医学書院の70年
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2011.03.112011年3月11日(金)14時46分,東日本大震災が発生した。宮城県北部で最大震度7を観測し,東北地方から関東地方の太平洋沿岸部一帯に甚大な被害をもたらした。 2007年に竣工した免震構造の社屋に目立った被害はなかったが,交通機関はすべて止まり,道路は完全に麻痺状態となった。多くの社員が徒歩で帰宅,あるいは社内で仮眠し,翌朝交通機関回復後に帰宅した。社は非常用に備蓄していた水,乾パン,保温マットのセットを配布した。 東北・北関東の特約店(書店)では,棚からの商品落下はもとより,店舗施設の破損,地震によるスプリンクラーの作動で商品が水に浸かるなどの被害が出た。ほどなく社長の金原優は被災地の特約店のお見舞いに出向いている。また,被災地域への支援の一環として『今日の診療WEB版』を無料開放,発行雑誌の中から災害医療に関する記事もインターネットで無料公開した。被災地域の学生に向けては,購入済の社発行の教科書について,地震や津波で流出,破損,汚損したものを無償で補填した。これらの対応は1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災のときと同様であった。 東北地方を襲った未曾有の大震災は,社の業務にも少なからず影響を及ぼした。4年に一度開催される日本医学会総会は,この年2011年4月に予定されていたが地震の混乱で中止。その他の学会も多くが中止された。金原優が理事長を務める日本医書出版協会の創立50周年記念イベントも延期となった。また,東北地域の製紙会社が甚大な被害を受けたことにより,用紙の調達も困難となった。制作部では社内外の情報を集約し,企画の優先順位などの状況判断および調整を行い,何とか印刷用紙を確保することができた。原発停止による電力不足に対しては,エレベーターの一部を止めたり,クールビズを導入するなどして節電に取り組んだ。書棚から落ち,散乱する書籍(2011年3月/仙台アイエ書店)(アイエ書店提供)Books fell from the bookshelf,scat-tered.東日本大震災発生The Great East Japan Earthquake70 years of igaku-shoin200

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