レジデントBOOKカタログ 2025
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● 短期間で多くの職種が関わる →要点を押さえて迅速に書き終えることでチームを早く動かす●B5 ●140頁 ● 定価3,080円 (本体2,800円+税10%)[ISBN 978―4―260―02106―7] 5 応用の型 病棟編①入院時記録のフォーマット【入院目的】  【主訴】【現病歴】 経過: 症状解析: Review of systems:【問題リスト】#1.#2.#3.#4.【既往歴】 併存症: 既往症: 治療歴:【家族歴】【生活歴】【初期評価】全体Brief summary#1. プロブレム名 個別Brief summary: 鑑別診断: Probable (∵                ) Possible (∵                ) Less likely (∵                ) 方針#2. プロブレム名 個別Brief summary: …… (省略)【身体所見】 全身状態: 体格: バイタルサイン:  頭頸部: 胸背部: 腹部 : 四肢 : 神経系:【検査所見】 尿 : 血液: 心電図: Xp:【初期計画】Tx)Dx)Ex)Px)入院時記録の「応用の型」❶ S・O欄は,入院時の「全情報」を,所定の順番で書く❷  問題リストは,「優先順位」を意識して「仮プロブレム」を活用❸  A欄は,「2種類のBrief summary」と,「退院の見通し」が重要❹  P欄は,「タイミング」と「分担」を明確に❶S・O欄は,入院時の「全情報」を,所ションや退院時要約,ケースレポートなど定の順番で書く ケースカンファレンスのプレゼンテーでは「重要な情報だけに絞る」ことが重要視されますが,入院時記録では「漏れなく36Aの良いカルテ例急性疾患初診時のカルテ記載例(☞S・Oは14頁,Pは28頁)【問題リスト】❶#1.胸部絞扼感→ACS(STEMI),#2.ショック❷【初期評価】〈文章形式〉#1.ACS(STEMI)  多重する心血管リスク(高血圧・糖尿病・喫煙)を認める患者の,冷汗と嘔気を伴い30分以上持続する胸部絞扼感。❸  心電図異常と心筋逸脱酵素上昇を伴い,急性冠症候群(ACS)のうちSTEMIの基準に合致する。鑑別診断としては心膜心筋炎,たこつぼ型心筋症,心筋以外からの酵素逸脱が挙げられるが,諸検査の結果からその可能性は低いと見積もっている。❹  禁忌がないことも確認できればアスピリン等の内服治療を開始しつつ,迅速にPCIにつなげる。❺  ただし,心機能のわりには重症感・バイタル異常が強いため,#2についても同時並行で精査を進める。❻〈箇条書き形式〉#1.ACS(STEMI)Defi nite…ST上昇型心筋梗塞(∵典型的なリスク・症状,検査所見)Unlikely…心膜心筋炎・たこつぼ型心筋症・心筋以外からの酵素逸脱❼#2の対処をしつつも,AHAのプロトコルに沿った迅速なPCIが必要なため循環器コールする。❽ 「記号を用いた箇条書き形式」の型は忙しい日常臨床での使い勝手がよいです。しかし,他院への紹介状や専門医試験のレポートなどフォーマルなものの場合は,「記号を用いない文章形式」の型のほうがよい場合もあります。カルテ記載例には両方示しましたので,状況に応じて自由に使い分けてほしいと思います。 問題リスト欄:複数のプロブレムがある場合は,最初にまとめて記載する欄を用意する。 プロブレム名:その時点で最も深化(後述)させた名前を記載する。❶ ❷ ❸ Brief summary:プロブレム名を付けた根拠となるS・Oの情報を踏まえつつ,このプロブレムの全❹ ❺ 体像を簡潔にまとめる。 鑑別診断と根拠:最も疑うものを最初に記載し,その他の鑑別診断を後に書く。 方針:今後どうなるかの見通しを共有できるように簡潔に書く。超急性期の場合は長期方針までは書けないことも多い。 特記事項:ここまでの項目やこのプロブレム内で説明しきれず他プロブレムに影響することなどを補足する。❻ ❼ Brief summaryと鑑別診断を兼ねている。(∵   )の中が根拠で,S・O欄に詳細は書いてあるためあえてここでは繰り返さずこれくらい簡潔な記載で十分。 方針とその他を兼ねて記載している。❽ 20まずは,多くの研修医が最初に配属され,病院の勤務医をする限りは一生にわたって関わり続ける「病棟編」です。病棟でのカルテの書き方を知っているか知らないかでは自らの医師としての成長スピードやチーム連携の質に大きな違いが出てくる,と言っても過言ではありません。病棟の入院患者について書くカルテは,「入院時記録」「経過記録」「退院時要約」の3種類があります。全くと言っていいほど書き方のポイントが異なりますので,それぞれに1章ずつ使って詳しく解説します。この章で扱う「入院時記録」はAdmission noteとも呼ばれ,毎日の「経過記録」とは明確に区別して扱われています。「基本情報の整理」と「問題リストの立案」を行い,診療を軌道に乗せるための立ち上げ作業として非常に重要です。入院初日は忙しいですが,この出来がその後の診療の質を大きく左右しますので心して取り組みましょう。入院初日の特徴とカルテ記載のポイント● 膨大な量の情報を扱う困難さ →秩序だった型に当てはめることで扱いやすくなる 入院する患者の多くは「外来では解決で この無秩序なデータの集合を一定のルーきなかった複雑な問題を解決する」ためにル(=入院時記録の型)に沿って整理するこ入院してくるので,「網羅的な情報収集」とで,臨床的に意味のある順番に並び替えが求められます。過去のカルテや診療情報られ,病態として意味のあるまとまりに関提供書,本人や家族からの証言を集め,丁連付けられていくため,結果的に頭がすっ寧な全身身体診察を行い,的確な初期検査きりし臨床上の問題点も明確化します。まの選択と解釈を行うことで,大量の情報がた,所定のフォーマットを埋められないこ手に入ります。しかし,このままでは膨大とで「どの情報が足りていないのか」に気かつ無秩序なデータが頭のメモリを圧迫し付くことができ,指導医に指摘される前にてしまい,効果的な診療はできません。漏れのない情報収集ができます。慣れてく34入院時記録「型」に沿って記載するだけで診療効率&診断推論能力がアップする!医師として。対人援助職として。そして、社会人として。日々の業務をより円滑かつスマートに進めていくための、プラクティカルに活用できる書籍をご紹介します。  |  24 著 佐藤 健太sample「基本の型」の部で、SOAP形式や問題リストなどのカルテ記載法のエッセンスを習得(⇒医師らしい思考過程も身につく)。「応用の型」の部で、外来・救急などセッティング別のカルテ記載法を習得(⇒応用の利く「型破り」な診療スタイルも身につく)。「型ができていない者が芝居をすると型なしになる。型がしっかりした奴がオリジナリティを押し出せば型破りになれる」(by 立川談志)。 目次や立ち読みはこちら>> 「型」が身につくカルテの書き方日常  に役立つ本

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