療であるか,また,高額な薬剤を使用することがわが国の診療報酬制度を持続不可能にしないか,医師は考える必要がある。本書には薬価が記載されていたり,治療方針について経済的な観点での推奨,警鐘が盛り込まれていて著者の思いが垣間見られる。

 最後に,インターネットで簡単に知りたい情報が手に入る時代となったが,情報にアクセスできることと,知識として実践することは別である。インターネット時代にあっても本書をポケットに入れて,診療の合間にペラペラと紙をめくり自分のものにする。本書は,効率的な情報源としてだけでなく,血液診療上のベースとなる知識を身につける意味でも最適であると,強く推薦する。

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