● 外科専門医受験のための演習問題と解説 第1集 増補版● 外科専門医受験のための演習問題と解説 第2集専門医試験対策□□□□□□□□食道上皮はグリコーゲン顆粒に富み,ヨード染色で褐色に染色される.□□□□□□□□□□□□1□□□2○╳○╳食道癌の危険因子として関連のないものはどれか.2つ選べ.a. ヘルペスウイルスb. 低栄養・ビタミン欠乏c. アルコールd. Helicobacter pyloriの除菌e. コーヒー解説食道癌の危険因子は扁平上皮癌と腺癌に分けて考えるとよい.扁平上皮癌のリスクは,喫煙,アルコール,性別(男性),人種(黒人,黄色人種),腐食性食道炎の既往,HPV(ヒトパピローマウイルス)感染,緑黄色野菜の摂取不足,低栄養などが知られており,アジアを中心とした発展途上国に多い.逆に腺癌は欧米に多く,胃食道逆流症,Barrett食道,Helicobacter pyloriの除菌などの関与が考えられている.両者の特徴は相対する部分があり,扁平上皮癌は低栄養の痩せた男性に多い一方い.本邦では,食生活変化や肥満人口の増加に伴い逆流性食道炎は増加傾向にあるで,腺癌は栄養状態のよい肥満症を背景とした胃食道逆流を有する患者に発症しやすが,腺癌の明らかな増加は認められておらず,依然として食道悪性腫瘍の約90%は扁平上皮癌である(欧米では腺癌のほうが多い).コーヒーや緑茶は膀胱癌との関連が示唆されているが,食道癌の関連は明らかではない.右開胸による食道切除術を施行する際に,視認・同定すべき臓器もしくは器官として誤っているものはどれか.1つ選べ.a. 左反回神経b. 胸管c. 右気管支d. 胸部大動脈e. 胸腺解説解剖の知識だけでなく,おおまかな食道切除術の手順を理解している必要がある.★★★問1チェック!★★★問2チェック!正解a,eQ1食道の全長は40cmである.Q2Q3食道の生理的狭窄部位は2か所である.食道の固有筋層は上部では横紋筋,下部では平滑筋である.Q4Q5胸部食道は胸骨下縁から横隔膜までである.Q6Q7左反回神経は大動脈弓部で反回し上行する.頸部食道は椎骨動脈から栄養される.Q8Q9食道・胃は前腸から発生する.噴門部は食道胃境界線から噴門腺の存在する上下3cmの領域とする,西の定義が一般的である.Q11改訂LA分類は逆流性食道炎の重症度を示す.Q10肥満は胃食道逆流症の危険因子である.Q12薬物治療が奏効しない逆流性食道炎は手術適応である.Q13Plummer-Vinson症候群では嚥下障害をきたす.Q14Zenker憩室は牽引性である.Q15アカラシアの増悪因子として精神的ストレス,冷飲食,過労がある.Q16食道アカラシアの診断に食道内圧検査は必要である.Q17食道扁平上皮癌の危険因子は喫煙,アルコール,低栄養,ビタミン不足などがある.Q18Q19Toupet手術は全周性噴門形成術である.Belsey Mark Ⅳは食道裂孔ヘルニア修復術である.Q20アカラシアの手術にはHeller-Dor手術がある.Q21食道腺癌は胸部中部食道に多い.Q22食道癌は嗄声や誤嚥性肺炎をきたすことがある.Q23食道癌に対する化学放射線療法は有効である.250A1╳25cm程度,内腔は2.5〜3A2A3╳輪状咽頭筋,左主気管支・大A4A5○食道癌ではヨード染色は不染胸骨上縁から横隔膜までであら噴門部までの2等点で中部A6A7○右は鎖骨下動脈で反回する.╳下甲状腺動脈が主な支配血管前腸=腹腔動脈,中腸=上腸殖器A8A9西の定義は上下2cm.Siewから食道側1cm,胃側2cmA10○胃食道逆流防止機構として,帯,His角と胃泡の圧迫などA11○改訂ロサンゼルス(LA)分類はA12○ToupetもしくはNissen手術A13○鉄欠乏性貧血,嚥下障害,め,嚥下障害をきたす.A14╳圧出性の仮性憩室.RokitanA15○アカラシアは,食道癌のリス一次蠕動波の消失と,LESHeller-Dor手術.A16○A17○アルコール代謝産物のアセト約3/4周性・後壁型の噴門形ある.A18╳A19○開胸による食道裂孔閉鎖術.A20○その他にJekler-Lhotka手術A21╳食道腺癌はBarrett上皮から粘膜から発生するものは頸部少ない.A22○反回神経周囲のリンパ節転移よる症状がある.A23○根治が期待できる治療法であ消化管 消化管領域は全体の20%程度を占めます.一般的な臨床では胃・大腸癌の手術が大きな割合を占めていると思いますが,試験問題は食道や肛門に関する問題や良性疾患も同等の比重で出題されます.所属する施設によっては経験値に偏りが出るかもしれませんので,代表的な疾患・手術に関しては勉強しておく必要があります.基本的に難易度はそれほど高くないので,苦手分野を作らないように幅広く全体的に復習しておけばよいと思います。消化管癌の治療は近年,集学的治療の進歩に伴い,内視鏡的治療の適応や補助療法の簡単な知識が求められるようになってきました.ガイドラインに高い推奨で記載されているような一般的事項は再確認しておくとよいでしょう.癌以外では,逆流性食道炎,特発性食道破裂,イレウス,痔核などの診断や治療方針を問うものがよく出題されます。解剖の基礎知識も消化管だけで1~2題は出題されるので復習が必要です.見落としがちな胸部の解剖も食道疾患に絡めて出題されたことがあるので,必ずおさえておきましょう.外科専門医取得をめざす医師のための問題集。第2集ではアドバンス問題も多数収載!外科専門医予備試験(筆記試験)対策のための想定問題を数多く用意し、解説も充実。短期間で効率よく試験対策学習が行える、外科専門医取得をめざす医師の必携書。第1集では、試験直前の総チェックリストや認定試験(面接試験)のアドバイスも収載している。第2集では、実際の試験の出題傾向に沿った「模擬試験」を収載し、実践的な力試しもできる。B5 308頁 定価5,500円 (本体5,000円+税10%)[ISBN 978―4―260―02495―2] B5 264頁 定価5,500円 (本体5,000円+税10%)[ISBN 978―4―260―03045―8] sample『 外科専門医受験のための演習問題と解説 第1集 増補版』より |75消化管外科専門医受験のための演習問題と解説監修 加納 宣康 編集 本多 通孝
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