内科レジデントマニュアル 第8版
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41感染症治療3Ⅱ 各種感染症の起因菌と初期治療─肺炎7起因菌検出後にはその菌による感染に対して適切な抗菌薬を投与する初めに投与した薬剤をより適切な薬剤に変更すべき場合もある.可能であればより狭域スペクトラムの抗菌薬に変更する. ①β溶連菌に対してはペニシリンGまたはアンピシリンを投与する. ②黄色ブドウ球菌(MSSA)感染に対しては,髄膜炎以外ではセファメジン(cefazolin)を投与する. ③緑膿菌感染に対してはモダシン(ceftazidime), マキシピーム(cefepime),ペントシリン(piperacillin),シプロキサン(cipro- oxacin),メロペン(meropenem)などを投与する.重症緑膿菌敗血症ではさらにトブラシン(tobramycin)を併用する. ④腸球菌感染にはビクシリン(ampicillin)を投与し,心内膜炎,敗血症など重症感染ではビクシリン(ampicillin)にゲンタシン(gentamicin)を併用する.(併用によって相乗的殺菌効果あり)8患者の個々の状況に合わせた治療を行う年齢,基礎疾患,腎機能,妊娠,アレルギーの既往などを考慮する.9患者を毎日注意深く観察し,フォローする治療効果,副作用の有無などを患者の自覚症状,身体的所見,各種検査所見から総合的に判断する.ⅡⅡ 各種感染症の起因菌と初期治療(empiric therapy)肺炎(pneumonia) 1 市中肺炎市中肺炎を細菌性肺炎,非定型肺炎,吸引性肺炎に分類して対応する.①細菌性肺炎では上気道炎症状の後,咳,膿性痰,発熱,悪寒,吸気時胸痛,聴診で湿性ラ音,末梢血で白血球増多などを呈する.起因菌はStreptococcus pneumoniaeが最も多く,次にHaemophilus in uenzae,Klebsiella pneumoniaeなどがある.②異型肺炎では,咳,発熱はあるが,痰は少ない,または粘液性.聴診ではラ音は乏しく,時に軽度cracklesを聴取する.白血球は正常範囲内のこともしばしばある.起因菌は,Mycoplasma pneu-

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