医学書院の70年
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1950.10.01創業から6年後,日本医学雑誌株式会社と株式会社学術書院の合併を目前にした1950年10月1日に,社の取引業者の親睦団体として医学書院協力会が結成された。戦後の混乱がまだ色濃い時期であり,困難な状況のなかで社の事業を扶助し,それによって会員の事業の発展を享受しようという共存共栄を意図したものであった。会員の資格は医学書院と取引する印刷,製本,用紙など制作関連の商工業者で,幹事会の議を経た者とすることなどが規約として定められ,会員の会費をもとに運営された。  主な活動として,夏には熱海で1泊の懇親会,12月は忘年会が催された。会食の前に協力会総会が開かれ,その際に社からの現況の説明と更なる協力が要請され,会食では親睦を図るとともに情報交換が行われた。 また,毎年識者による講演会も開催され,1999年には社長の金原優が講演を行った。出版界・出版社として対処を考えなくてはならない問題のうち「再販制度」「コピー問題」「出版社の権利」「日本複写権センター」などの8項目にわたって簡潔・明快に解説。のちにこの内容は『出版界は今何が問題か』と題する冊子にまとめられ,日本書籍出版協会の関係者などから好評を得た。その他,1986年のDRUPA(国際印刷総合展,デュッセルドルフ)をはじめ海外視察も行われ,進展著しい最新の印刷技術の趨勢を把握することに努めた。 協力会は結成時には10社(印刷5,製本1,製版1,用紙3)で構成されていたが,1984年には33社(印刷15,製本6,製版版下4,用紙3,広告代理店5)となり,1999年は24社であった。結成から50年の間に,組版技術も活版,手動写植,電算写植,DTPと大きく変動を遂げた。一方,社では電子出版への参入が明確となり,SGMLやデータベースによる処理も必要となっていた。求められる設備,人員,サービス内容が多様化し,結果として,より柔軟な発注体制が求められるようになってきたことから,2001年12月の総会で,半世紀にわたり社の制作を支えた協力会に感謝しつつ解散を提案,承認された。協力会から寄贈された給水機A drinking water fountain inscribed with “Igaku-Shoin Cooperative As-sociation”.医学書院協力会結成Formation of the Igaku-ShoinCooperative Association70 years of igaku-shoin026

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