実践 マタニティ診断 第3版
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246IV事例にみる産褥期のマタニティ診断の実際とケア計画 ここまで産褥期のマタニティ診断について詳細に解説してきた。 最後に,産褥期のマタニティ診断を実際にどう行うか,事例に沿って解説してみたい。ケア計画についても触れておく。 ほぼ順調に産褥期を経過している褥婦の3日目および要支援となった5日目のマタニティ診断とケア計画,家庭訪問時(産褥9日目)のマタニティ診断とケア計画を紹介する。1.順調な経過をたどっている褥婦(産褥3日目)のマタニティ診断とケア計画 褥婦A子さんの紹介 A子29歳初産婦。会社員(運送業)のパートナー(32歳)と二人暮らしの主婦。●妊娠の経過 妊娠中は順調に経過し,特に問題はみられなかった。初めての妊娠で,分娩の痛みがこわかったり,児が無事に生まれてくるのかという不安があった。 A子の弟が難産で生まれてきたため,A子の実母も出産に対する不安感をもっていた。 妊娠期の経過診断はすべて良好。健康生活診断では「不安」がみられたものの,保健指導を受けることによって,増大することはなく,不安への対処行動はとれていた。 身長164cm,出産直前の体重は非妊時より8kg増加。●分娩の経過 40週1日に陣痛開始し,分娩所要時間は16時間で男児2,968gをアプガースコア8/9で経腟分娩した。 分娩経過中,パートナー・実母の付き添いにより産痛コントロールができ,不安が増大することなく,また分娩経過に異常もなく順調に経過した。 分娩時の出血量342g,子宮収縮良好,身体的変化・生殖器の復古状態ともに良好,分娩時,会陰切開しなかったが,腟壁裂傷により縫合術を行った。 分娩期の経過診断はすべて良好,健康生活診断もすべて適切であった。

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