1231234e3CDEABBACABC234123234123000162 ss1L●A5 ●248頁 ●定価3,740円 (本体3,400円+税10%)[ISBN 978―4―260―05758―5] onExcelを使ってデータセットを作成してみよういざ,統計解析を勉強しようと思ったときに,「はて,集めたデータをどうやってパソコンに入力するんだろう」と,立ち止まってしまう人も多いのではないでしょうか。多くの人はExcel統計を使って解析しようと思われるかもしれませんが,私は統計解析はJMPやR(EZR),Stataなどの統計専用ソフトを用いることを断然お勧めします。データセットはExcelで作っても問題ありません。統計解析の第一歩となるデータベースを,Excelを使って作成してみましょう(図1–1)。まずはExcelのそれぞれの行が1人ひとりの患者さんのデータになるように入力をしていきます(表1–1)。各列の縦のデータを変数と呼びます。年齢,体重や身長といったデータを連続変数,性別などはカテゴリー変数と分類します。研究データには個人情報は決して入れられないので,研究IDで管理研究ID:変数年齢:72歳性別:男性女性性別男性女性男性体重704559身長182150160研究ID年齢355872体重:59 Kg身長(cm):160 cm図1-1 研究データをExcelに入力する個々の被験者のデータは行で入力する。します。1列目は通常,研究IDを入れます。これは1人ひとりの被験者固有の番号であり,同じIDを別の被験者が共有することはできません。Excelの一番上の行には,変数名が入ります。変数名は数字では始めない,スペースを入れない,「(+*$」などのシンボルを用いないなどの注意が必要です。どうしても用いたい場合,ピリオドや下線はOKです。「身長180 cm」のように,データに文字を含んでしまうと足し算引き算などの算術計算ができなくなりますので,cmなどの単位はあらかじめ決めておき,入力データに含めないようにしましょう。性別などカテゴリー変数の自由記載はNGです。自由記載による表記ゆれがあると,集計時に別のカテゴリーとみなされるので,集計が大変困難になります。1人の被験者が2つ以上のカテゴリーを選択可能な場合,例えば複数の薬剤を1人で使用している場合,1つの変数に2つ以上の情報を入れると解析できなくなります。例えば,抗がん剤,降圧薬,血糖降下薬など,あらかじめ選択されるであろうカテゴリーについては,それぞれ個別に変数を作成しておき,「あり」「なし」と入力するとよいでしょう。基本的に,1行に1症例のデータのみを入力してください。Excelでは男性のみなど,部分集団のデータを空いている箇所にコピー&ペーストしたりしますが,それはやめてください。データセットにはグラフが入っていると,統計ソフトに読み込むことができなくなります。複数のシートが含まれている場合,統計ソフトにデータを読み込むときにシート指定が必要になりますので,原則,Excelの1ファイルにはデータセットを1シートで作成してください。実は,このような平均からSDの2倍の範囲に95%のデータが入るというのは,データが正規分布に並んでいるときにのみ成り立つのです。➡Point➡Point• SDは平均とともに用いられ,データのバラつきの度合いを示す。• データが正規分布に従うとき,約95%のデータは平均±2×SDの中に入る。正規分布とはテストの点数など,平均点近くの人の数が一番多く,0点や100点に近づくほど人数が少なくなり,釣鐘や富士山の形のようにその分布が左右対称になっているデータの分布をいいます(図1–3)。年齢,BMIなどは比較的正規分布を取ることが多い変数ですが,入院日数,病歴年数などの時間を表すもの,入院費用などのコスト,投薬量,マーカー値などの医学的,生物学的なデータはほとんど正規分布を取りません。このような数値はマイナスにはならず,ほとんどの人が低い値を取りますが,少数ではあってもかなり大きい値を取る人もいるのでデータの分布は左右対称にならないのです。つまり医学的なデータでは平均,SDを用いてのデータ記述は少々無理があるようです。表1-1 Excel入力の悪い例とよい例悪い例よい例3か月目の体重(kg)1研究ID身長(cm)1研究ID体重_3mo身長70 kg182 cm7018245 kg59 kg150 cm160 cm455915016015015010050平均値中央値10050平均値中央値10152025301020304050正規分布非正規分布(医学データはほとんどがこちら)図1-3 正規分布と非正規分布進化する統計手法を実践的に学ぶための決定版!統計の基礎知識─統計って何だろう発表するテーマを決め、文献にあたりながら内容をまとめ、スライドを作り……と、準備が多岐にわたる学会発表。臨床も多忙ななかでさらに頑張るあなたへ、味方になってくれる本をご紹介します。 | 78 著 新谷 歩sample臨床研究から論文抄読まで、医療統計の広範な知識を深める信頼の一冊が待望の改訂! 「医療統計は難しい」と感じる方向けに、よくある疑問や陥りやすいピットフォールに丁寧に答え、確実な理解へと導く。数式をできる限り避けた実例を豊富に取り入れ、手順を明快に解説。改訂版では新しい統計手法にも対応し、今の時代に即した知識が身につく。医療統計を実践的なツールとして活用したい方に必携の書! 目次や立ち読みはこちら>>今日から使える医療統計 第2版学会発表・究に役立つ本
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