医学書院の70年
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1981.12.02医学書院サウンダース設立この日,設立の契約がまとまった医学書院サウンダース(ISS)は,1968年に米国の医学書出版最大手W.B. Saunders(サウンダース社)を買収したCBS(米国の三大テレビ・ラジオネットワークの一つ)と社が作った合弁会社である。 社とサウンダース社との付き合いは古く,1960年以前にさかのぼる。1961年には同社会長L・サウンダース夫妻が来日し,主要教科書のリプリント版発行を協議し,以降順次発行が実現。さらに原書輸入,翻訳版の発行を通して両社の結びつきは深まった。 CBSはサウンダース社を買収後,専門書出版の海外戦略の一環として日本進出を検討し,1970年,社に合弁会社設立を打診してきた。社の回答如何にかかわらず,CBS側は独自に合弁計画を進める意向であったため,社の利益を守るために止むを得ず交渉のテーブルに着いた。交渉は難渋し,特に各論部分の交渉に多くの歳月を要し,大筋合意に達したのは交渉開始から10年以上経過した1981年であった。合意内容は別表のようなもので,原書の国内販売を除き,サウンダース社関連業務から事実上撤退するに等しいものであった。 CBSにおいて出版部門は,放送,レコード,楽器と並ぶ4大部門の一つを形成していたが,1986年にはCBSが出版部門をHarcourt Brace Jovanovich社 (HBJ)に譲渡し出版事業から完全撤退,ISSの株主もHBJと医学書院になった。 ISS社の業績は当初,リプリント版と翻訳版の発行によって順調に推移したが,4期目ごろから,円高による売掛金の評価損,翻訳書の売れ行き不振,リプリント版の採算悪化・発行中止などが重なり,業績不振に陥った。社としても,資本比率の上でマイノリティでは会社経営上も責任ある立場に立ち得ないと判断し,HBJからの申し入れを検討し,1988年4月30日をもって合弁契約を解消,累積債務を全額HBJが吸収することで合意に達した。なおISSはHBJ-Japanに吸収された。ISSのロゴマークThe corporate logo ofIgaku-Shoin Saunders Ltd.The Founding ofIgaku-Shoin Saunders Ltd.70 years of igaku-shoin114

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