実践 マタニティ診断 第3版
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132第3章 分娩期のマタニティ診断診断名:LP331 分娩直後の状態 良好    LP332 分娩直後の状態 要経過観察    LP333 分娩直後の状態 要精査定義:分娩終了から2時間までの母体の変化が生理的範囲にある状態診断指標① 出血(量・性状)が正常範囲である② 子宮収縮が良好である③ バイタルサインが正常範囲である④ 軟産道の損傷がない⑤ 分娩所要時間が正常範囲である⑥ 後陣痛が自制できる 診断名 LP331 分娩直後の状態 良好 診断指標 ① は,母体の状態を診断するための重要な診断指標である。特に分娩直後は異常出血などを起こしやすく,産婦の状態に急激な変化が生じる。胎盤娩出後から2時間を分娩第4期という言葉を用いているところもある。正常分娩では,分娩第1期,第2期にはほとんど出血をみない。出血量の大部分は胎盤娩出に伴って排出される分娩第3期の出血で,通常200~400mLであり,500mL以内が正常範囲とされている。診断指標 ② は,子宮底の触診により判断する。診断指標 ③ は,分娩時に生じた母体のバイタルサインの変化の多くが一過性であり,分娩終了とともに次第に以前の状態に回復するのが一般的である。診断指標 ⑤ については,正常分娩における分娩所要時間の平均は,初産婦12~15時間,経産婦5~7時間であり,初産婦では30時間まで,経産婦では15時間までを生理的としている。分娩各期とも,初産婦と経産婦とでは,所要時間が異なることを理解しておく必要がある。診断指標 ⑥ は,経産婦は初産婦に比し痛みが強い傾向がある。陣痛と同様に痛みの訴えには個人差が大きいことを理解して,診断指標 ② の観察結果と合わせて判断する。 これら6つの診断指標に沿った観察から判断して【分娩直後の状態 良好】と診断名をつける。 診断名 LP332 分娩直後の状態 要経過観察 正常範囲から多少逸脱しているが,ただちに治療が必要というほどでなく,経過をみた上で判断してもよいと思われるときは,【分娩直後の状態 要経過観察】と診断名をつける。この診断は難しく,特に診断指標 ①②③④ に関して経過観察を継続する場合などは,あらかじめ医師に産婦の状況を連絡しておくことが必要な場合もある。緊急事態に対応できるような準備も必要である。特に分娩時の出血が500mLに近い場合や,縫合するほどではないが軟産道に損傷がある場合は注意を要する。子宮収縮が子宮底マッサージにより改善するような状態や現在

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