レジデントBOOKカタログ 2025
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▲少量の胸水貯留の場合は胸水貯留を来す疾患(心不全,肺炎,肺塞栓症など)が呼吸困難を引き起こしている可能性が高いが,胸水貯留が大量になると原疾患が何であれ無気肺を合併して呼吸困難を●労作時よりも安静時に強い呼吸困難感は,一般的には心因性疾患を示唆するが,Lambert-Eaton症▲100%酸素投与に反応しない低酸素血症は右→左シャントを考える.▲経胸壁マイクロバブル超音波検査による心内右→左シャントの検出◉ 精神疾患では神経性食思不振症とうつ病が二大疾患である.体重変化OPD主要症候・内科一般(%)35頻度頻度▲日本では正月,ゴールデンウィークに体重は増加することが多い.また夏バテで夏季に体重が減る呼吸困難・呼吸不全体重減少1体重減少●70歳台の自宅生活者で5%以上の体重減少を来した原因(n=108)その他7%運動量増大3%不明8%身体疾患19%薬剤7%手術10%食生活変化16%ストレス・多忙14%食欲低下16%〔Am J Clin Nutr.2005Sep;82(3):644-50.PMID:16155279〕(%)100●機能性胃腸症における原因別の症状出現頻度p<0.05797550254429161225221531271429223125235011腹痛腹部膨満感早期満腹感嘔気曖気(げっぷ)■ 胃の伸展障害  ■ 胃伸展に対する過剰反応  ■ 胃内容物排出障害  ■ピロリ菌感染〔Gastroenterology.2006Feb;130(2):296-303.PMID:16472585〕意図しない体重減少の原因神疾患が主な原因である.◉ 悪性腫瘍,消化管疾患,内分泌疾患,それ以外の慢性疾患(心肺疾患など),薬物(アルコールを含む),精◉ 悪性腫瘍では特に上部消化管癌や膵癌を除外する必要がある.◉ 内分泌疾患では甲状腺機能亢進症,糖尿病,褐色細胞腫,副腎不全が重要である.◉ 神経筋疾患(パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症など)でも体重減少を伴うため,神経筋症候についても確認すべきである.原因不明16.5%消化管癌12.7%●成人において,6か月以内に5%以上体重減少を来した原因(n=158)肺癌4.4%悪性リンパ腫2.5%それ以外の悪性腫瘍3.2%それ以外0.6%精神疾患10.8%消化管疾患19.0%原発不明癌1.3%膠原病2.5%アルコール使用障害5.1%心肺疾患10.1%内分泌疾患11.4%〔J Intern Med.2001Jan;249(1):41-6.PMID:11168783〕主要症候・内科一般2A10776J13A50C 下気道炎心不全気管支喘息急性冠症候群不整脈肺塞栓症胸水貯留気胸過換気症候群悪性腫瘍貧血アレルギー疾患体重減少◉ 6か月で5%以上の体重が減少すれば原因を同定する必要がある.◉ 体重経過は過去の最大体重,1年前,半年前,1か月前,現在と時系列で確認するが,直近の1か月で体重が減り続けているかどうかは最も重要で,体重が減り止まっている場合は病的でないことが多い.●意図しない体重減少は成人外来の1.3-8%でみられるが,高齢者では27%でみられるともいわれる.1年で4-5%,5-10年で10%以上の体重減少は死亡率増加に関連がある〔CMAJ.2005Mar15;172(6):773-80.PMID:15767612〕.●高齢者で6か月以内に体重の7.5%以上の体重減少があれば99.55%で病的な原因がある〔J Am Geriatr Soc.1991May;39(5):497-500.PMID:2022802〕.●体重減少を来し,かつ3年後に生存している患者の3.7%のみで体重が減り続けている〔J Intern Med.2001Jan;249(1):41-6.PMID:11168783〕.●体重を測定していない場合は,やせを他人から指摘されるかどうかと,服やベルトのサイズ変化を確認し,客観的な評価に努める.