内科系▲A2の解説▲A1の解説AEAA)bdac 相対壁厚動 画難易度 ★★★心臓超音波報告書ID-No: フリガナ:患者氏名:検査日:性別:女性依頼科:依頼医師:生年月日: 年齢:70歳代前半臨床診断・検査目的:労作時息切れ精査記録状態良好Rhythm洞調律身長158.0cm体重51kgBSA血圧129/83mmHg心拍数78bpmMeasurementsAortic ValveMitral ValveAoD32mmAV_max1.3m/sLADLVDd33mmLVo_max0.8m/s36mmLVo_VTI12.1cmE/ALVDsIVS24mmLVo Dim.1.8cmDcT12mmSV30.8 mLTDILVPW12mmAR(end-d)LV Volume(m-Simpson)AR_PHTm/smsé(sep)é(late)EDVESV60.5mLTricuspid ValveE/é(sep)27.2mLTR_maxピーク取れずE/é(late)EF55.0%PG(RV-RA)mmHgLA size & VolumePulmonary ValveLA(ver.)36mmPR(end-d)2.1m/sLA(hori.)36mmPR(peak)3.2m/sLA Volume42mLFindings・大動脈弁:三尖あり,正常・僧帽弁:弁尖軽度肥厚・左室:びまん性に肥厚し,やや小さい・左房:正常(左室の大きさを考慮するとやや拡大か?)・右房:軽度拡大,右室:正常・心囊液:全周性に少量貯留・下大静脈:径22mm,呼吸性変動なし・MR:1/4度,AR:trivial,TR:trivial,PR:1/4度解 説駆出率は55%で,動画からわかるように左室壁運動は正常である.よって●❶は正しい.左室はLVDd 36mmと小さく,壁厚12mmと肥厚している.左室心筋重量と相対壁厚は以下の式で算出される.・左室心筋重量=0.8×{1.04×[(LVDd+LVPWTd+IVSTd)3>0.42ConcentricRemodelingConcentricHypertrophy≦0.42NormalGeometryEccentricHypertrophy-(LVDd)3]}+0.6・相対壁厚(RWT)=2×LVPWTd/LVDd≦95(女性)≦115(男性)>95(女性)>115(男性)(LVDd:左室拡張末期径,LVPWTd:左室後壁壁厚,IVSTd:心室中隔壁厚)左室心筋重量は,体表面積で補正して表現する(LVMI).図1左室心筋重量係数と相対壁厚による左室形態分類正常値は男性LVMI<115,女性LVMI<95である.左室心筋重量と相対壁厚を用いて,左室の形態は分類される(図1).この症例は,左室心筋重量は正常でRWTが増大しているため,求心性リモデリングに分類される.よって●●❷は正しい.1.50m2一回拍出量(SV)は30.8mLであり,SVi<35mLで低下している.よって●❸は正しい.肺動脈収縮期圧は,三尖弁逆流(tricuspid regurgitation:TR)最大速度をベルヌーイの式に当てはめて,4×(TR)2+RA圧で推定される.この症例ではTRがわずかしかみられず,ピーク流速が計測できていない.これは,「肺動脈収縮期圧が高くない」ということを意味するのではなく,「TR最大速度からは肺動脈収縮期圧を推定できない」ということを意味する.この症例の場合,A2で解説するように,肺動脈弁逆流(pulmonary regurgitation:PR)血流速度から肺動脈圧を推定する.よって●❹は誤り.101cm/s42cm/s2.40少量の全周性心囊液貯留と下大静脈拡大はみられるが,その他の心タンポナーデを示唆する所見(心房や右室の虚脱,心室中隔の奇異性運動など)はみられず,心タンポナーデは考えにくい.よって●❺は正しい.163ms左室流入血流速度波形は,最初に左室が拡張することで左室に流入する血流速度波形(E波)と次に左房が収縮することで左室に流入する血流速度波形(A波)から成る(図2).6.9cm/s9.1cm/sE波は,左室の能動的弛緩に加え,左室収縮の反動により,左房から血流を吸い込むことで始まり,拡張早期にピークをつくる.その後,左房-左室の圧較差およびコンプライアンス(伸縮性)に応じた流入が続き血流速は減速する.A波は,E波で流入できなかった血流を左房収縮により流入させる.正常若年者は,左室心筋が軟らかく,左室の拡張で拡張早期に左房から血流がたくさん吸い込まれ左房収縮で残りを流入させるため,E波が高く,A波のほうが低い(正常型,図2a).14.611.1図2 左室流入血流速度波形の構成a:正常型,b:弛緩遅延型,c:偽正常型,d:拘束型高齢者,高血圧などの心肥大,左室壁運動低下など,拡張障害があると左房から左室への血流の吸い込みが減少し,E波が低くなり,拡張に時間がかかりE波の減速時間(DcT)が延長する.左房収縮は保たれており,E波で流入できずに残っている血液の流入のために,代償的にA波は高くなる(弛緩遅延型,図2b).これはいわば高齢者や心肥大・左室壁運動低下症例における正常パターン(心不全ではない状態)といえる.このような拡張障害のある状態で何らかの負荷がかかり,またはさらに拡張障害が進行して左室コンプライアンスが悪化すると,左房圧上昇,左室拡張期圧の急激な上昇が生じる.すると,左房圧上昇のため0762章 いよいよ本番の30症例!2章 いよいよ本番の30症例!075A1●●❹A2●●❸Case 28Q1Q270歳代前半,女性.3か月前から労作時の息切れが出現.近医で心エコー図検査が施行され,心機能は正常といわれたので少し安心したが,以後も労作時息切れがさらに悪化し,坂道が登れなくなったため,さらなる精査を希望して当院受診.血圧129/83mmHg,心拍数78 bpm.図A 胸骨左縁長軸像図B 胸骨左縁短軸像この症例の心エコー所見として誤っているものをすべて選べ.❶ 壁運動は正常である.❷ 左室は求心性リモデリングがみられる.❸ 一回拍出量は低下している.❹ 肺高血圧はない.❺ 心タンポナーデ所見はみられない.この症例の心エコー所見で,左房圧上昇/肺高血圧を示唆する所見でないものをすべて選べ.❶ 左室流入血流速度波形E/A=2.40❷ 左室流入血流速度波形E波減速時間(DcT)=163m/s❸Average E/é(sep-late)=12.9❹ 肺動脈弁逆流拡張末期速度[PR(end-d)]=2.1m/s❺ 肺動脈弁逆流ピーク速度[PR(peak)]=3.2m/s0742章 いよいよ本番の30症例!左室心筋重量係数(g/m2こんな問題集がほしかった! 心エコー読影力が必ずupする50症例、動画185本付!編集 泉 知里雑誌『循環器ジャーナル』人気連載に大幅加筆し、心不全や弁膜症、先天性心疾患から、虚血性心疾患、心筋疾患まで、心エコー読影力さらにはその先を問う症例を厳選。解き終えた後は不正解の問題を解き直すもよし、付録の「逆引き疾患目次」「Learning Pointまとめ」で各疾患の理解を深めるもよし。ボロボロになるまで使い倒すべし! 目次や立ち読みはこちら>>●B5 ●192頁 ●定価 4,950円 (本体4,500円+税10%)[ISBN 978―4―260―04584―1] 循環器 |49sample国循・天理よろづ印心エコー読影ドリル【Web動画付】
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