医学書院の70年
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2005.07.01『看護医学電子辞書』発行この日,社から『看護医学電子辞書』が発行された。検討を開始したのはさかのぼること3年ほど前になる。当初,社の出版物の電子辞書化についていくつかの電子辞書メーカーから提案を受けていたが,すべてデータを提供しロイヤリティを受け取る,いわばメーカー主導型であり,提示された金額は社としては満足にはほど遠いものであった。 そこで一歩踏み込んだOEM方式で電子辞書そのものを製造・販売することにした。OEM方式とは,メーカーに「医学書院」ブランドで製造を委託し,社の製品として出版物と同様の書店ルートで販売する方式である。搭載するコンテンツや販売価格を自由に設定できるが,製作費が全額自社負担となるためリスクが高く,これまで出版業界ではほとんど例がなかった。そこでEP開発室が中心となり関連各部と検討を重ね,比較的大部数が見込める看護分野に絞った電子辞書を発行する企画をまとめた。これを複数のメーカーに逆提案したところ,カシオ計算機株式会社から応じるとの回答があり,こうして電子辞書への進出の道がようやく開けた。 実際に製作が始まると,ロイヤリティや契約面において出版界とは慣習が異なるため,戸惑うことが多かった。なかでも保証書を当社名義で発行することは,社が家電製品メーカーとなることを意味するため躊躇したが,社として発行することとした。また,1台当たりの製作費が紙媒体に比べて桁違いに高く,台数の設定には慎重にならざるを得なかった。紙媒体ならば売れ残っても断裁処分で解決するが,電子辞書では最後の1台まで売る覚悟が必要である。「第1回 電子出版大賞」の盾と電子辞書The Electronic Nursing-Medical Dictionary won the grand prize of the First JEPA Electronic Publication Award in 2007, displayed above between its certi cate of merit and the commemorative shield.70 years of igaku-shoin176

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