1小児科診療の基本● まず顔をみて挨拶すること.名前で呼びかけ,自己紹介をする.可能ならこどもと握手し,敵意はなく敬意をもっていることを示す.● 声門下閉塞が切迫している徴候 落ち着きがない,不穏,チアノーゼ,● 酸素飽和度の値がよいと安心してしまい,気道狭窄の増悪に気付くのが遅れるリスクがある.また,酸素飽和度が高いと訪床する頻度が減りがちなので,気をつける.● すぐに調べられるようにしておく.● 「記憶に頼らない」「暗算に頼らない」ことは医療安全管理上,とて● 小児面接での態度,4つのコツ.● 診察を進めるにつれて,臓器と病態が絞られてくる.● 絞れないなら,何度も考え,何度も患者のベッドサイドに行き,● 狙いがはっきりしないまま検査や治療を始めると,さらに混沌と紹介状のコピペは病歴聴取ではない.当たり前のことを精度高く繰り返すしか,成長の方法はない臨床ルール❶病歴聴取はまず患者との信頼関係構築のため● 病歴聴取のない医療はない.しかし,病歴聴取は情報を得るためだけにあるのではない.● 信頼関係のない医療もない.病歴聴取には,信頼関係醸成のための大事な初めの一歩という側面もある.①男女を間違えない② 年齢はやや高めに逆サバを読む(3歳と思っても「4歳?」と聞く)③あまりしつこくしない④ 紳士淑女(“Prince & Princess”)として相対する❷主訴と第一印象から仮説を作り,それを裏付けるために確認する作業が病歴聴取● 病歴聴取と身体診察から病態を考え,仮説と病態に整合性があるか,情報を積み上げつつ整理していく.病歴を聞き直す.することになる.● 検査前確率を高めることだけで満足せず,病歴だけで診断する!という覚悟で検査前に病歴を聴取すると,さらに精度が上がる.おまじないやお守りは不要臨床ルール❶毎日すべての薬剤の必要性を再評価する● 患者の負担を減らすために,薬剤は少ないに越したことはない.● 看護師の仕事量を減らすためにも,薬剤は少ないに越したことはない.● 「悪さをしてないから続ける」のは誤りである.● 「おまじない程度なんだけど……」「お守りがわりに……」ならば使わない.❷使うからにはきちっと使う● 中途半端な量を中途半端な期間,使うのはやめよう.● なんとなく使うのはやめよう.● 内服薬や外用薬のコンプライアンスも把握する.❸蘇生薬はいつでも指示を出せるように準備しておく● リスクが高い患者(ICU入室中など)に対しては,ベッドサイドで緊急薬剤投与量一覧(→後見返し)を参照できるようにしておくとよい.も重要である.(黒澤寛史)32第3章 入院治療・介入呼吸器系クループ(喉頭気管気管支炎)気道閉塞が切迫していたら,分単位で対応を!病態生理● ほとんどがウイルス感染による.感染は喉頭,気管,気管支に影響するが,特に声門下の浮腫や炎症が,臨床的特徴につながる.● 頻度が多いのは生後6か月から4歳であり,6歳以上は少ない.● 声門下狭窄が軽度 犬吠様咳嗽,嗄声,労作時の吸気性喘鳴がある.● 声門下狭窄が中等度 上記に加え,安静時の吸気性喘鳴,胸壁の陥没呼吸,呼吸補助筋の使用,多呼吸がある.頻脈を伴うことが多い.見た目にはまだ余裕がある.● 声門下狭窄が重度 中等度から重度へは急激に進行することがある.診察による啼泣がきっかけになることもある.陥没呼吸の増悪,不安気な表情,ぐったりしている,というのは悪い徴候である.水分摂取を嫌がることや,嚥下や呼吸の協調がうまくいかなくなることがある.蒼白,意識障害.患者評価❶低酸素血症は,気道の完全閉塞が差し迫っているととらえる● クループに代表される,上気道狭窄による低酸素血症は,一刻を争う緊急事態である.肺炎による低酸素血症よりも,緊急度が格段に高い.❷酸素投与の負の側面を知る● 酸素投与して酸素飽和度が100%になったとしても,気道狭窄は改善していない.50第4章 重症なこどもの入院管理病歴聴取こどもの薬物療法の基本2115 2 病歴聴取小児病棟における入院管理の基本とリアル。こどもたちを全力でサポートするために。多様な症状を訴える子どもたち。あるいは、症状をうまく訴えられない子どもたち。加えて、子ども特有の疾患があったり、進行が早かったり……成人診療とは異なる点も多い小児科診療にどうアプローチする? | 68 編集 笠井 正志 / 黒澤 寛史 / 上村 克徳小児病棟の入院管理に必要な知識を簡潔にまとめました。「see(見る)ではなくobserve(観る)。そして、正しさより優しさ」「診療セッティングで正常・異常の判断の閾値は変わる」「No assessment, no test」「下痢があっても虫垂炎! 膿尿があっても虫垂炎! 腹痛がなくても虫垂炎!」「外傷診療はスピードが命、中毒診療は知識が命」など、実践に裏打ちされたゴールデンルールが満載です。 目次や立ち読みはこちら>>●B6変 ●312頁 ● 定価3,960円 (本体3,600円+税10%)[ISBN 978―4―260―05078―4] sampleこどもの入院管理ゴールデンルール小児科の本
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