● THE内科専門医問題集(Ver.2)3 [WEB版付] アレルギー・膠原病・感染症・救急・集中治療 ● THE内科専門医問題集(Ver.2)1 [WEB版付] 総合内科ⅠⅡⅢ・消化器・循環器 ● THE内科専門医問題集(Ver.2)2 [WEB版付] 内分泌・代謝・腎臓・呼吸器・血液・神経 問1 想定される病原菌として最も考えられるのはどれか.1つ選べ. 問2 次に行うべき対応として適切なのはどれか.1つ選べ.予想正答率 問1 解説1 解説2 S1【pkey:56】a Candida spp.b Escherichia colic Entamoeba histolyticad Klebsiella pneumoniaee Streptococcus anginosus 抗菌薬加療を開始し,解熱傾向となったが,入院後5日目に突然両目の視力低下の訴えがあった.診察上,眼瞼結膜の充血と,対光反射時・眼球運動時の眼痛を認めた.a 抗菌薬のescalationを行う.b 早急に眼科コンサルトを行う.c 抗菌薬含有の点眼薬を投与する.d 副腎皮質ステロイドを投与する.e 脳梗塞を疑い頭部単純MRIを撮像する.S1【pkey:56】 次の文を読み,1,2の問いに答えよ. 87歳の女性.体動困難のため搬入された.現病歴 1週前から発熱と倦怠感が出現し,経過を見ていたが,本日,体動困難となっているところを発見され,家族が救急要請した.既往歴・服薬歴 2型糖尿病に対して,テネリグリプチン20 mgとダパグリフロジン5 mgをそれぞれ1日1回内服している.現 症 身長153 cm,体重42.0 kg.腹部は平坦,軟で自発痛や圧痛は明らかでない.診察中は吃逆が持続している.検査所見 血液所見:Hb 14.2 g/dL,白血球8,100/μL,血小板14.1万/μL.血液生化学所見:総ビリルビン1.2 mg/dL,AST 65 U/L,ALT 446 U/L,ALP 187 U/L(基準38~113),γ-GTP 360 U/L(基準9~32).CRP 6.0 mg/dL. 腹部造影CTで肝臓S6に3 cm大の辺縁が造影される低吸収域を認め,膿瘍を疑った. エコーガイド下に膿瘍腔を穿刺し,膿瘍穿刺液をGram染色したところ莢膜を伴うGram陰性桿菌が観察された.その後,入院時に提出していた血液培養が陽性となった.培地のコロニーの写真を図1に示す.図1 培地写真178S1【pkey:56】KEY LECTURE80% 問280%invasive syndromeといわれる病像を示すことがある.そのため,string test陽性のK. pneumoniaeの肝膿瘍症例の場合,そういった他臓器の症状の併 再校診断 :肝膿瘍問1正解 d Klebsiella pneumoniae存・出現に留意しながら経過を追う必要がある. 眼内炎を併発した場合の視力予後は悪く,85% Klebsiella pneumoniae〈K. pneumoniae〉による肝膿瘍のマネージメントを問う問題である.肝膿瘍の治療は抗菌薬とドレナージとなる.5 cm以上の膿瘍では持続ドレナージが望ましいとされるが,本症例のように5 cm以下の場程度で重症の視野欠損が残存するとされている.適切な抗菌薬加療が開始されていても,数日経っ合,抗菌薬のみの保存加療がなされることも多い. 肝膿瘍の原因菌としては,我が国の検討(肝臓 59 2018;9:466)を参考にすると,多い順にK. pneumoniae(24%),Entamoeba histolytica(10%),Escherichia coli〈E. coli〉(9%),Enterococcus spp.(7%),Streptococcus anginosus group(6%)となっている.選択肢のうちGram染色でGram陰性桿菌として認識されるのはK. pneumoniaeとE. coliのみであり,それ以外は外れる(a,c,e).ま消化た,図1に示したstring test陽性(正確な定義と器しては,「5 mm以上」)となるK. pneumoniaeはアジアに多いとされる(d).てから眼内炎の症状を呈することがあるとされている.突然の視力障害の場合,脳梗塞なども懸念されるが,本症例は局所の眼症状も伴っており,経過からしても眼内炎が疑わしい(e).抗菌薬の眼内注射(c)などの適応も含め,まずは眼科コンサルトが望ましい(b,a,d).KEY POINT❶ K. pneumoniaeによる肝膿瘍の場合,string testの結果を確認する必要がある.❷ string test陽性の場合,眼症状の有無に注意する.参考文献問2正解 b 早急に眼科コンサルトを行う.1)中本啓太郎,他:Hypermucoviscosity phenotypeのKlebsiella pneumoniaeによる肝膿瘍・敗血症性肺塞栓症の重症例.感染症学雑誌2011;85:366-369.2)Siu LK, et al:Klebsiella pneumoniae liver abscess:a new invasive syndrome. Lancet Infect Dis 2012;12:881-887. string test陽性となるK. pneumoniaeのなかに,病原性の高いK1,K2 serotypeのもの〔吉岡 翼〕がある.これらは,髄膜炎,眼内炎,壊死性筋膜炎などの遠隔臓器の合併症を呈する傾向があり,180179内科専門医受験に大好評の臨床問題集が3巻本にパワーアップして新登場! | 専門医試験対策の本72 『THE内科専門医問題集(Ver.2)1 [WEB版付]』よりチーフエディター 筒泉 貴彦 / 山田 悠史エディターチームが専門医カリキュラムから内科専門医試験必出のトピックを厳選! 日米欧の最新ガイドラインとエビデンスを踏まえ、かつ実臨床に即したコンセンサスにより作成された良質の臨床問題は充実の595問(連問形式を含む全3巻の合計)! すべての問題は内科系専門医試験に準拠した構成と出題形式により作成! 内科専門医試験全体の約60%を占める臨床問題対策の最強ツール!B5 424頁 定価7,480円 (本体6,800円+税10%) [ISBN 978―4―260―05095―1] B5 444頁 定価7,480円 (本体6,800円+税10%) [ISBN 978―4―260―05096―8] B5 380頁 定価7,480円 (本体6,800円+税10%) [ISBN 978―4―260―05097―5] sample061 Question061 Answer THE内科専門医問題集(Ver.2)[WEB版付]
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