実践 マタニティ診断 第3版
4/12
34第2章 妊娠期のマタニティ診断1.診断に必要な情報 1)情報収集 妊娠期の情報は分娩期・産褥期・新生児期の基礎情報ともなる。妊娠期の情報収集は,妊婦が外来で定期健康診査を受けている短時間に行わなければならない。経過診断に関する情報は収集できるが,健康生活診断に関する情報は,看護者が,意図的にかかわらなければ,必要な情報が得られにくい。そこで経時的に変化する妊婦の逐次情報や追加情報を,計画的に収集するように心がけたい。 情報収集は,初診時の問診票のほかに,追加的に再診時や保健指導時に「質問票」を用いると効果的である。そのことによって,妊婦の全体像をはじめ家族との関係・生活環境など多くの情報を収集することができる。(1)基礎情報 基礎情報は,主に初回面接時に得る情報である。 妊婦の属性:① 妊婦の氏名,② 年齢,③ 初・経産別,④ 妊娠・分娩歴,⑤ 住所,⑥ 連絡先,⑦ 非妊時の身長・体重・BMI,⑧ 血液型,⑨ 既往歴,⑩ アレルギーの有無,⑪ 職業 パートナーの属性:① パートナーの氏名,② 年齢,③ 連絡先,④ 身長・体重,⑤ 既往歴,⑥ アレルギーの有無,⑦ 職業(2)追加情報・逐次情報 追加情報・逐次情報は,主に妊婦健康診査や保健指導時に得る情報である。これらの情報については,妊娠週数に応じた「質問票」(追加情報用紙)を作り,次回の診察時,収集するように努める。質問票に盛り込む項目には,下記のようなものがある。●妊娠週数に応じた「質問票」項目例 ① 妊娠20週くらいまで:パートナー(健康状態,既往歴,血液型,性格,嗜好など),家族構成,日常生活習慣および生活リズム,生活環境(住居の種類,騒音の有無,日当たりなど) ② 妊娠20週から妊娠27週くらいまで:妊娠してからの生活習慣の変化(食事,排泄,運動,休息,睡眠,嗜好の変化など),生活リズムの変化,妊娠に対する気持ち,胎児に対する想い,パートナーや家族との関係など ③ 妊娠28週以降:生活リズムの変化,バースプラン,出産時の処置に対する希望(会陰切開,母児早期接触など)・出産後の生活設計(出産後の手伝い,キーパーソン,支援体制など)・育児に関するパートナーとの話し合い(母乳育児の希望の有無,育児方針,上の子への対応など)
元のページ