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もっと!らくらく動作介助マニュアル[DVD付]
寝返りからトランスファーまで

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既刊「腰痛を防ぐらくらく動作介助マニュアル」を抜本的にリニューアル。今までの介助方法は何だったのか? と驚くほど,無理なく対象者を動かすことができ,DVD映像と併せて見て,試すことによって,らくらく介助が可能になる。あなたも今すぐ「らく」になろう!
監修 中村 惠子
山本 康稔 / 佐々木 良
発行 2005年04月判型:B5頁:204
ISBN 978-4-260-33402-0
定価 3,960円 (本体3,600円+税)

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  • 目次
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I. 動作介助の意義と原則

 1. 動作介助総論

 2. 従来の介助法の開発過程と結果

 3. 本技法の特徴と動作介助の原則

II. トランスファーの分類

 1. トランスファーが要介助となる原因による分類

 2. トランスファーパターンの選択=対象者の立ち上がり

   動作能力の見分け方

III. トランスファーの基礎

 1. トランスファーの3相

 2. 立ち上がり動作(重心移動)の基礎

IV. トランスファー(移乗)1:

   下肢の支持性があるタイプへのトランスファー

 1. 自立パターン1:健側回り

 2. 自立パターン2:患側回り

 3. 両手腋窩パターン:基本パターン

 4. 両手腋窩パターンの補助的な技法

 5. 両手腋窩・頭部固定パターン(Hold & Cover 法)

 6. 両手腋窩・頭部固定パターンの補助的な技法

 7. 片手頭部・片手腋窩パターン

 8. 両手肩甲パターン:両肩甲部を前方へ引き出す技法

V. トランスファー(移乗)2:

   下肢の支持性がないタイプへのトランスファー

 1. 1人で行う全介助パターン:スライド法

 2. 2人で行う全介助パターン

 3. 床⇔車いすのトランスファーパターン

VI. 寝返り Roll over

 1. 正常な寝返りのパターン

 2. 介助による寝返りのパターン[背臥位→側臥位]

 3. その他の寝返りのパターン

 4. 布団での寝返りのパターン

VII. 起き上がり Sit up

 1. ベッド上での起き上がりのパターン

 2. 布団での起き上がりのパターン

VIII. 立ち上がり Stand up

 1. 立ち上がり動作のポイント

 2. 両手腋窩パターン

 3. 両手肩甲パターン

 4. 床からの立ち上がりパターン

IX. エビデンスへの取り組み

 1. はじめに

 2. 立位姿勢の安定性

 3. 従来の方法との違い

 4. 立ち上がり動作

 5. 立ち上がり動作速度の違いによる軌跡の変化

 6. 座面の高さの違いによる軌跡の変化

 7. 座面の高さの違いによる各関節角度の変化

 8. 立ち上がり動作と着座動作の軌跡の違い

 9. 本書が紹介している技法の特徴

 10. 坐位姿勢を修正するときの特徴

 11. 資料:各種動作軌跡の比較

X. まとめ

 1. 特徴

 2. 成因

 3. 効果

 4. ADLにおける動作介助の位置付け

 5. 最後に

あとがき

DVDについて

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書評 (雑誌『看護教育』より)
書評者: 野村 明美 (横浜市立大学医学部看護学科)
 寝る,座る,立つ,歩く(移動する)という基本動作は,人間らしく生きていくための日々の営みに欠かせない。なんらかの理由でこの基本動作が不自由になったとき,人は生命力を低下させ,その人らしく生きることが困難になるといっても過言ではない。その意味で,基本動作の援助は重要な看護技術であり,看護基礎教育で修得する技術項目となっている。

 私は現在,基本動作に関する講義,演習を担当している。その視点でこの分野に関する市販のテキストを見ると,援助者側に力点をおいたものが多く,最も必要な援助を受ける側の視点が欠落しているように思う。そこに問題意識をもち,試行錯誤を繰り返しながら,教材研究をしていた。そんな折,本書を手に取った。

