❶❷❸❹❺❶ 14▲慢性腎臓病(CKD)は頻度の高い疾患である.進行しないと症状に乏しいため,高血圧や糖尿病などリスクがあれば積極的にスクリーニングす▲eGFRとアルブミン尿または蛋白尿の有無でスクリーニングする.▲CKDは末期腎不全だけでなく心血管系イベントのリスクも高い.総合継続外来/健診異常への対応CCCCCCCCCしびれ「手足がしびれます」感覚異常性大腿神経痛伏在神経障害麻痺障害神経外側大腿皮神経神経根大腿神経(伏在神経)神経根腓骨神経神経根原因,基礎疾患肥満,ベルトによる圧迫,術後椎間孔の狭窄,ヘルニアスポーツや外傷など絞扼椎間孔の狭窄,ヘルニア外傷,あぐらなど絞扼椎間孔の狭窄,ヘルニア運動障害なしなし腸腰筋筋力低下(太腿上げで顕著)大腿四頭筋の筋力低下(膝伸ばしで顕著)下垂足下垂足母趾背屈低下足関節の内がえし低下鑑別のポイント運動障害がない大腿外側のみのしびれ大腿前面に及ぶ腸腰筋筋力低下腰痛が先行安静時痛あり運動障害なし膝蓋腱反射消失運動障害あり足関節の内がえし可能足関節の内がえし低下図17図18図19図20図21図22しびれの部位,Tinel徴候,筋萎縮27414717CKDの診断CKDと診断する前にAKIを除外する.以前の血清クレアチニン(Cr)や尿検査所見と比較する.CKDは基本的には年月をかけて徐々に腎機能が低下する.急激な変化をみたら,脱水,新規薬剤など可逆性の要素を探す.GFRは通常,血清Crから推定されるeGFR(推算糸球体濾過量)として計算されるが,筋肉量,蛋白質の摂取,運動量,尿細管や腎外排泄などによりeGFRが腎機能を反映しない場合がある.またST合剤,シメチジン,フェノフィブラートは血清Crを偽性上昇させる.セファロスポリン,ビタミンC,メチルドパ,レボドパは血清Cr測定に干渉する.高度肥満・やせ型,肢切断後などCrが不正確な場合,シスタチンを用いることもできる.シスタチンは年齢・性別・人種の影響が少ないが喫煙・肥満・炎症・妊娠・甲状腺や糖質コルチコイドホルモンの影響を受ける.Cr,シスタチン両者を使うGFR推定式も提唱された(eGFRcr-cys).健常な人ではアルブミンは1日30 mg未満,蛋白は150 mg未満が尿中に喪失する.これ以上のアルブミン尿・蛋白尿は糸球体の透過性亢進=腎障害のマーカーである.試験紙による尿蛋白は30~300 mg/日のアルブミン尿は検出できない.血尿・濃縮尿・アルカリ尿・造影剤使用後では尿蛋白偽陽性になるという欠点があり,定量が望ましい.保険診療では尿アルブミンの定量は糖尿病または糖尿病性早期腎症で微量アルブミン尿を疑う患者のみで認められる.顕性蛋白尿のある患者では尿蛋白を定量する.蓄尿は煩わしいため,随時尿で尿蛋白/Cr比(または尿アルブミン/Cr比)で代用することが多い.尿アルブミン・尿蛋白は日中変動が大きいので早朝に測定するのが望ましいが,初回スクリーニングとしては随時で行ってもよい.eGFR同様,尿中Crも筋肉量に左右される.L2/L3神経根症L4神経根症総腓骨神経L5神経根症表5 下肢のしびれ□伏在神経障害(図19)は大腿内側の内転筋管で絞扼されて下腿内側の痛みやしびれをきたす.L4神経根症(図20)では大腿四頭筋の筋力低下を伴う点が鑑別となる.どちらも膝痛と間違えやすい.□総腓骨神経麻痺(図21)は外傷やあぐらなどで圧迫され,下垂足や下腿外側のしびれをきたす.圧迫部位により図のように感覚障害部位が異なる.□L5神経根症も同様な感覚障害部位を示し下垂足をきたすが,足内反の筋力が低下する点が異なる(図22).□(後)足根管症候群(図23)は内果の後方で後脛骨神経が圧迫されて起こるもので,踵以外の足底にしびれ,痛みを起こし,特に歩行で悪化する.運動障害は少ない.□踵から足底外側までしびれている場合はS1神経根の障害(図24)を考える.□(前)足根管症候群(図25)は足背の前足根管による深腓骨神経の圧迫で起こり,図21の部分的しびれを起こす.ハイヒールやきつい靴が誘因となる.運動障害はない.CKDの定義を満たすか?CKDの定義 以下のいずれかが3カ月以上続く.1)GFR 60 mL/分/1.73 m2未満2)腎障害のマーカーあり・蛋白尿(0.15g/日以上),アルブミン尿(30 mg/日以上)・尿沈渣の異常・尿細管障害による電解質異常やその他の異常・病理組織検査による異常,画像検査による形態異常 ・腎移植後ポイントる.的な評価・治療を行う.アプローチCKDの定義を満たすか? CKDの定義を満たすか? CKDの定義を満たすか? CKDの定義を満たすか? ステージは?ステージは?ステージは?ステージは?原因(背景)疾患は?原因(背景)疾患は?原因(背景)疾患は?原因(背景)疾患は?原因(背景)疾患は?心血管リスクの評価・治療心血管リスクの評価・治療心血管リスクの評価・治療心血管リスクの評価・治療心血管リスクの評価・治療薬剤の調整,栄養指導薬剤の調整,栄養指導薬剤の調整,栄養指導薬剤の調整,栄養指導薬剤の調整,栄養指導腎性貧血治療,電解質・骨ミネラル代謝異常の治療,腎性貧血治療,電解質・骨ミネラル代謝異常の治療,腎性貧血治療,電解質・骨ミネラル代謝異常の治療,腎性貧血治療,電解質・骨ミネラル代謝異常の治療,腎代替療法への準備・導入腎代替療法への準備・導入腎代替療法への準備・導入腎代替療法への準備・導入腎代替療法への準備・導入図1CKDへのアプローチ・ステップ検診やルーチンの検査(腎機能・尿検査)異常いいえAKIとして対処はいステージG1~3ー1❷ー2ステージG4~5,A3,予後不良因子あり原因不明あり腎臓内科コンサルト原因疾患治療●血圧(140/90,アルブミン尿・蛋白尿あれば<130/80)●LDL<100 mg/dL●血糖コントロール●禁煙・減量716内科外来のトップマニュアルに待望の第3版が登場! | 内科系の本36 編集 金城 光代 / 金城 紀与史 / 岸田 直樹内科外来のトップマニュアルとして不動の地位を得た『ジェネラリストのための内科外来マニュアル』(ジェネマニュ)に待望の第3版が登場した。6年ぶりの本改訂では、診療情報をアップデートすると同時に、手薄だった主訴・症候についても大幅に記載を増やし、さらに網羅性を高めた。目の前にいる患者への診断アプローチ、鑑別疾患から具体的な処方例までを一覧できる、さらにパワーアップしたスーパーマニュアルが誕生した。 目次や立ち読みはこちら>>1413●A5変 ●880頁 ●定価6,600円 (本体6,000円+税10%)[ISBN 978―4―260―04266―6] sample1.CKDジェネラリストのための内科外来マニュアル 第3版14CKD/電解質異常
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