医学書院の70年
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実習記録も含め,看護学生の臨地実習を全面的にサポートするテキスト群を作ろうという構想が持ち上がったのが2005年,その後,市場調査と企画の練り上げにほぼ2年近くの歳月をかけ,周到な準備のもと“からみた”シリーズは進められた。“からみた”の由来は,キーポイントとなる視点を示すためにシリーズで共通して使われた前付タイトル“○○からみた”を略した一時的な社内呼称であったが,語呂の良さも手伝って対外的にも“からみた”の愛称で宣伝するようになった。 最初のシリーズは「看護過程」に焦点を当てたもので,2008年8月1日に発行された『小児看護過程』を皮切りに,『老年看護過程』『疾患別看護過程』『母性看護過程』『症状別看護過程』の計5冊が発行された。必要な情報がすべて詰まったオールインワンを目指したことで,これらの合計頁数は実に5,300頁にものぼり,看護書としては異例中の異例ともいえる大冊のシリーズとなった。なかでも『疾患別看護過程』は1冊で2,000頁を超え,「枕」「レンガ」と呼ばれるほどであった。「看護過程」シリーズは社が最も得意とする分野の一つである看護診断・看護過程を全面的に紙面に反映したもので,その教育的配慮が教育現場からの圧倒的な支持を受けるとともに,電子カルテ化の流れに乗って臨床現場からのニーズも高く,他の追随を許さない大ヒットシリーズとなっている。 シリーズの続刊として「看護技術」にフォーカスした新しいシリーズが2012年8月から発行された。医療安全に対する意識の高まりのなか,徹底した根拠と事故防止の視点をコンセプトとして貫いている。現在までに『老年看護技術』『母性看護技術』『小児看護技術』『基礎・臨床看護技術』『フィジカルアセスメント』『からだのメカニズム』の6冊が発行されているが,こちらも好評のシリーズとなっている。 本シリーズには,2010年に発行した大判の『病態生理ビジュアルマップ全5巻』もあり,全体で16冊となるが(2014年7月現在),今なお続刊が予定されている。187

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