内科レジデントマニュアル 第8版
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120高血圧症(緊急対応中心)7 4 一過性の血圧上昇1圧反射機構の障害 高齢者では圧反射機構の障害で血圧変動が大きく,疼痛や尿閉,便秘などを原因として一過性に血圧上昇をきたす.原因を取り除き,繰り返し血圧測定を行う必要がある.※血圧コントロールが良好に維持されていた場合は,安静のみで降圧されることも多い.2不安による過換気 正常者とは逆に血圧が上昇する.3パニック障害 過換気や交感神経緊張によって一過性の血圧上昇をきたす.不安,パニック障害では降圧薬のみでの降圧は困難であり,心理面からのアプローチが必要である.原因・鑑別診断 高血圧を起こしている原因疾患を鑑別することが重要である.・高血圧性脳症・乳頭浮腫を伴う加速型─悪性高血圧・高血圧性左心不全・狭心症,心筋梗塞を伴う重症高血圧・大動脈解離・くも膜下出血あるいは脳血管障害を伴った重症高血圧・褐色細胞腫に関連したクリーゼ・重症の子癇前症または子癎・周術期の重症高血圧・薬剤に関連したもの  モノアミン合成酵素阻害薬と食品との相互作用,交感神経作動薬,  麻薬,降圧薬中断による反跳性高血圧など・重症熱傷・重症鼻出血・頭部外傷などを伴う重症高血圧()病歴聴取のポイント 1 自覚症状の有無■頭痛,視力障害,神経系症状,悪心,嘔吐⇒高血圧脳症,脳血管障害を疑う.■胸痛⇒虚血性心疾患を疑う.■胸背部痛,腹痛,下肢痛⇒大動脈解離を疑う.Ⅱ.症候・疾患編

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