●低栄養にはカロリー摂取が低下し脂肪組織が減少するMarasmusと,蛋白摂取が少ないために浮腫が顕著となりセロファン様の薄い皮膚がみられるKwashiorkorに分けられる.●体重の年内変動こともある.体重変化を例年と比較してもらうことも場合によっては有用である.(%)0.80.70.60.50.40.30.20.10.0-0.1-0.2-0.3-0.4日本人(n=383)正月ゴールデンウィーク8月9月10月11月12月1月2月3月4月5月6月7月〔N Engl J Med.2016Sep22;375(12):1200-2.PMID:27653588より改変〕食餌摂取量・食欲◉ 意図的な食餌制限なのか,食欲がない,もしくは嗅覚・味覚障害,口腔内乾燥,嚥下障害,早期満腹感なのかを区別して鑑別を行う.◉ 早期満腹感(earlysatiety)は胃の伸展性が低下している病態(胃癌など)を考える.◉ 食餌摂取量の低下を伴わない体重減少では甲状腺中毒症,褐色細胞腫,糖尿病,吸収不良症候群,運動量増加,神経筋疾患を考える.834呼吸器呼吸困難の鑑別診断◉ 肺炎は年齢を問わず呼吸困難を呈する代表的疾患である.◉ 若年者に多い呼吸困難の原因として気管支喘息,自然気胸,過換気症候群が,高齢者に多い原因として心不全,慢性閉塞性肺疾患(COPD)がある.◉ 呼吸困難の原因は心疾患と肺疾患が多いが,上気道閉塞,神経筋疾患,貧血も考える必要がある.◉ 仰臥位よりも座位で呼吸状態が悪化すれば,卵円孔開存などによるPlatypnea-Orthodeoxia症候群を考える.●救急外来における呼吸困難の原因疾患内訳32.330252025.125.520.916.816.321.317.119.713.815106.73.57.01.89.04.13.33.70.23.48.52.92.63.73.61.62.01.81.22.81.62.51.71.72.00.50.442300.21.82.20.70.20.21.31.20.80.01.01.50.810胸やけ■ 18-40歳(n=493)  ■ 41-60歳(n=690)  ■ 61-75歳(n=817)  ■75歳超(n=1,041)〔Acad Emerg Med.2017Mar;24(3):328-36.PMID:27743490〕呈しうる.候群も鑑別に加えるべきである.●閉塞性肺障害では胸鎖乳突筋の活動性亢進や肥大を認めやすい.中斜角筋の活動性亢進や肥大は拘束性肺障害を反映する〔昭和61年度厚生省特定疾患呼吸不全調査班業績集1987,129-31〕.●1秒に2つずつ数字を数えた場合(single-breathcount試験),一息で25以上数えられなければ肺活量低下を示唆する〔Muscle Nerve.2016Jan;53(1):134-6.PMID:26437790〕.●右→左シャント感度特異度LR+LR-46(36-56)99(97-100)14.8(5.2-42.5)0.53(0.36-0.79)〔Echocardiography.2014Oct;31(9):1036-48.PMID:24689727(メタ解析)〕0.10.2病歴、身体所見から検査まで一連の流れをすべて網羅。エビデンスに基づく診断学のテキスト。 |  内科系の本34 監修 酒見 英太著  上田 剛士疫学、病歴、身体所見、検査という診断学の一連の流れすべてを網羅し、エビデンスに基づいた「診断とは何か」を追求した書。10年の歳月をかけ、なんと3万本以上もの論文に目を通し徹底的な文献吟味を経て、遂に完成したまさに待望の改訂版。今版では、外部リンク(QRコード/ハイパーリンク)を採用し論文などに掲載されている教育的な画像や動画にアクセスできるようになった。指定難病の診断基準・調査票へのリンクも掲載。臨床で必ずや役立つ1冊。 目次や立ち読みはこちら>>●B5 ●1200頁 ●定価11,000円 (本体10,000円+税10%)[ISBN 978―4―260―05237―5] sampleジェネラリストのための内科診断リファレンス 第2版

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