実践 マタニティ診断 第3版
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248第4章 産褥期のマタニティ診断順調な経過をたどっている褥婦(産褥3日目)のマタニティ診断とケア計画情報分析【経過に関する情報】●11月9日早朝2,968g男児分娩●子宮底 臍恥中央 硬度良好●赤色悪露 少量 後陣痛(-)●外陰部痛(-)痔痛(±)●排便(+)●乳房緊満(±)自発痛(-)圧痛(-)乳頭にトラブル(-)乳管開口右5本 左7本 乳汁分泌 たれる 授乳量5g/1回●KT 36.8℃ P 83 BP 102/62 Hb 10.9g/dL(産褥1日目)●めまい・ふらつき(-)顔色良好●体重59.4kg 出産前64kg(-4.6kg)母体の状態●生殖器の復古 子宮の復古は正常範囲であり,肛門部痛もよくなりつつある。外陰部の痛はない。●乳房の状態 緊満感が出現し分泌量は産褥3日目の平均よりやや少ない。●身体的変化 バイタルサインは正常範囲である。分娩前より体重が4.6kgの減少,正常範囲である。Hb10.9g/dLであり,やや貧血気味であるが,ふらつきはないので,このまま様子をみてさしつかえないと思われる。【健康生活に関する情報】●食物アレルギーなし 食事全量摂取 食欲(+)間食はない。●排便:1回/日(妊娠前と同様)●外陰部痛(-)痔痛(±)残尿感(-)。「睡眠は3~4時間くらいおきに起きますが眠れています。」●就寝時間は早いが,朝までゆっくり眠れる。日中ベッド上で休息をとっている。夜間は新生児室に来て授乳している。疲労感(-)。 家族や友達の面会多い。産褥1日目よりシャワー浴。●分娩後,外陰部の清潔保持の方法・必要性は指導済み。 毎授乳時手洗いをしている。表情は明るく,笑顔がみられる。 口調・表情ともに穏やか。●パートナーは毎日面会に来る。児と触れ合う際,穏やかな表情。 にこやかに話す。実父母の面会あり。●産褥体操をベッド上で行っている。主に,骨盤底筋群を鍛える体操を実施している。基本的生活行動●食事行動 食事は全量摂取できており,食欲もある。●排泄行動 産褥2日目より排便あり。●睡眠 十分な休息がとれ,夜間の授乳に向けて体力は回復できている。●動作 行動範囲も拡大しており産褥経過に合わせて行動している。●運動・休息 適時自身で休息をとり自己管理できている。また,産褥日数,自己の体の回復に合わせた活動が取り入れられており,運動と休息のバランスがとれている。●清潔行動 産褥1日目よりシャワー浴。皮膚の清潔や外陰部の清潔はよい。授乳時には手洗いをし,児の清潔への配慮も行えている。精神・心理的生活行動●情緒・不安への対処行動 パートナーとの会話や児に接しているときの表情から,情緒は安定し不安の表出はできていると考えられる。●出産したことの価値 児に対する言動などから児を大切に思う気持ちや出産したことを喜んでいることがわかる。●出産の受容 前向きな言動が聞かれており,産褥の経過に応じた生活行動がとれている。うれしそうに児の世話をしており,出産の受容ができている。●ボディ・イメージの変化 自身の体の復古のために,産褥体操を行っていることや体の変化に合わせて,対応できていることから出産による体型の変化を受容できている。社会的生活行動●パートナーとの関係 分娩中もパートナーの協力や支えがあり,信頼関係が築かれてい

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