● 目でみるトレーニング 認定内科医・認定内科専門医受験のための151題 B5 352頁 定価6,600円 (本体6,000円+税10%) [ISBN 978―4―260―00584―5] ● 目でみるトレーニング 第2集 内科系専門医受験のための臨床実地問題 ● 目でみるトレーニング 第3集 内科系専門医受験のための必修臨床問題 ● 目でみるトレーニング 第4集 内科系専門医受験のための必修臨床問題 ラ◯R),エンドセリン拮抗薬(ボセンタン,トラク●原因不明のため治療は困難で,運動負荷は肺血●管抵抗を上げるため避けなければならない.症状図1入院時の胸部X線写真図2入院時の心電図患者56歳の男性.PT83.8%,APTT34.3秒(基準25~40).血液主訴呼吸困難(NYHAⅣ度,Hugh-Jones V生化学所見:アルブミン�Alb>5.0g/dL,尿素窒度).素�UN>23.3mg/dL,クレアチニン�Cr>1.13既往歴4歳時に血友病A,45歳時にHCV感mg/dL,AST60IU/L,ALT43IU/L,LDH染判明.248IU/L(基準115~245),γ-GTP414IU/L(基家族歴特記すべきことはない.生活歴喫煙や飲酒歴はない.現病歴12年前(44歳)に労作時動悸と息切れ準70以下),クレアチンキナーゼ�CK>71IU/L(基準57~197).免疫学所見:HIV抗体陰性.動脈血ガス分析(O�2L/分):pH7.491,PaO�とが出現した.先天性心疾患や肺塞栓症は認めな66.1Torr,PaCO�37.9Torr,HCO��28.7かった.以後,呼吸困難による入退院を計10回繰mEq/L.り返し,投薬に対する反応性は次第に悪化してき入院時の胸部X線写真(図1)と心電図(図2)とた.今回,症状が再増悪したため第11回目の入院を示す.となった.身体所見身長167.6cm,体重60.6kg.体温36.0℃.脈拍92/分,整.血圧116/92mmHg.心音はⅡ音の亢進と収縮期駆出性雑音(胸骨左縁第適切な治療薬はどれか.2つ選べ.3~4肋骨でLevineⅡ/Ⅵ)を認める.呼吸音は正β遮断薬常である.腹部に異常はなく,四肢に浮腫は認め免疫抑制薬ない.神経学的に異常所見はない.副腎皮質ステロイド薬検査所見血液所見:Hb16.3g/dL,白血球エンドセリン受容体拮抗薬5,800/μL,血小板16.9万/μL.凝固・線溶所見:プロスタグランジンI��PG I�>RRR●●●●●●●●●:::●:●:::::: 図1頭部単純MRI画像(水平断,T�強調画像)a:中脳レベルのスライス,b:基底核レベルのスライス,R:右側図2脳血流シンチグラム(���I-IMPSPECT)a:水平断,b:矢状断,R:右側,P:背側患者72歳の女性.い.深部腱反射は正常で,病的反射はない.筋固主訴物忘れ.既往歴特記すべきことはない.精神神経疾患訂長谷川式簡易知能スケールは16/30点,Mini-の既往はない.Mental State Examinationは15/30点で,見当縮はなく,パーキンソニズムは認められない.改家族歴特記すべきことはない.識の障害,記銘力の低下が目立つ.生活歴機会飲酒.検査所見血液生化学所見に特記すべき異常は現病歴3年前から物を置いた場所や約束を忘ない.血清梅毒反応は陰性で,甲状腺機能も正常れることが多くなった.2年前から同じ話や同じ質問を繰り返すようになってきた.1年前から服の前後を間違えることが多くなり,物事に対するである.頭部単純MRI画像(図1)と脳血流シンチグラム(図2)とを示す.脳波では7Hzの徐波が出現している.関心もなくなってきた.数日前に食料品店の商品を無断で持ち帰り,警備員に捕まったが,「後で支払うつもりだった」といっていた.心配した家族に連れられて来院した.身体所見一般内科所見に異常はない.神経学的所見�どこも悪いところはないが,健最も考えられる疾患はどれか.1つ選べ.Pick病康診断を勧められたのできた」といっている.物忘れについての自覚はなく,やや多幸的である.礼節はよく保たれ,診察には協力的である.構音正常圧水頭症脳血管性認知症Lewy小体型認知症障害や失語はなく,脳・神経に異常は認められなAlzheimer型認知症189大,右室肥大,心室中隔の肥大と異常運動,左室エンドセリン受容体拮抗薬の圧排などが認められる.