医学書院の70年
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1968.02.01課程が,また,高校教育の一環として衛生看護科が開設され(1964年),大学教育としての看護学科や看護短期大学の開設をみるに至った。 1960年代に米国で発表されたヘンダーソンやジョンソン,アブデラの看護論はわが国の看護界に大きな衝撃を与えた。健康とのかかわりで看護独自の機能が追究されるなかで,看護の対象は人間であり,人間への心身両面への働きかけが看護であることから,患者中心の看護や保健活動の重要性が改めて指摘されたのである。 この間,社は『高等看護学講座』を補完する教科書として『高看双書』(全19巻)や『進学コース看護学講座』(全11巻)を発刊したが,いずれも時代を先取りすることができず,十分な補強とはならなかった。 1968年2月1日,当時検討され始めた新カリキュラムに準拠しつつ,看護独自の教育体系を目指して新たに発刊されたのが『系統看護学講座』(全26巻)である。診療科別の『高等看護学講座』から臓器別・系統別の『系統看護学講座』への変革には,当初,一部教育現場で戸惑いの声も聞かれたが,徐々に受け入れられ,現在では主流となっている。内容・著者陣の充実を重ね,改訂と増巻,判型の大型化,2色化・4色化を経て,今日の全67巻のシリーズにつながっている。その内容と信頼性の高さは,看護学教科書の市場における圧倒的な占有率が物語っている。70 years of igaku-shoin086

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