 本書は,2002年に出版された『腰痛を防ぐらくらく動作介助マニュアル』をもとに新たに書き下ろしたものである。だから「もっと!らくらく……」なのであろう。添付のDVDを見てみると一目瞭然,このタイトルが納得できた。

 つまり,一連の動作介助がPLAY ALLに収録されていて,介助者の技術の確かさ,被介助者の安楽な様子,実際に病院で対象者に用いている場面,三次元動作解析の動画から,介助する人,介助を受ける人双方が「らくらく!」だということがよくわかる。とりわけ,介助を受ける人を主人公にしたプロの技術が優れている。

 本書の特徴は,従来の動作介助の技法の欠点を改善し,さらに動作のなかに機能維持・訓練効果をもたせ,介助者・被介助者双方に負荷が少なく,より安楽な技法を紹介した点である。しかも読むだけでなく,図をふんだんに使用し,DVDをつけ,三次元動作解析の動画でエビデンスを示し,技術修得ができるように工夫してある。

 紹介している技法は,1)正常な動作パターンを利用する,2)残存能力の利用,3)持ち上げる介助が少ないため,介助者の負担が少ない,4)対象者の協力と理解が得られやすいという4つの柱を中心としたものである。つまり従来の方法は,この4つの柱の逆の方法であったことを明示している。

 「動作介助の要素,動作方法,安全な動作の成因,人の体への触れ方と動かし方,動作介助と力学」など動作介助の意義と原則の項は,対象者に触れる手の部位まで詳細に記載されており,私が行った教材研究と一致した部分であり得心した。

 本書は,看護師,介護福祉士,ヘルパー,理学療法士,作業療法士など病院や施設の専門職員を読者対象として編集されている。多くの関係者の知恵と技術が結集している本書を関係職種,とりわけ看護基礎教育の中で活用していただきたく,推薦したい。

 学生が,図やDVD,三次元動作解析の動画などを駆使して,読んで,見て,自己学習して,使って,また読んで,見て……を繰り返すうちに技術修得ができるという仕組みを作っていけるのではないだろうか。

(『看護教育』2005年11月号掲載)
患者さんも看護師も,どっちもらくらくな手法がここに (雑誌『看護学雑誌』より)
書評者: 角濱 春美 (青森県立保健大学健康科学部看護学科助教授)
 「看護師の腰痛は仕方のない職業病」とあきらめるのではなく,患者の持っている力・機能を上手に活用することによって,患者と看護師双方が安楽に,体位変換や移動ができる方法が,本書には豊富な写真とDVDでの動く映像で紹介されている。タイトルの「もっと! らくらく」は,看護師が楽であることだけを言うのではない。これは患者と看護師双方にかかる形容詞なのである。

◆「動かす」のではなく,「動くことを手伝う」という発想

 初めてこの本を開き,動作介助の様子の写真を見るとかなりの衝撃を受ける。これまで私たちは,「患者の安全を守るために」,看護師の身体のたくさんの面を患者の身体にくっつけて,「よいしょ」とばかりに力を込めて患者を動かそうとしてきた。しかし,ここで紹介される方法では,患者が最大限に動きやすくなるように,看護師の支える手は最小の接触に抑えられ,さらに安全性も確保されているのである。今までの動作介助方法では,患者が自分で動こうとする動作を看護師の身体で無理に止めていたのだと思い至り,目からうろこが落ちた。本書の手法は,「看護師が動かしてあげる」という発想ではなく,「動くことを手伝う」発想へと転換しているのである。相手の力を最大限に引き出し,自立に向かわせることは看護の大きな目標である。日々の動作介助の技術にこの方法を取り入れることで,自立に向かわせる看護が具現化すると思う。

 また,高齢化社会の到来,在院日数の短縮や在宅生活の推進が行なわれている現在では,患者は「ベッド」に寝ているとは限らない。そして「車いす」があるとも限らない。病院や施設での看護ではなじみが薄かった,畳敷きの部屋で患者を起こす方法や座らせる方法なども丁寧に紹介されており,在宅生活を視野に入れた現実的な介護指導に生かすことのできる内容になっている。