カラードプラにより右室収縮期圧を非侵襲的に評価可能なため,心エコープロスタグランジンI��PG I�>は重要な検査である.シンチグラム上では,肺換気シンチグラムで正常,肺血流シンチグラムでは正常またはpatchiness,あるいはmottled pat-診断原発性肺高血圧症�primary pulmonaryternと称される斑状の不均等血流分布がみられ,hypertension:PPH>多発性に血流減少が認められる.これらのシンチグラム所見は,血栓塞栓性肺血管疾患などとの鑑PPHは肺血管抵抗の上昇による前毛細血管性別のうえで有用な情報となる.右心カテーテル検肺動脈高血圧(平均25mmHg以上)と,それに基査は必須であり,肺動脈圧測定や心房中隔欠損とづく二次的な右室肥大を示す原因不明の疾患と定の鑑別ができる.義されており,女性にやや多い.我が国での発生頻度は平均的に年間11~12例とごく稀である.診断は原則として除外診断であり,先天性心疾●●患,心臓弁膜症,心筋症,肺血栓塞栓症,閉塞性病理組織学的には肺細小動脈を主病変部位とし,肺疾患,間質性肺疾患,膠原病など,二次的に肺●内膜の求心性線維化と弾性線維症,中膜筋層の肥大,内膜増殖を伴った叢状病変,壊死性血管炎な高血圧を生じうる疾患を鑑別する必要がある.どが特徴的所見とされる.病因は不明であるが,先天異常,自己免疫,食事,微小血栓塞栓など,出現後の平均生存期間は約3年と予後不良である多彩な要因が指摘されている.が,本例のように10年以上生存する症例も知ら自覚症状は労作性の息切れ,動悸,呼吸困難,れている.治療には利尿薬・強心薬・肺血管拡張失神,胸痛などで,ときに咳嗽や血痰,Raynaud薬などが用いられ,抗凝固療法を行うこともあ現象を認めることがある.他覚所見は肺高血圧やる.肺移植または心肺移植は有効であるが,我が右心負荷,右心不全に伴う所見が主なものである.内頸静脈のa波増高,肺動脈Ⅱ音の亢進,心雑音,心拡大,右心室由来のIV音などを認国では一般的ではない.近年は肺血管拡張薬とそ●の使用法に進歩がみられ,プロスタグランジン●I��PGI�>(フローラン◯R),ホスホジエステラーめ,右心不全の進行とともに浮腫,肝腫大,III音,肺動脈逆流性雑音,三尖弁逆流による汎収縮ゼ�PDE>V阻害薬(シルデナフィル,バイアグ期雑音なども認められ,末期には心拍出量低下やリーア◯R)などが登場して効果を上げている.本低酸素血症によるチアノーゼも出現する.例でも第11回入院時に新たに実施したPDE III検査所見としては,低酸素血症,軽度低二酸化43阻害薬(ピモベンダン)+PDE V阻害薬(シルデナ炭素血症,多血症を認め,肺機能では軽度の拘束フィル)+ニコランジル(シグマート◯R)の3剤併性障害が認められることがある.胸部X線写真用療法が肺動脈圧を劇的に低下させ(130→65では,左第2弓の突出(図1)が最も特徴的で,発mmHg),良好な転帰をたどった.〔田中治彦〕症早期から認められるという点でも見逃せない所見である.次いで左第4弓の突出および右肺動脈近位部の拡大(図1)と,その末梢側肺動脈の急激な狭小化と蛇行が認められる.心電図所見として目でみるトレーニング目でみるトレーニングプロの内科医をめざすなら、ぜひ解いておいてほしい。 | 専門医試験対策の本74 『 目でみるトレーニング』より内科専門医たちが選りすぐった内科臨床問題集の決定版が登場。「目でみる」臨床所見を手がかりとする内科臨床問題およそ600題(全4集の合計)を収める本書は、認定医・専門医試験対策に最適であるばかりでなく、生涯学習の友として、すべての内科医にお勧めできる1冊。1問1問を解くたびに、診療能力が確実にアップする。B5 368頁 定価6,600円 (本体6,000円+税10%) [ISBN 978―4―260―01761―9] B5 320頁 定価6,600円 (本体6,000円+税10%) [ISBN 978―4―260―02530―0] B5 328頁 定価6,600円 (本体6,000円+税10%) [ISBN 978―4―260―03647―4] sample目でみるトレーニング監修 「medicina」編集委員会 責任編集 岡崎 仁昭
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