看護のためのポジティブ心理学_立読
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361ポジティブ感情とは島井哲志私たちは,日常生活の中で,さまざまな感情を経験している。通勤途中で見かける庭のきれいな花を見るとうれしくなるし,満員の電車に乗って押しあいをしていると,気持ちがどんよりしてくるかもしれない。このうち,ネガティブな感情をもたらす経験については「ストレス」として多くの研究で取り上げられてきた。これに対してポジティブな感情の研究は近年まで盛んではなかった。ポジティブ感情(positive emotion)とは,喜び,誇り,満足,興味と愛情などを総称したものであり,恐怖,怒り,嫌悪,落ち込みなどのネガティブ感情と対比して用いられる。1ポジティブ感情とネガティブ感情■ネガティブ感情が生じる場面と特徴運転をしていて,進路先の脇道からコロコロとボールが転がってくると,思わず緊張し不安な感情がわく。このように,ネガティブな感情は対応しなくてはならない事態に付随して生じ,ブレーキを踏むなど何か行動することを準備する。ネガティブ感情には,緊急に対する対応という側面があり,それだけインパクトも強い。そのため,例えば昨日のことを思い起こすと,ネガティブな感情を起こした経験が多く挙げられるかもしれない。第2章  看護実践に活かす概念Positive Emotionポジティブ感情

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