内科レジデントマニュアル 第8版
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119高血圧症(緊急対応中心)7 著しい高血圧を認めた時,迅速な診察と検査によって診断および病態の把握を行い,ただちに降圧を開始する必要のある「高血圧緊急症(hypertensive emergency)」か,緩徐に降圧させるべき「高血圧切迫症(hypertensive urgency)」かを,判断する必要がある.そのためには,血圧数値のみで緊急症か切迫症かどうかを判断するべきではなく,重篤な臓器障害(心,腎,中枢神経系合併症)の有無を見極めなくてはならない.基本方針 臓器障害の有無を確認し,高血圧緊急症と診断された場合には,合併する臓器障害に準じた降圧を迅速に行う.定義・重症度 ただちに降圧を図るべき狭義の「緊急症」と,数時間以内に降圧を図るべき「切迫症」に分類される. 1 高血圧緊急症 血圧の高度上昇(多くは180/120 mmHg以上)によって,脳,心,腎,大血管などの標的臓器に急速に障害が進行する病態である(単に血圧が異常に高いだけではない).ただちに経静脈的に降圧を開始し,入院管理(集中治療管理)の必要がある. 2 高血圧切迫症 180/120 mmHg以上であっても臓器障害の急速な進行がない場合は緊急症ではなく,切迫症として扱う.降圧薬内服による降圧を基本とし,必ずしも入院の適応はなく,数時間以内に開始する. 3 加速型─悪性高血圧 拡張期血圧が120~130 mmHg以上であり,進行性の腎機能障害から昇圧の悪循環を生じる. 切迫症として扱われているが,細動脈病変が進行し,臓器障害を生じる病態であり,緊急として扱われるべき病態である.高血圧症(緊急対応中心)hypertensive crisis7

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