医学書院の70年
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辞典は出版社の顔であるとも言われるが,その刊行は至難の業である。予想される巨額な経費,厖大な事務作業量。時に口に出すことさえ憚られるこの種の事業は,往々にして経営トップの強い思いが船出の推進力となる。医学大辞典への着手は1991年の経営会議で決定された。最も積極的に推したのは社長の金原優であった。 その後数年に及ぶ予備調査,編集方針の検討を経て1995年12月の企画会議で,「高い信頼性」「内容の統合性」「項目の網羅性」「ビジュアルな紙面」を基本コンセプトとした『医学書院医学大辞典』の企画は正式に承認された。1996年4月には辞書編集室が発足。70名に上る責任編集者,3,400名を超える著者とのやりとり,5万余の解説原稿のチェック―社として初めての本格的な辞書編集作業はまさに暗中模索,苦闘の連続であった。2003年3月1日,企画承認から7年余を経て,B5判,3,080頁,見出し語10万の大辞典がついに発行を迎えた。翌月には第26回日本医学会総会(福岡)で披露され,確かな解説内容,4色の美麗な紙面・装丁が各層から絶賛を浴びた。 2009年2月には第2版が発行され,1万語に及ぶ見出し語の追加,見出し語への読み仮名併記,A5判へのコンパクト化など,内容のアップデートと使い勝手の向上が図られた。典拠としての信頼性,検索媒体として必要な利便性を一層高め,さらなる充実を図るべく,第3版に向けて現在準備が進められている。また,冊子体に限らず『今日の診療』『SII電子辞書』といった電子媒体にも搭載され,今後も社の重要なコンテンツとしてさまざまな展開が期待されている。『SII電子辞書』に搭載された『医学書院医学大事典, 第2版』Igaku-Shoin’s Medical Dictionary, 2nd edition loaded on SII Electronic Dictionary.175

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