 本書は3年前に発行された『腰痛を防ぐらくらく介助マニュアル』のリニューアル版であるが,著者らがこの3年間に経験した研修会での意見も取り入れ,「読者にわかりやすい」ことを最優先に書き改められている。映像や写真もすべて再撮影され,わかりやすさが増している。本作りに向けるこの姿勢についても高く評価できる。

◆相手の力を引き出すことこそ重要

 相手との相互信頼や相手の力を引き出すことが看護の本質であると考え,私たちはこのような方法を,「相手の力を引き出す動作介助」として教育に取り入れてきた。本書とDVDを活用することによって,さらにその意図が学生に伝わるものと確信している。毎日の動作介助を見直すために,また患者の退院指導のために,学生教育,現任教育のために,ぜひ活用いただきたい一冊である。

(『看護学雑誌』2005年9月号掲載)
DVDでさらに理解しやすく
書評者: 森田 定雄 (東京医科歯科大病院リハビリテーション部・助教授)
 本書は,先に発行された『腰痛を防ぐらくらく動作介助マニュアル』の完全リニューアル版である。

 前書を読んで,移動介助がちょっとした工夫で,いかに楽に行いうるかを実感された方も多いと思うが,今回のリニューアル版では前作で説明されていた手技の中から,実際に用いられる頻度の高いものに的が絞られ,詳述されている。中でも本書の最大の特徴は,付録がDVDになったことである。前書の付録であるCD―ROMに比べて,本書のDVDは画像が遥かに鮮明となっただけでなく,音声による解説が加わったことが最大の改善点で,このDVDを見るだけで,本書で言わんとしている移動介助のポイントが理解できるようになっている。このような手技書では図を多用して理解を図るのが一般的だが,やはり動画の威力は絶大で,DVDを見るだけで本書のエッセンスは理解できる。

 患者を中心として回転する動きで行うベッドから車椅子への移乗介助,頭部を骨盤の方向へ動かすことによる寝返り介助などは理解しやすく,多くの職種の人が容易に実際の現場で利用できるであろう。著者らの推奨する移動介助方法では,介助者の負担が軽減して腰痛の防止につながることと,被介助者の安全性が図られると述べられているが,中でも重要な指摘は被介助者の快適性である。勢いをつけて一気に行われる従来の移動介助方法は,被介助者にとってかなりの苦痛を伴うが,本書の方法ではこの点が大きく改善されている。本書ではさらにこの移動介助動作が,従来の移動方法とどこが異なるかについて,3次元動作解析のデータを用いて分かりやすく解説されている。本書で勧めている介助動作のバイオメカニクスについて視覚的に理解ができて,その有効性を納得できるであろう。

 先にも述べたが,本書では実際に行う頻度が高く,比較的簡単に安全に行いうる介助動作が多く述べられており,非常に理解しやすい内容となっているので,移動や寝返りに介助を要する入院患者,施設入所者,在宅の人たちの治療,看護,介護に関与するあらゆる職種の人たちにぜひとも一読をお勧めしたい。
創意工夫と熱意に満ちた動作介助の実践書
書評者: 中俣 修 (首都大学東京 健康福祉学部理学療法学科)
 不適切な動作介助の方法は,腰痛の原因の1つとされる。そのため医療従事者は,よりよい介助方法を行い自身の身を守ることが必要である。本書は,介助者の腰痛を予防し被介助者にも安全でやさしい動作介助の方法を紹介した『腰痛を防ぐらくらく動作介助マニュアル』(2002年,医学書院)に,その後の実践と工夫の成果が加えられ全面的にリニューアルされたものである。その内容は,「動作介助の意義と原則」「トランスファーの分類」「トランスファーの基礎」「下肢の支持性があるタイプへのトランスファー」「下肢の支持性がないタイプへのトランスファー」「寝返り」「起き上がり」「立ち上がり」「エビデンスへの取り組み」「まとめ」の10章で構成されている。

