レジデントBOOKカタログ 2025
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d カルシウム拮抗薬e アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬ⅠⅡⅢ 循環器V1V3V5消化器正解 b 主膵管の不整狭細像を認める.性黄疸を認めることもあるため,膵癌や胆管癌などとの鑑別が必要である.内科系専門医に求められる治療と対応自己免疫性膵炎は副腎皮質ステロイドが奏効する疾患ではあるが,できる限り病理組織を採取す ソーセージ様を呈する膵のびまん性腫大は,本疾患に特異性の高い所見である.また,主膵管にびまん性,限局性に不整狭細像を認める(b). 自己免疫性膵炎は,1型自己免疫性膵炎と2型自己免疫性膵炎の2亜型に分類される.我が国では主として1型であり,単なる「自己免疫性膵炎」とは1型を意味する.る努力をし,他の疾患を否定したうえで治療を開始する.副腎皮質ステロイドによる安易な診断的治療は慎むべきである.膵癌や胆管癌を除外したうえで治療を開始せよ.症例へのアプローチ我が国で多く報告されている(1型)自己免疫性膵炎は,その発症に自己免疫機序の関与が疑われる膵炎であるが,IgG4関連疾患の膵病変であその他のIgG4関連疾患□ 硬化性胆管炎□ 硬化性涙腺炎□ 硬化性唾液腺炎□ 後腹膜線維症□ 尿細管間質性腎炎る可能性が高い(d).中高年の男性に多く(a),高γグロブリン血症,高IgG血症,高IgG4血症,あるいは自己抗体陽性を高頻度に認め,しばしば硬化性胆管炎,硬化性唾液腺炎,後腹膜線維症などの膵外病変を合併する.病理組織学的には,著明なリンパ球やIgG4陽性形質細胞の浸潤,花筵状線維化〈storiform fibrosis〉,閉塞性静脈炎を特徴とするlymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis〈LPSP〉を呈する.副腎皮質ステロイ 1)日本膵臓学会・厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業)「IgG4関連疾患の診断基準並びに治療指針の確立を目指す研究」班:自己免疫性膵炎臨床診断基準2018(自己免疫性膵炎臨床診断基準2011改訂版).膵臓33:902︲913, 2018ドが奏効するが(c),長期予後は不明であり,再燃しやすく膵石合併の報告もある(e).鑑別すべき疾患膵の腫大や腫瘤とともに,本症例のように閉塞6566Question 03956歳の女性.激しい胸痛が起こり搬入された.現病歴1か月前から早朝睡眠中に胸痛で覚醒することが続いた.痛みは5分間ほど持続し,その後に徐々に治まるという.かかりつけ医を受診するも心電図検査を含め異常なしと説明された.今朝5時に激しい胸痛が起こり改善しないため救急要請された.既往歴特記すべきことはない.生活歴喫煙歴:20本/日×20年.検査所見救急室到着時の12誘導心電図を図1に示す.救急室で硝酸薬のスプレーを口腔内噴射したところ,速やかに症状は改善し,心電図でのST変化も消失した.入院後に施行した冠動脈造影検査では,右冠動脈近位部に25%程度の狭窄病変を認めるも有意狭窄はなかった.aVLaVRaVF図1 救急室到着時の12誘導心電図 問 1 この患者の治療薬として最も適切なのはどれか.1つ選べ.a α遮断薬〔佐藤 雅〕b β遮断薬c ループ系利尿薬Question 03075歳の男性.5日前からの眼の黄染を家族に指摘され来院した.既往歴特記すべきことはない.現 症意識は清明.体温 36.6℃.脈拍72/分,整.血圧132/70 mmHg.呼吸数16/分.SpO 2 99%(room air).眼瞼結膜に貧血は認めないが,眼球結膜に黄染を認める.皮膚に瘙痒感を認める.腹部は平坦,軟で,肝・脾は触知しない.検査所見血液所見:Hb 14.5 g/dL,白血球5,600/μL,血小板23万/μL.血液生化学所見:総ビリルビン10.8 mg/dL,直接ビリルビン8.3 mg/dL,AST 120 U/L,ALT 157 U/L,ALP 1,459 U/L(基準 104~338),γ-GT 1,187 U/L(基準 48以下),AMY 105 U/L(基準 39~134).免疫血清学所見:CRP 0.1 mg/dL,CEA 6.7 ng/mL(基準 5.0以下),CA19-9 20.0 U/mL(基準 37.0以下),IgG4 358 mg/dL(基準 4.8~105).腹部造影CTを図1に示す.図1 腹部造影CT 問 1 この疾患について正しいのはどれか.1つ選べ.a 中年女性に多い.b 主膵管の不整狭細像を認める.c 初期治療として大量補液が必要である.d 原因としてアルコール多飲が最も多い.e 副腎皮質ステロイドが奏効するので再燃することはない.85予想正答率75%診断:自己免疫性膵炎できる内科医はここも押さえろ!参考文献V2V4V6WEB・スマホでも使える総合内科力UPのための最強の臨床問題集!研修医としてのあわただしい日々のあとに待っているのが、専門医試験。限られた時間のなかで効率よく、かつ網羅的に学習するのにぴったりな相棒をご紹介します。内科専門医●B5 ●468頁 ●定価7,920円 (本体7,200円+税10%)[ISBN 978―4―260―04228―4] 編集 岡崎 仁昭内科専門医・総合内科専門医そして総合診療専門医をめざす人のために、各内科領域の第一人者が必修の臨床症例問題218問を選んだ。出題形式や内容は内科系専門医試験に準拠しており、受験対策に必須であるばかりでなく、最新のガイドラインやエビデンスを踏まえた充実の解説により日常臨床スキルのトレーニングにも最適である。付録のWEB版(1年間の利用ライセンス)でスマートフォンやタブレット、パソコンでの学習も可能! 目次や立ち読みはこちら>> |71sample030AnswerTHE総合内科ドリル[WEB版付]専門医試験対策の本

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