実践 マタニティ診断 第3版
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249IV 事例にみる産褥期のマタニティ診断の実際とケア計画 情報分析●産後の手伝い・相談相手はパートナー・実母。●乳汁が分泌してきたので,母乳パットを使用している。●産褥1日目の朝より授乳開始,5~8回/日の授乳。●授乳姿勢:横抱きで安定。●ミルクを足しているができれば母乳で育てたいと言っている。母児同室して3日目である。●衣類の着脱・おむつ交換,抱っこ,排気などを実施,タオルなどで温度の調整を行っている。午後2時に児の体温を測定している。●授乳は児に語りかけながら行い,しっかり児と目を合わせ抱いている。る。パートナーについて語る様子から,パートナーとの関係が親密であり良好な状態である。●家族関係 言動から家族との円滑な人間関係が保たれていると推察できる。分娩進行中には実母・パートナーの協力も得られていた。出産育児行動●育児技術 現時点では育児が始まったばかりで,母児同室時に必要な育児技術を習得させていく。●授乳行動 母乳育児を希望しており,授乳状況により人工乳を補足しており,授乳量の過不足を判断でき,対応もスムーズに行えている。●乳房の自己管理 乳房の変化に対する本人の理解はあるが,今後さらに変化していく乳房の状態に対する対処法などの知識が少なく,自己管理への支援が必要。乳房のトラブルが起こらないよう知識とケアを提供,スムーズに母乳育児が確立できるよう支援していく必要がある。●愛着行動 妊娠中より育まれた母児の絆が,出産後,児との接触によりさらに母親としての実感が生じ,児に対しての愛着が行動として表れている。パートナーや家族からの支援・祝福を受け,不安にも対処できており,情緒も安定していることから,より母児間の愛着形成を促していくことができると思われる。●下肢浮腫(+),足背浮腫(+)圧痕が認められる。「なぜか足がパンパンになってスリッパがきついんです。どうしたらいいですか?」●母児同室を開始している。児の欲求に合わせて授乳をしている。●産後のマイナートラブルへの対処行動 排尿状況やバイタルサインにも異常が認められないため,産褥に起こる一過性の浮腫である可能性が高い。 下肢にのみ浮腫が著明なため日常生活動作において浮腫を増強させる因子がないかアセスメントする必要がある。●育児プランの調整 日中の母児同室が始まり,実際の生活を進めているところである。これから,妊娠期に考えていた育児プランとの相違に対して,スムーズに調整できるよう支援していく。
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