 前書と比較した本書の特徴としては,(1)介助者の腰痛の原因の1つとされるトランスファーの介助技術がより重視され,汎用性の高い介助方法が厳選され紹介されている,(2)付録DVDの映像および説明が充実し,介助技術の実際がより分かりやすくなっている,(3)本介助技術における介助者および被介助者の動きの特性を科学的に検証している,以上の3点が挙げられる。

 中でも,トランスファーの介助技術については,要介助となる原因を分類することで選択する介助方法との関係が分かりやすくなっており,DVDには実際の介助方法をさまざまな角度から捉えた映像と説明,動作解析装置による分析結果などが収録されているため,「介助者が動作の軸の中心となる方法から,被介助者が動作の軸の中心となる方法へ」と本書で提唱する介助技術の理論と実際を理解できるようになっている。さらには,病院での実際の使用映像が加わり,介助者および被介助者の身体の動き・スピード・動作のタイミングなど視覚的に捉えやすくなるよう工夫されている。

 本書は,よりよい介助技術の開発と科学性の追究をめざす著者をはじめとした動作介助研究会の創意工夫と熱意に満ちた内容になっている。本書の内容と自身の介助方法とを比較することで,自身にも介助される方にもやさしい介助方法を考えるきっかけになると考える。
多様な身体状況に対応した動作介助の実践書
書評者: 杉本 篤夫 (東海大医学部専門診療学系リハビリテーション科学)
 近年,いわゆる高齢化に伴い介護を受ける人口は増える一方です。しかしそれらの人々を日常的に介護するのが,理学・作業療法士など運動生理学を学んできた専門家である場合は多くありません。病院等では看護師や介護士,あるいは無資格の助手と呼ばれる人たちも必要に応じて介護をすることもあるでしょう。また,在宅においては,担い手は家族が中心となります。

 そんな中,多くの理学・作業療法士が,看護師や介護士,家族の人たちから「どのように動作介助をすれば楽にできるのでしょうか」という質問を受けます。そのうえ,時間をかけてわかりやすく説明したつもりなのに同じようなことを何回も聞かれたり,教えたことと異なる方法で介助しているのを目にする経験もよくあるでしょう。もちろん介護する者,また介護される者の体格,体力,病態,そして介護する場所とその環境等で,介護の仕方は変えなくてはなりません。そこで,それらの方法をわかりやすくまとめている本がないかと探すのです。ところが,今回紹介する「もっと!らくらく動作介助マニュアル」を一読してもらえれば,今後はあまりいろいろと探す必要がなくなるかも知れません。

 この本は写真が多く,見て理解しやすい内容ですし,多くの身体状況を網羅していて,多種多様なケースに対しての介助法がわかりやすく描かれています。また,付録のDVDでは実際に近い介助の仕方が具体的に映像と解説で示され,何度も確認することができます。ですので,動作介助が初めてというような経験の浅い人にも,安心して紹介できます。

 この本を読んでいくと,以下の2点が基本的な考えとして理解されます。1つは持ち上げない介助,もう1つは患者の残存能力を利用するということです。残存能力を利用するということは,できるだけ,できる動作を行ってもらうという元来のリハビリテーション的な考え方でもあります。過剰な介助をすることは,患者の残存能力の維持・向上を妨げる結果につながると思います。適切な方法だけでなく,適切な量の介助という考え方です。

 最後のIX章では,この本で紹介された介助方法と従来施行されていた方法の動作の違いを,三次元動作解析を用いてわかりやすく説明しています。もし今まで行ってきた介助方法に疑問を持っておられる方や,他の方法を試してみようと思っておられる方はぜひとも一読していただき,楽だと思われたらそれを実践し広めていただければ幸いです。介護される人は介護する人が倒れると共倒れになる危険があります。そうならないためにも専門家が一読して,今後の臨床に用いるかどうかも判断していただきたいと思います。

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