実践 マタニティ診断 第3版
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32I妊娠期のマタニティ診断の特徴と着目点 妊娠とは,受精卵の着床に始まり,胎芽または胎児および付属物の排出をもって終了するまでの状態をいう(日本産科婦人科学会)。妊娠期間については最終月経第1日を妊娠0日とし,その日から40週0日を分娩予定日と定め,分娩が終了する期間までとしている。また,妊娠16週未満を妊娠初期,妊娠16週0日から妊娠27週6日までを妊娠中期,妊娠28週以降を妊娠末期としている。妊娠42週以降になっても分娩に至らない妊娠を過期妊娠と定義している。 妊娠期は,分娩期や産褥期に比し,40週と長期間である。その間母体と胎児には生理的変化が起きる。ときには生理的変化からの逸脱,逸脱からの回復,異常への移行などさまざまな経過を経て出産に至る。 妊婦は40週という長い経過の中で妊娠を受容するとともに,その価値をみいだし,母性意識を育んでいく。そして,出産・育児に向けてパートナーや家族との関係を見直し,妊婦としての役割をとりつつ支援体制を調整していく。また,妊娠期間は新しい家族を迎えるための準備期であり,妊婦とその家族の生活も変化させていく時期である。いずれにしても,妊婦が妊娠期間を心身ともに良好な状態で過ごせるか否かは,出産や出産後の母児の健康,育児にも影響を及ぼすことになる。特徴 妊娠期のマタニティ診断の特徴は,常に母児2つの生命にかかわる診断ということにある。胎児に関しては,超音波診断などによりかなり正確に情報を得られるようになった。しかし,異常の早期発見については,妊婦の感覚に頼ることが多い。また,妊娠に伴う日常生活の変化についての対応も,妊婦の自覚や行動力が主力になる。それらをふまえて看護者の視点で診断するところに妊娠期のマタニティ診断の特徴がある。着目点 妊娠期のマタニティ診断の着目点は,妊娠週数に応じた経過をたどっているか,逸脱した徴候はないかの見極めと,妊婦がセルフケアを行えているか否かを判断することにある。そのためには,妊娠週数に応じた情報収集が必要である。追加情報や逐次情報を効率よく収集する方法を工夫し,医療者と妊婦との接触が少ないという妊娠期間中における情報収集のデメリットをカバーしなければならない。診察中や面接中に知り得た情報を1つひとつていねいに分析し,現在の状況を確認して診断し,ケアにつなげていきたい。

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